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左折巻き込み事故で左折車が「ぼく悪くない」というのは、いろいろ敗北感しかない。

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こういう事故が起きて、左折車が「ぼくは悪くない」と語り出すのは、

免許制度の敗北なのかもしれません。

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左折巻き込み事故

左側端に寄れるのに寄らずに左折すると、そもそも違反ですから…

(左折又は右折)
第三十四条 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。

寄れない事情(鋭角な交差点や大型車など)があれば別ですが、左側端に寄れるのに寄らずに左折した場合、いわゆる「合図車妨害」も働かずに後続二輪車が優先になります。

 

ただまあ、交差点で左側から追い抜きするのは必ずしも違反とは言えないとしても、正直なところこういうことが起きるので追い抜きはしないなあ…
なので動画主がいう「どっちもどっち」が正解。

 

なお、このような場合の過失割合は後続二輪車が20~30%程度です。
ただし後日書く予定でしたが、後続二輪車の過失を90%とか100%にした判例もありまして(ともに道路外左折の事故)、過失割合なんてちょっとした要素で変わる結果論みたいなもの。

 

左折車は「予めできる限り左側端に寄る」、後続二輪車は交差点で左側から追い抜きを控える。
これが正解。

軽症な様子ですが

軽症なら過失運転致傷罪には問われない傾向にありますが、

(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる

左折車は普通に有罪になりうる件なので要注意です。
参考事例として、福岡高裁宮崎支部 昭和47年12月12日。
まず事故概要。

先行するクルマは交差点の40m手前で「ルームミラー」で後方確認し、後続車がないことから側溝まで約1.9mのところに寄せて時速15キロに減速。

そんな状況の中、オートバイが時速30キロで先行車に追い付き、4、5mの距離を保ち様子見。

交差点直前で先行車の左折合図に「気がついて」、急制動したものの間に合わず衝突した事故です。

道路交通法34条1項が交差点における左折車に所謂左寄せ義務を課した所以は、原判決の説示するとおりで、その車両が左折しようとするものであることを同法53条で命ぜられた左折の合図をするだけでなく、その車両の準備的な行動自体により他の車両等に一層よく認識させようとするためであることは明らかなところ、前示被告人の車の長さ、本件交差点の角切りなど考慮に容れれば、技術的にA路進行中にその左側端に車を寄せることを困難ならしめる事情は証拠上全く認められないのである。そうすれば原審公判廷において通常A路の左側端まで1mの間隔をとっておけばゆうに本件交差点を左折しうると自認している被告人が、本件交差点に進入するまで約40mの距離を、何らの支障もなく、もっと左に寄せうるのにA路の左側溝まで自車の車幅を越える約1.9mもの間隔を保持したまま直進した以上、その間に他の車両が自車とA路左側端の中間に入りこむおそれのあることは交通常識上当然に予想すべきであり、そのため自車左側ならびに左後方に対する安全確認をつくした後でなければ、本件交差点において、容易に左に転把すべきでなかったといわざるをえない。
ところで、被告人が二回にわたり車内バックミラーにより後方確認したことは前記のとおりであるが、該ミラーの映写範囲は後部の窓をとおすもので、窓両側の車体部分により死角を生ずるものであることは、敢て実験実測を経るものではなく、被告人自身原審公判廷においてこれを肯認自覚しているのであるから、自車左側ならびに左後方に対する確認は、道路運送車両の保安基準44条が示すように、運転者席において左の外側線上後方50mの間にある障害物を確認できるために設置を義務づけられている車外サイドミラーによらなければ充分でないのに、被告人がこれを利用した事跡は全くない。もとより被害者も後続車の運転者として一般的に前車の動静に注意を払い、これが左折合図をして減速したときは、これとの接触を避けるべく適宜徐行等の措置に出づべき義務があることはいうまでもないが、前記の如く約40mの長さにわたって道路左側溝まで約1.9mの間隔を保持し、左に寄るなど左折の準備態勢を示さずに直進し続ける被告人の車を見て、そのまま本件交差点を直進通過するものと思いこんだのは無理からぬとことであるから、被害者に対し、被告人の左折合図に早く気づかなかった落度は責めうるにせよ、道路交通法34条5項に違反する無謀運転であると決めつけるのは失当であり、ましてやかかる落度を根拠にして、自ら可能なる左寄せ義務をつくさず、未だ適切な左折準備態勢に入っていなかったことを論外におき、いわゆる信頼の原則に逃避して過失責任から免脱することの許されないことは、原判決の正当に説示するとおりである。論旨指摘の最高裁判所の判決は技術的に左寄せ進行が困難な状況のもとにおいて、できる限り道路の左側によって徐行している先行車と無謀運転とされてもやむを得ない後続車の運転者との衝突事故に関するもので、本件とは事案を異にしている

