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そこに「自転車横断帯」はあるのだろうか。

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このような事故があったようですが、

 

横断歩道で自転車が車にはねられ60代女性がドクターヘリで救急搬送 宮城・多賀城市(tbc東北放送) - Yahoo!ニュース
10日午前、多賀城市内の交差点で自転車が車にはねられ60代の女性がけがをしました。 10日午前9時50分頃、多賀城市城南二丁目の交差点で自転車に乗って横断歩道を渡っていた60代の女性が、右から来た

 

一つ疑問。

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そこに「自転車横断帯」はあるのか?

映像の最後のほうに、横断歩道の横に消えかけの自転車マークがありますが、

 

これは「自転車横断帯」があるとみなすのだろうか。

 

ストリートビューだと、自転車横断帯の路面標示はしっかりあるわりに、標識が横断歩道のみになっているし。

違う方向から見ても「横断歩道」の標識のみ。

信号がない自転車横断帯の場合、標識「及び」標示が必要なので標識がないと効力がない。

(公安委員会の交通規制)
第一条の二
3 法第四条第一項の規定により公安委員会が横断歩道又は自転車横断帯(以下「横断歩道等」という。)を設けるときは、道路標識及び道路標示を設置してするものとする。ただし、次の各号に掲げる場合にあつては、それぞれ当該各号に定めるところによることができる。
指示標識
種類 標識 表示する意味
横断歩道(407) 交通法第二条第一項第四号に規定する横断歩道であること。
横断歩道・自転車横断帯(407の3) 近接して設けられた交通法第二条第一項第四号に規定する横断歩道及び同項第四号の二に規定する自転車横断帯であること。
自転車横断帯(407の2) 交通法第二条第一項第四号の二に規定する自転車横断帯であること。

標識が横断歩道のみになっているから自転車横断帯が存在しないことになりますが、ストリートビューだと自転車横断帯がかなりしっかりとした路面標示になっているし、報道映像だと消えかけた自転車マークがあるのみ

 

疑似自転車横断帯では無意味なんですが、自転車道があるみたいだし自転車横断帯があっても良さそうな。
疑似では意味がないのです。

自転車横断帯の有無と過失割合

自転車横断帯の有無は過失割合に影響しますが、自転車横断帯がなく横断歩道のみの場合、自転車には優先権がない。

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。 いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。 横断歩道と自転車の関係をメインにします。 ○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。 ○横断歩道を横断しようとする自転...

 

道路交通法38条1項は、自転車については、自転車横断帯(自転車の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号の2)を横断している場合に自転車を優先することを規定したものであって、横断歩道(歩行者の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号)を横断している場合にまで自転車に優先することを規定しているとまでは解されず

 

平成30年1月18日 福岡高裁

具体的な過失割合は状況によってかなり変わりますので一概には言えません。
横断歩道上での自転車対4輪車の場合、この場合優先道路(36条2項、交差点内にセンターライン)がないので、自転車過失は5~20%程度になります。
細かい状況次第で変わるので一概には言えません。

 

ところで。
こちらで紹介されている判例で横断歩道上を横断した自転車の事故について、自転車過失が0%になったことから「横断歩道では自転車が優先」と主張する人がいるようですが、

 

(判例タイムズ【297】)横断歩道上での自転車と左折車の衝突事故 | 茨木・高槻・吹田・摂津の法律相談『弁護士法人茨木太陽』
横断歩道上での自転車と左折車の衝突事故 事故態様:(被害者)自転車 VS (加害者)自動車 交差点の青信号横断

 

もちろん違います。
神戸地裁伊丹支部 平成30年11月27日判決は、自転車横断帯のすぐ横にある横断歩道上を横断していた自転車について、自転車横断帯を横断したものと同視した判例です。

 

自転車横断帯から外れた位置(横断歩道上)で事故に遭った場合の過失割合。
自転車横断帯と横断歩道が併設された場所の横断歩道上を自転車に乗って進行中、事故に遭った場合に 「自転車横断帯を通行していなかった」 これが過失になるのか?と質問を頂きました。 自転車横断帯を通行せずに横断歩道を通行 民事の過失としては、自転...

 

この判例ですが、以下の観点から自転車過失をゼロにしました。

内容 自転車は先行車両と加害車両の間を縫うように横断 自転車横断帯ではなく横断歩道上を進行 加害車両は時速20キロで進行
法条 70条 38条1項の趣旨 38条1項前段
原告過失 +10% -5% -5%

②については、このように併設された場所で横断歩道上であっても自転車横断帯を進行したのと同視すべきとしています。
自転車の落ち度を10%と認めつつも、加害車両の速度が38条1項前段の「停止できるような速度」とは認められないとしてトータルで過失相殺を認めていません。

 

自転車横断帯を横断したものと見なした判例なのに、判決文の中身をみないままテキトーなことを語る人がいるのもどうかと思うけど…

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。 いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。 横断歩道と自転車の関係をメインにします。 ○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。 ○横断歩道を横断しようとする自転...

 

横断歩道を横断する自転車に優先権がないにしろ、事故を起こしていい理由はないし安全運転義務もあるので、結局は自転車と衝突するリスクがあるなら自転車を先に行かせるしかない。

 

けど、ビミョーに残った自転車マークは、自転車に乗る人に誤解を生むような気がします。
あとになってから「疑似でした」では、トラブルになってしまうのよ。


コメント

  1. ゆき より:

    紛らわしい表示をした行政にも一定の責任を負って頂きたいと思ったりもする。

    自分がネットで見かけた中で最強の自転車横断帯(偽)は下記注意喚起ツイートのですね。
    自転車横断帯を廃止するつもりで自転車マークだけ消して、縁石設置。
    歩行者用信号機の標示板は歩行者・自転車専用という凶悪な仕様。
    今は余計な線が消え、ポールが有るとのリプライが付いていますが、なかなかヤバイ。

    元の状態: https://goo.gl/maps/czy58GsqSJyaW31Q9
    注意喚起ツイート: https://twitter.com/_306_peugeot_/status/1687451642038566912
    標示板状況: https://twitter.com/kamitanishuhei/status/1687676601402785792
    ※2枚目の写真にピンぼけ状態ですが、歩行者用信号機横の標示板が2列になっているので、歩行者・自転車専用の標示板で有る事は解ります。
    対策後: https://twitter.com/kamitanishuhei/status/1689515363690799104

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      ありましたね、これ。
      この件について不思議なのは、結局縁石を追加した理由がよくわからない点。
      メディアが追及しようとして失敗したみたいなのは見かけましたが…

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