ロードバイクのタイヤというと、昔は23cが標準でした。
20cなんて極細のタイヤも存在するにはしてましたが、さすがに20cを使おうという人はあまりいなかったでしょうけど。
時代は流れ、25cが標準になり、ディスクブレーキ車が登場して28cがデフォルトになっているロードバイクも多々あります。
28cディスクロードに乗っている方に、
細ければいいというのは間違いだったと証明されているわけで、プロ選手も25cとか28c使っているよ。
まあ、時代の流れは確実に25c以上なんですが、よくプロショップで聞く言葉としては
28cについてはそもそも置いてないし・・・
こういう声も実はあったりします。
細いタイヤ信仰
10年位前だと、よくクロスバイクを買ったという方から、
こういう質問が非常に多かった気がします。
要はロードバイクへの憧れも込みで、ロードバイク=細いタイヤ=速い、という簡単な図式ですね。
ちなみに脱線しますが、フルアルミのクロスバイクに23cタイヤとか使うと、絶望的に乗り心地は悪いです。
実は私も、やってました。
軽快感は確かにありますが、振動吸収性の悪さは特筆すべきほどです。
で、ワイドリムと25cが騒がれ始めたのって、確か2015年頃だったと思うのですが、理屈としては
・ワイドリムのほうがホイールの横剛性が高い
・ワイドリムに25cのほうが空力がよい
・23cよりも25cのほうが転がり抵抗が少ない
・デメリットはわずかな重量増加だけ
こういうところでしょう。
同じ空気圧であれば、太いタイヤのほうが接地面積が小さくなるというのが転がり抵抗の正体です。
要はタイヤの空気量が多い分だけ、タイヤの変形量が減るということですね。
これ自体はそういうデータが確かに出ています。
ただ、根本的なところで言うと、23cと25cで同じ空気圧で運用することを想定している時点でややナンセンスではあります。
25cのほうが実際には空気圧は低く運用しますので。
細いタイヤのほうが優れていると思われていたのは、恐らくはこの3点でして
・重量が軽い
・細いほうが接地面積が小さく、転がりがいいと信じられてきた
・細いほうが空力がいいと信じられてきた
まあ、下二つについては、データから否定されているわけです。
それもあって、ワイドリム&25cがデフォルトになっていったわけです。
昔のフレームだと、25cだとクリアランスが足りない場合もあったでしょうけど、今のフレームは、ほとんどが28cまではクリアランスが保証されているものが多いです。
そうなると、23cのメリットは重量面だけ・・・ということもあり、25cの良さもあってどんどん太くする方向に行ってます。
それが今のロードバイク業界。
実際の使用感で言うと
ナローリム+23c、ワイドリム+25cで比べると、明確に違うなと思うところはあります。
それぞれ、自分の感覚でまとめてみました。
メリット | デメリット | |
ナローリム+23c | 重量が軽い分、初動と加速時はキレがある | 振動吸収性は25cよりも下
路面を掴んでいる感じは25cよりも下(悪く言えばヒラヒラした乗り味) |
ワイドリム+25c | 振動吸収性は23cよりも上
路面を掴んでいる感じというか安定感は23cよりも上 |
初動と加速時に、23cよりもワンテンポ遅れる感じがする |
ある程度、使うタイヤとホイールでも変わりますが、大雑把な傾向はこんな感じかなと・・・
ワイドリム+25cは、23cよりも安定感は高いです。
ホイールの横剛性とも関わっているのではないかと思います。
ただ、スピードに乗ったときの印象は、両者で大きな違いがあるとは思えません。
強いて言うなら、峠の下りなどでスピードに乗っているときは、25cのほうが安定感があるように感じます。
そもそもワイドリム+25cに移行した理由
これについてですが、当初ワイドリムや25cを業界がプッシュし始めたとき、私が思ったのは
ディスクブレーキの場合、よく制動力が上がるとか言われますが、そもそも制動力自体はタイヤに依存していますので、ディスクブレーキだからと制動力が上がっても、タイヤが受け止められずスリップするだけです。
なのでディスクブレーキロードが登場する頃は、確実にタイヤは太くなるだろうなと予想していましたが、その前段階としてまずはワイドリム+25cを流行らそうとしたのが業界ではないかと・・・
で、ワイドリム+25c自体は、リムブレーキユーザー、特にプロ選手でも受け入れられていったわけです。
これにはいろんな理由があるのですが、プロ選手の場合、脚力が強いので多少の重量増加なんてほぼ気にしていません。
またヨーロッパなどは道路の舗装状態も日本に比べたら悪いので、そういう道路環境で受け入れられたのかと・・・
一昔前は、23cの細いタイヤに空気をパンパンに入れて硬くして乗ったほうが転がり抵抗も小さいと信じられていたことすらあるのですが、昔からヨーロッパの選手って、空気圧が日本人よりも低めだったと言われます。
この理由は、舗装状態の差でもあるんですね。
日本みたいに舗装状況が良過ぎる国は、23cで空気パンパンでも乗れたんでしょう。
ただ、今の常識で言うと、タイヤの空気圧を上げ過ぎるとむしろ転がり抵抗が増大するとか、跳ねている分ロスになっているというのが常識です。
ディスクブレーキ車がだいぶ普及してきて、ディスクブレーキ完成車は28cがデフォルトのものも多くなりました。
これには二つの理由があり、一つはディスクブレーキの制動力に負けないタイヤの太さが必要という側面と、スルーアクスル化してフレームが硬くなっている、剛性が上がっている分、細いタイヤだと乗り心地が悪いという側面ですね。
まあ、28cタイヤも進化してきたので、昔よりはマシです。
私がスポーツサイクルに乗り始めた頃は、28cというとクロスバイク用のタイヤしかなく、いわゆるロードバイクのレーススペックのタイヤは皆無でした。