 

福岡高裁宮崎支部 昭和47年12月12日

動画の件はいつ左折合図を出したのか知りませんので評価しにくいけど、左側端に寄れるのに寄らずに左折すると、普通に有罪になるケースが多い。
逆にきちんと左側端まで寄せていた場合には、たいてい無罪。

道路交通法は、本件被告人車のように、交差点等で左折しようとする車両の運転者に対し、左折の合図をすること及びあらかじめその前からできる限り道路の左側に寄り、かつ、徐行することを要求している(道交法34条1項、53条、同法施行令21条)。これは、直進しようとする後続車両がその右側を追い抜けるようにするとともに、できる限りその左側に車両が入りこんでくる余地をなくしておくことにより、円滑に左折できるようにするためであると思われる。したがつて、左折しようとする車両が十分に道路の左側に寄らないため、他の車両が自己の車両と道路左端との中間に入り込むおそれがある場合には、前示道路交通法所定の注意義務のほか、さらに左後方の安全を確認すべき注意義務があるが、十分に道路左端に寄り、通常自車の左側に車両が入りこむ余地がないと考えられるような場合には、あえて左後方の安全を確認すべき注意義務があるものとは解せられない。これを本件についてみるに、前段認定の事実関係に徴すれば、被告人車が本件交差点の手前で、赤信号によつて一時停止した際における同車の左側面と道路左側端との間隔は、わずかに約50センチメートル、側溝部分を含めても約1mしかなかつたことが明らかであるから、被告人車は、十分に道路の左側に寄つたものということができる。もつとも、前記側溝部分は、本来道路ではないが、車両の通行は不可能でないことは前示のとおりであるから、被告人車と左側歩道との間には約1mの余裕があり、原動機付自転車等の二輪車がそのせまい間隔に入りこんでくるおそれが全くないとはいえない。しかし、原動機付自転車等といつても、若干の幅があり(本件被害車の幅は、原審検証調書によると、68センチメートルであつて、被告人車の左側面と道路左側端との間隔約50センチメートルを約18センチも越えていることが明らかである。)右のようなせまい間隔をすり抜けて前方に進出することのきわめて危険であることは自明の理である。したがつて、右のようなせまい間隔に入りこんでくるような原動機付自転車等があることは、通常考えられないところであるというべきであり、時に本件被害者のように、右の危険をあえておかす者があるとしても、そのことの故に、本件被告人車が十分道路左端に寄らなかつたということはできない。(かような危険をあえておかす者は、自己の責任において、右側の車両の動静に細心の注意を払い、左折の合図を見落さないように務め、最大限徐行するなどして、万一にも接触事故を起こさないよう、万全の注意をなすべき注意義務があるものというべく、少しでもこの義務を怠り事故をひき起こしたような場合には、その責任を一身に負うものと知るべきであろう。)

 

昭和45年6月16日 名古屋高裁

けどまあ、交差点で左側から追い抜きすると、ろくなことにならないのは歴史が証明しているわけで、二輪車乗りとしてはビミョー。
しかし左側端に寄れるのに寄らずに左折した車が「ぼくは悪くない」というのをみると、教習所の教育は失敗に終わった可能性が高いですね。


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