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歩道上の「死角解消義務」。

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歩道を横切り道路外に出入する際には一時停止「かつ」歩行者の通行妨害禁止の義務がありますが(17条2項)、

 

歩道を通行する自転車と、路外に出るために左折するクルマ。
このような事故は悲しいところですが、 県道を走っていた車がこちらの駐車場に入ろうと左折したところ走ってきた自転車と衝突したということです 要は歩道通行自転車と、路外に出るために左折したクルマが歩道上で衝突した事故になります。 一時停止 歩道...

 

何度も取り上げたように、「一時停止はあくまで歩道の安全を確認するための義務だから、死角があるときは一時停止した後に小刻みに発進と停止を繰り返す注意義務」があるとされます。

 

古い判例ですが、かなり厳しく判断しているものがあります。

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歩道を横切る際の「死角解消義務」

判例は広島高裁 昭和54年12月21日。
業務上過失致死事件です。

 

まずは事件の概要。
被告人車は大型貨物車で、倉庫に荷物を下ろすためにバックで倉庫に入れた。
倉庫の奥行きよりも車体のほうが長いため、車体が歩道上に重なる形になっていました。

被告人は荷卸しを終えて左折進行する際に、歩道上の死角にいた三輪車に乗った幼児を轢過した事件です。

一般的に、自動車運転者が駐車中の車輛を発進させるに際しては、可能な範囲でその前方、左右の安全を十分確認し、接触又は衝突などの事故を未然に防止する注意義務があることは勿論であるが、本件のように、車輛の進行が原則として禁止されている歩道上に車体の一部を出して駐車している大型貨物自動車を発進させ、そのまま歩道上を斜めに横切って通過する場合には、歩道がもともと歩行者の専有する部分で、かつ、車輛の通行による危険から保護されている場所であることにかんがみ、歩行者の居る可能性が殆どないような特段の事由がある場合を除き、自動車運転者としては、歩道上のすべてにわたってその安全を確認し、もし、自車の構造上、歩道内に死角圏が存在するような場合には、誘導者などによって死角を消除して安全を確認したうえで発進すべき業務上の注意義務があると解するのが相当である。

 

広島高裁 昭和54年12月21日

ちなみにこの判例の一審は「運転席から身を乗り出してフロントガラスに顔を近づけたり、助手席に身を移し助手席側窓から首を出すなどして」安全を確認する注意義務違反として有罪にしましたが、それでは死角解消ができないとして破棄。

 

こちらで取り上げた広島高裁判決も「一時停止では足りない」として一審判決を破棄してますが、

 

歩道を通行する自転車と、路外に出るために左折するクルマ。
このような事故は悲しいところですが、 県道を走っていた車がこちらの駐車場に入ろうと左折したところ走ってきた自転車と衝突したということです 要は歩道通行自転車と、路外に出るために左折したクルマが歩道上で衝突した事故になります。 一時停止 歩道...

 

こういう認定は高裁判決のほうが厳しい。

なぜテキトーになってしまったのか?

判例上は、歩道を横切り道路外に出入口するときの注意義務について、かなり厳しく判断しています。
ある意味ではこれもそう。

 

大型車の死角がある場合の、路外右折進入車の注意義務。
以前チラっと書いた気がしますが、 対向車が停止してくれてその前を横切って道路外に右折する場合、まずは25条の2第1項により、車道左側端を正常に進行する車両を妨げてはならない。 いきなり17条2項(歩道直前で一時停止)だと、 左側端を正常に進...

 

現実的には…言うまでもありません。
なお、自転車や特定小型原付が歩道を横切り道路外に出入する際にも、同じく一時停止して安全を確認する義務があります。

 

最近、某迷惑系YouTuberが「歩行者を妨害しなければ一時停止義務はない」などとデタラメを語っているそうですが、歩道上で事故を起こした人の言い訳そのまんま。

 

「歩行者がいないから一時停止しなかったが確認が甘かった」

 

停止して安全確認することを求めているのに、結果論で歩行者妨害しなかったことに話をすり替えてます。

 


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