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緊急車両と横断歩行者の関係。歩行者が譲っても緊急車両は通過できない?

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マニアック過ぎる質問だったので調べるのにお時間を頂きましたが、ぶっちゃけた話、よくわからない点もありました。

道路交通法の解釈についてお尋ねします。

 

①41条では緊急車両について38条1項前段を適用しないと書いてあります。なぜ前段だけ除外され後段の義務があるのでしょうか?横断歩行者が明らかにいないと言い切れない状況に対して減速させ横断歩行者に備えるはずなのに、前段が免除され後段の義務があるのは不自然に感じます。

 

②横断歩行者が車両に対して「お先にどうぞ」としたときに、車両が進行すると違反だという人もいれば違反ではないという人がいます。どちらが正解なのでしょうか。

 

③もし②が違反なら、緊急車両に対して歩行者が「お先にどうぞ」とした場合も緊急車両が進行すると違反になるのでしょうか?

だいぶマニアックな話ですが、とりあえずパトカーや救急車を想定します。

消防車については、歩行者も譲る義務があるので注意。

消防法

第二十六条 消防車が火災の現場に赴くときは、車馬及び歩行者はこれに道路を譲らなければならない
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なぜ?38条1項前段が除外なのに後段の義務がある?

①41条では緊急車両について38条1項前段を適用しないと書いてあります。なぜ前段だけ除外され後段の義務があるのでしょうか?横断歩行者が明らかにいないと言い切れない状況に対して減速させ横断歩行者に備えるはずなのに、前段が免除され後段の義務があるのは不自然に感じます。

要は減速接近義務がないのに一時停止&妨害禁止義務があるのは不自然、という話。

(緊急自動車等の特例)
第四十一条 緊急自動車については、第八条第一項、第十七条第六項、第十八条、第二十条第一項及び第二項、第二十条の二、第二十五条第一項及び第二項、第二十五条の二第二項、第二十六条の二第三項、第二十九条、第三十条、第三十四条第一項、第二項及び第四項、第三十五条第一項並びに第三十八条第一項前段及び第三項の規定は、適用しない

これについては、規定された昭和46年の解説を探ってみてもわかりませんでした。

 

その上で。
昭和42年時点の38条1項はこう。

(横断歩道における歩行者の優先)
第三十八条
車両等は、歩行者が横断歩道により道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)を横断し、又は横断しようとしているときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

まだ前段が規定されていませんが、前段が規定される以前から減速接近義務があると解釈されていました(東京高裁 昭和42年2月10日など)。
そして昭和46年改正で前段が新設されていますが、この改正の意味は新たに減速接近義務を追加したというよりも、減速接近義務違反のみで取締り可能にするために新設した意味合いが強いのです。

 

昭和46年改正

車両等は、横断歩道に接近する場合には、当該横断歩道を通過する際に当該横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

減速接近義務が規定される以前から、減速接近義務は存在してました。
しかし道路交通法上には規定がないため、見通しが悪い横断歩道を無減速で突破しても、たまたま歩行者がいなければ何の違反にも問えなかった。
それを減速接近義務違反のみで取締り可能にするために新設したわけです。

この経緯を考えると、緊急車両といえど「減速接近すべき注意義務」はあるけど、取締り対象ではないというだけなんじゃないかと思います。
サイレン鳴らしているので、歩行者も警戒することが期待出来ますし。

 

違反として取らないことを明確にしただけで、減速接近すべき注意義務が免れるわけではないのかなと。

歩行者が譲った場合

②横断歩行者が車両に対して「お先にどうぞ」としたときに、車両が進行すると違反だという人もいれば違反ではないという人がいます。どちらが正解なのでしょうか。

 

③もし②が違反なら、緊急車両に対して歩行者が「お先にどうぞ」とした場合も緊急車両が進行すると違反になるのでしょうか?

②から。
一時停止した後に、歩行者の意思と行動を確認して先に行けというなら、車両が進行したところで違反とは思いません。
当たり前ですが一時停止は必須だし、進行するにしても最徐行していつでも停止できる速度が条件になりますが。

 

横断歩道で一時停止後、歩行者が「先に行け」と言えば。
道路交通法38条1項って、病的に解釈する人がいるのでビックリします。 一連のやり取りを見るに、警察官までだいぶいい加減な説明をしたようで。 道路交通法38条 こちらにも書きましたが、 横断歩行者妨害の規定は道路交通法38条1項。 (横断歩道...