クロスバイク用タイヤ、28cではかなりいいタイヤといわれたパナレーサーのT-SERVというものを使っていたことがありますが、28cで270g。
アーバン目的のタイヤとされているのでどうしてもこういう重量になりますが、当時はこれでもかなり軽いほうでした。
クロスバイクにデフォルトで付いてくるタイヤなんて、550gとかクソ重いのしかありませんでしたし。
ただ例えば、コンチネンタルのGP5000だと、28cでも235gと軽量です。
一昔前の25cタイヤとほぼ変わりません。
こういうタイヤであれば、まだ28cでも何とかロードで行けるかもと思いますが、完成車によく付いてくる、ヴィットリアのザフィーロプロ28cなんて、310gあります。
ロードバイクでこの重量のタイヤは勘弁・・・と思う人のほうが多いでしょう。
それぞれいいところはある
ナローリム+23cもワイドリム+25cも、それぞれメリットとデメリットはあります。
どっちのほうが優れている・・・という安易な議論はしたくなくて、このあたりは好みの問題が強いかと。
私の好みは前者です。
それもあって、ホイール買う買うといいながらも買ってない理由はそこなんですが。
どうもワイドリムと聞いて、欲しいという感覚に成れないので。
路面状況が悪いところとか、峠の下りではワイドリム+25cのほうが明らかにいいです。
逆に登り、舗装状況がいい道路では、ナローリム+23cのほうが明らかにいいと思うのですが・・・
かといって、峠の登りと下りでホイール変えるわけにもいきませんし・・・
ここ数年でロードバイクに乗り始めた人は、むしろナローリム自体を知らないかもしれません。
ナローリムのホイールは、カンパニョーロがギリギリ残していましたが、今年になりユーラスとニュートロンを廃盤。
強いて言うならシマノホイールのアルミクリンチャー(リムブレーキ用)はナローリムのままです。
今後シマノホイールはどうする気なのかわかりませんが・・・
ナローリム+23cを試したことがない人も多くなっているのかもしれません。
そういうわけで、特定の場面では優位性は変わるのかなと思ってます。
23cみたいな細いタイヤは時代遅れ、という人もいますが、昔からロードバイクに乗っている人の中には、いまだにナローリム+23cの人って多いですよ。
25cの乗り味が嫌いという人もそこそこいる気がします。
なので言いたいことですが、時代遅れだと言いたい気持ちもわからんでもないのですが、せめて試してから言って欲しいところです。
の〇らぼさんのホイールって、リム幅13mm程度の超ナローリムのTNI AL22を使っていたりしますが、さすがの技術力で人気ですもんね。
ワイドリムに23cはNG?
ワイドリムのホイールの場合、メーカー指定で23cが不可になっているホイールが多いです。
ただし、特にチューブレスレディホイールの場合は、実はワイドリム、それもC19とかでも、推奨タイヤ幅が23mm~になっているものもあります。
ROVALの超ワイドリムカーボンクリンチャーだって、メーカー指定は22c以上ですからね。
https://roadbike-navi.xyz/archives/4833/
ここ最近のフルクラムとかのチューブレスレディホイールも、ワイドリムでも23cが可になっているものもあります。
これは従来の規格に沿わないリム形状だからOKらしいです。
https://roadbike-navi.xyz/archives/9095/
なのでリム幅を見ても、推奨されるタイヤ幅がどれくらいなのかはスペック見ないとわかりません。
メーカーが【25c以上】と謳っているホイールについては、23cは使わないほうがいいのが間違いないところですが、実態としては結構使っている人が多いと聞きます。
まあ、タイヤが外れる可能性はほぼありえないでしょうからね・・・
ワイドリムに23cを使う人の話だと、軽量であることと、タイヤの剛性が上がるように感じるだそうです。
古いものにしがみつくような老害的な発想はしたくないのですが、どうも28c装備のディスクブレーキ車に試乗して、これいいなと思ったことがないもので。
そういうのに乗ると、【せめて25cならまた違う印象になりそうだな・・・】と思ってしまうわけでして。
ただし、28cでもスピードに乗れば、安定感はあるし転がり自体もさほ変わらないということでは、特定状況下ではアリなのかなとも思います。
振動吸収性を高めたいとか、ロードバイクの不安定さ、ヒラヒラした乗り味よりも安定精を出したいと思うなら28cはアリ。
まあこのワイドリム化の時代であっても、新作タイヤに23cを設定しているあたり、まだまだ需要は多いということです。
Continental Grand Prix 5000 ロードタイヤ
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
タイヤの評価というと転がり抵抗ばかりが例に挙げられることが多いですが、グリップが基軸に語られるべきかなと思っています。(ttp://escapetanoshimu.blog.fc2.com/blog-entry-457.html
)他所様のリンクで申し訳ないですが、わかりやすく解説されています。
ワイドリムの重量増は明確な弱点ですね。以前のむラボさんが触れていましたがゾンダなどはワイド化の重量増に伴いスポークが細くなってしまいました(ttp://pass13.blog.fc2.com/blog-entry-3295.html)
コメントありがとうございます。
転がりもグリップもそうですが、単に太さだけでなく、タイヤの銘柄によっても違うので、一概にどうとは言いづらいということもあるかなと思ってます。
ゾンダの件はのむラボを見て知ってましたが、ゾンダはワイドリム化で明確に性能が落ちてます。
ただ、それでもG3の見た目に惹かれて買う人が多いので、満足度という点では悪くないのかなと思ったりもしてます。