電動キックボードを飲酒運転して、横断歩行者に衝突したそうですが、
東京・港区で男子大学生が酒を飲んで電動キックボードを運転し、70代の男性と衝突する事故を起こしていたことが分かりました。男性は骨折の重傷です。
先月28日の早朝、港区の交差点で22歳の男子大学生が運転する電動キックボードが、横断歩道を青信号で渡っていた70代の男性と衝突しました。
男性は足の骨を折り重傷です。
捜査関係者によりますと、男子大学生は直前まで酒を飲んでいたと話していて、呼気からは酒気帯び運転に相当するアルコールが検出されました。
警視庁が任意で事情を聴いています。
酒飲み電動キックボードで事故 歩行者の70代男性が骨折し重傷 東京・港区東京・港区で男子大学生が酒を飲んで電動キックボードを運転し、70代の男性と衝突する事故を起こしていたことが分かりました。男性は骨折の重傷です。 先月28日の早朝、港区の交差点で22歳の男子大学生が運転する電動キックボードが、横断歩道を青信...
これ、危険運転致傷罪になる可能性があります。
Contents
電動キックボードで歩行者に衝突
報道をみても電動キックボードが特定小型原付なのか一般原付なのかはわかりません。
事故の態様として「歩行者は青信号で横断歩道を横断」したそうですが、
②電動キックボードが車道通行して左折(青信号?)
③電動キックボードも横断歩道を横断した
どのような事故態様なのかはわかりませんが、これ、危険運転致傷罪に該当する可能性があります。
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
特定小型原付も対象になりますから…
ちょうどアルコール危険運転致死傷罪の事故判例の話を作成したのですが(後日公開予定)、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態だった」と判断されたら該当します。
刑法208条の2第1項前段の「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」とは,アルコールの影響により道路交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態をいうと解されるが,アルコールの影響により前方を注視してそこにある危険を的確に把握して対処することができない状態も,これに当たるというべきである。
最高裁判所第三小法廷 平成23年10月31日
アルコール危険運転致死傷罪は事故ったときにアルコールが検知されたら成立するわけではなく、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」だったことを立証しないと成立しませんが、最近の警視庁って電動キックボードについてはまあまあホンキ度高めで対応している印象があるので、危険運転致傷罪の立件に向けて捜査している可能性があります。
ちょうどアルコール危険運転致死傷罪の話を書いたばかりだったので、どのような観点で成立するかについてはまた後日。
ちなみにこういう事故のときに「逮捕の有無」にやたらこだわる人がいますが、逮捕は証拠隠滅や逃亡のおそれがなければしません。
そして逮捕の有無と起訴・不起訴も何ら関係がない。
○追記
赤信号無視だそうな。
同署によると、10月28日午前5時ごろ、男性が青信号で交差点の横断歩道を渡っていたところ、男子大学生が乗る電動キックボードが赤信号を無視し、南側から進入し男性と衝突した。
大学生、飲酒後に電動キックボード運転か 70代歩行者と衝突、重傷 東京(時事通信) - Yahoo!ニュース東京都港区高輪の交差点で、男子大学生(22)が運転する電動キックボードと、歩行者の70代男性が衝突し、男性が脚の骨を折る重傷を負ったことが8日、警視庁高輪署への取材で分かった。 大学生は運
話にならない。
殊更無視の類型もあり得るけど、アルコール危険運転致傷の可能性も。
アホだなぁ
事故の態様が詳しくはわかりませんが、
②電動キックボードが車道通行して左折(青信号?)
③電動キックボードも横断歩道を横断した
どのタイプでも通常の判断力があれば歩行者に当たるなんてあり得ないわけで、飲酒運転ならなおさら話になりませんね。
ただまあ、特定小型原付のうち「シェアサービス」については、以前から飲酒運転者がかなりいるみたいな話はありますし、アルコール検知器を車体に装備してエンジンと同期させる対策は必要だと思いますし、国からも指針としては出ています。
前記の対策に加え、シェアリング事業者は、その事業形態等に応じて、追加的な対策を併せて実施することが望ましい。
なお、その対策の一例は、次のとおりである。
・ 利用者による違反の検挙事例、当該違反に関する罰則、事故事例等の情報をウェブサイト、アプリケーション等を通じ、利用者に対して提供すること。
・ 飲酒運転を誘発するおそれが高い繁華街等の貸出拠点について、夜間の運用を停止すること。
・ 飲酒運転で検挙された者が利用した貸出拠点について、一定期間、夜間の運用を停止すること。
・ 夜間、繁華街にある貸出拠点に従業員等を配置して、アルコール検知器等を用いて、利用しようとする者が酒気を帯びているかどうかを確認し、酒気を帯びていることが確認された場合には、サービスを利用させないこと。
・ 貸出拠点や車体にアルコール検知器を設置し、利用しようとする者が酒気を帯びていることが確認された場合には車体の電源が入らないようにするなど、サービスを利用することができないようにすること。
・ 車体に GPS機能等を付加して通行場所を把握し、特定小型原動機付自転車が通行することができない歩道等を通行している可能性のある利用者を確認した場合には、アプリケーション等を通じて警告音により警告し、利用者に対して違反行為を停止するよう求めるか、又は電子制御により、車体を安全な方法で停止させること。
・ ドライブレコーダー等の映像記録装置に記録された映像を踏まえ、利用者に対して適切な指導や交通安全教育を行うこと。
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/newmobility0503.pdf
貸し出し拠点や車体にアルコール検知器を設置して、スイッチと同期させるべしと事業者向けガイドラインにはありますが、進展しているのかはわかりません。
最終的にはクルマも含め、アルコール検知器とエンジンが同期するシステムを構築すべきでしょう。
バカに「飲んだら乗るな」と言ったところで、効果は低い。
システムで解決すべき。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
電動キックボード、ここまでひどいのは別格としても、
通常モードでの歩道走行はよく見ますし、危なっかしいのも多い。
これは、積極推進したレンタル事業者が、【手軽さ】を強調しすぎた結果だと思います。
しかし、まだまだ拡大したいのか、その辺を改善しようという感じでもないので、
更に重大な事故が起きるまでは、今のような危険な運転や事故は、減らないかと思います。
コメントありがとうございます。
あれですね。
最高速度を10キロにして歩道も車道も通行可能にした方がマシだったのかもしれません。
歩道通行モードが機能してない。