 

条文や判例からしても一時停止後なら違反になるとは思いません。
けど違反だと主張する人は確かにいますね。

その上で。
③の緊急車両についても条文上は38条1項後段について同様に義務を課しているのですが、サイレン鳴らしてスピーカーで周囲に警告しているため、歩行者も一般的には緊急車両に譲るかと。
歩行者が緊急車両に譲る義務はないですが、ある種の善意として譲ったものについて危険がないことを確認しながら進行するなら、同様に違反とは言えないでしょう。

 

もちろん、一般車両の場合と緊急車両では意味合いがだいぶ違います。
しかし法律上は両者ともに同じルールとして38条1項後段の義務を課している。

条文上同じだから同じ扱いとは正直思いませんが、そのあたりは社会通念で考えるしかないと思います。
横断歩道で歩行者がサイレン鳴らした救急車に譲るのは完全なる善意ですよね。
一刻を争う事態かも知れない救急車を先に行かせることはごく自然な話だし、それに対し救急車が先に行くことを咎めるのはちょっと違うと思う。

 

一般車両に歩行者が譲るのと同視するのはちょっと違うと思うので、可罰的違法性とか社会通念で考える問題なのかもしれませんが、条文上は両者同じ。

 

歩行者が譲ったときに、緊急車両が安全を確認した上なら先に行くことが許されるから一般車両も同じだ!みたいな考え方は安易だなと思いますが、たぶんこういうのについては条文だけでは解決できない社会通念上の話が絡むんじゃないですかね。

 

まさか救急車を止めて切符を切る警察官はいないでしょうし。

たぶんですが

こちらでも少し触れましたが、

 

道路使用許可がある場所で道路交通法違反が成立するか?
個人的にはそもそも論点がおかしいと思っているので、どうでもいい話になります。 ツールド北海道事故について、被害者さんが対向車線にはみ出したことを道路交通法違反だと考える人もいるのが事実。 個人的にはそこは論点になり得ないというか、集団落車な...

 

レースの使用許可で道路交通法の具体的義務を無くせる条文上の根拠があるのか?というと、無いと思う。
道路交通法上は道路であることは明らかだし、判例で示された内容がおかしいとも思わないですし。

 

条文解釈もいいのですが、ある程度は社会通念で考えるべき点もあるわけで、例えばこれ。

横断歩行者妨害だから歩行者がいなくなるまで待ってろ!というのは違うんじゃないですかね。
もちろん一般車両が同じようにスピーカーで「通ります!」などと言って蹴散らすのは違反とすべきだし、「一般車両も緊急車両も同じように38条1項後段の義務があるじゃないか!」というのは違うと思うけど。

歩行者が譲る義務はありません。

ある程度社会通念や常識の範疇で許されるのが緊急車両ですし、条文が同じだから…とは解釈できないと思う。

 

答えになっているかはわかりませんが、法律ってそういうもんだと思いますよ。
条文だけで全てが解決するわけではない。


コメント

  1. upmoon より:

    そもそも消防車の定義がないのですが、どう解釈すべきなのだろうか

    消防法には救急業務も挙げられていて、もしかして消防局所属なら消防車と解釈するのもありなのかな?

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      消防用の車両(緊急車両)については令13条に規定がありますし、消防法では

      第二十六条 
      ② 消防車の優先通行については、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第四十条、第四十一条の二第一項及び第二項並びに第七十五条の六第二項の定めるところによる。

      とあるので、道路交通法の優先規定から準用しているのではないでしょうか?

  2. ゆき より:

    サイレンを鳴らしていても、聴覚障害者の方は障害の具合によっては聴こえないので、そのまま止まらず歩いてくる可能性がある。
    足の不自由な方が進路上に居て、避けようとゆっくり歩いていても轢いてよい訳では無い。

    そんな感じのフォローのような気もします。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      後段を免除していない理由はおそらくそれですが、だったらなぜ前段を免除するのか…という話にもなります。
      たぶん前段の義務を免除しているわけではなくて、前段の罰則は適用しないだけの趣旨だとは思いますが。

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