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歩行者が死角から直前横断。過失割合はどうなる?

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歩行者が横断歩道がない場所を横断した際に歩行者の「直前横断」と車両の前方不注視が問題になりますが、一般的な過失割合は車両:歩行者=80:20です。

 

ただし、状況次第では車両の無過失を認めることもありますし、歩行者の過失が大きくなる場合もあります。

判例 状況
東京高裁 平成27年8月6日 夜間、片側二車線道路(優先道路)を見通しが効かない脇道(交差点)から直前横断。車両の無過失を認めた。直前横断では38条の2の適用はないと説示。
新潟地裁長岡支部 平成29年12月27日 夜間、片側二車線道路を中央分離帯から横断。中央分離帯上にある樹木と被害者の背丈が同じなことや、車両側からすると逆光になり中央分離帯上の歩行者を視認不可能と判断。車両の無過失を認めた。
最高裁  昭和45年1月22日 車列間横断。被害者は5歳。車両の無過失を認めた。

 

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歩行者の過失が大きいと判断された事例

判例は名古屋地裁 令和4年10月15日。
事故の態様です。

 

・事故発生は夜間
・歩行者は歩道上の電柱の陰から車両の接近を確認することなく直前横断
・事故現場は交差点の直近、制限速度40キロ。

 

原告(車)は車の修理費を求め損害賠償請求と、債務不存在確認請求(つまり無過失を主張)。
被告(歩行者)は反訴として損害賠償請求をした判例です。
歩行者側は判例タイムズの基本過失割合から夜間修正したクルマ:歩行者=75:25を主張。

 

なお、詳しい状況は不明ですがちょうど「横断歩道の予告表示」があるあたりらしく、横断歩道の付近に該当する模様。

 

過失割合はこちら。

クルマ 歩行者
25 75

クルマの無過失を認めなかった理由は、横断歩道がない交差点と道路形状から歩行者の横断が一定程度予測可能だったという点。
歩行者の過失については、以下。

被告は、車両の交通が相当程度ある本件道路において、夜間、右側から進行してくる車両からは死角になる電柱の陰から、(原告車の対向車線上の車両に留意していた反面)原告車が進行してくる方向の確認が著しく不十分なまま、原告車が相当近接した段階で車道に進出するという危険行為に及んだものであって、被告にかなり大きい過失があることが明らかである。

 

名古屋地裁 令和4年10月15日

この場合、歩行者が電柱の陰で死角になったことはまあまあ大きな要素とも取れますが、以前紹介した「クルマの無過失」を認定した判例にしても横断待ちしていた歩行者を視認不可能だったという点を重視しているように感じます。

横断待ちしていた歩行者を視認可能か?

以前挙げた「クルマの無過失」を認めた東京高裁 平成27年8月6日判決にしても、

夜間の幹線道路に見通しが効かない小道からノールック横断し、クルマの無過失を認定。
新潟地裁長岡支部判決にしても、中央分離帯上で横断待ちしていた歩行者を視認不可能と判断されたためにクルマの無過失を認定。

 

これらに共通するのは、「横断待ちしていた歩行者を視認不可能」という点。
視認可能になった時点ではすでに車道に進出しているわけで、どちらも回避不可能と判断されて無過失です。

 

逆にこういう事例。

https://twitter.com/HOSOMI_SHOKAI/status/1641761610300801025

横断待ちしている歩行者を視認可能なので、車両には大きな注意義務があるためクルマの過失が大きくなります。
この状況で「横断することが予見不可能」とは言えませんし。

 

歩行者の過失が大きくなるケースはたまに見かけますが、冒頭の判例でいうと被害者側がクルマの修理費を負担することになります。
受け取れる額と、支払う額を比較して支払いのほうが大きくなる。

 

まあ、必ず歩行者が守られるような仕組みではないですが(金銭的に)、横断歩道での停止率が低いと歩行者がわざわざ横断歩道に行く理由を見いだせなくなり横断歩道外を横断するし、事故が増えるだけなのよね。


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