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速度標識がない生活道路は、法定速度60キロまで認められているか?

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道路交通法22条1項によると、速度標識がある道路ではそれが最高速度になり、速度標識がない道路では法定速度(60キロ)が最高速度になります。

歩車道の区別がない生活道路って速度標識がないほうが多いと思うのですが、それこそ生活道路に入る前の道路には「40キロ」の標識があるのに、センターラインもない生活道路に入ると速度標識がない。
これって不思議に思いません?

むしろセンターラインもなく歩車道の区別もない道路こそ制限速度を設けるべきじゃないかと。

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なぜ?生活道路に速度標識がない理由

このあたりの考え方について道路交通取締法時代(昭和35年以前)の解説書に書いてあったのですが、要は見通しが悪い交差点には徐行義務(現行42条1号)や一時停止義務があり、歩車道の区別もない道路なら「無謀操縦の罪」(現行70条安全運転義務)が働くので、そもそも速度制限をするまでもなくスピードを出しようがないという話らしい。
確かに上のように次から次へと「左右の見通しが悪い交差点」があれば法令上は徐行義務があるわけで、法規に従う限り、交差点と交差点の間の数十メートルを時速60キロとか出しようがない。

加えて一時停止標識があれば一時停止することになるし、わざわざ速度標識を立てるまでもないというのが理由。

 

最近は「ゾーン30」とかありますが、

これにしても、法規に従う限りは左右の見通しが悪い交差点で徐行義務があり、他条に従う限りはそもそも30キロすら出ないというほうが正解なのかもしれません。
速度超過罪(22条1項)として検挙するか、徐行義務違反(42条1号)として検挙するかの違いでしかない。

 

ただまあ、どちらも取締りしていることがマレという話でもあります。
有名な最高裁判例にこういうのがあります。
最高裁判所第三小法廷 昭和43年11月15日判決になりますが、

この判例、元々は道路交通法違反(42条徐行義務違反)として検挙され最高裁まで争ったもの。
徐行義務違反単独で取締りしている時代もあったんだなと思ってしまいますが、速度標識で規制するまでもなく、徐行義務や安全運転義務に従えば、必然的にスピードを出しようがない。

 

むしろ速度標識を立てると、「その速度まではいいんだ」と誤解を生むのかもしれませんね。

 

安全運転義務にしても、本来は「事故に結びそうな運転方法のうち、他条で規定してないものを取り締まる」はずが、いつの間にか「事故ったら違反」みたいな運用になっている点が問題なのかもしれません。
本来的には事故が起きても安全運転義務違反にならないこともあるはずなのに、事故が起きたときに違反処理する規定みたいな運用になってますし。

 

事故の発生を違反にするのではなく、事故に結びつく危険性がある運転を規制する条文なんですが…
昔って事故が発生してない安全運転義務違反を検挙した事例がいくつもあるのに、

自転車の片手運転と安全運転義務違反。
まあまあどうでもいい話を。 自転車の片手運転が安全運転義務違反になるのか?という比較的どうでもいい話があります。 ちょっと前に「おにぎり食べながら運転すると安全運転義務違反」というネット記事もありましたが、それに関係して というビミョーな質...

いつの間にか運用がなんか違うことに。

 

他条の規制に従うならそもそもスピードを出しようがないから速度標識が立てるまでもないというのはその通りでしょうけど、速度標識があるほうが分かりやすくなるのか、速度標識を立てることでそのスピードまで容認しているかのような誤解を生むのかは難しいところ。

 

現実的には「速度標識を立てることによる費用や管理」の問題なのかもしれませんが。

本来の運用からすると

ゾーン30というのは最高速度が30キロに制限されるわけですが、いろいろ調べてみると「他条に従えばそもそもスピードを出せない」というほうが正解だから速度規制をするまでもないというほうが正確なのかも。

特に歩車道の区別がない道路なら、住宅から飛び出る歩行者をも考慮する必要があり、標識速度規制をするまでもないとも言えますし。

 

ただし難しいのは、42条1号の徐行義務違反の取締りなんて聞いたこともなく、遵守率は低いこと。
少なくとも昭和40年頃には取締りしていたから最高裁判例がある。
上で挙げた最高裁判例は道路交通法違反(42条)についてです。

裁判所 事件番号 判決
墨田簡裁S42.3.17 昭和41年(ろ)867号 有罪
東京高裁S42.11.14 昭和42年(う)883号 控訴棄却
最高裁S43.11.15 昭和42年(あ)211号 破棄差戻し
東京高裁S44.3.26 昭和43年(う)2549号 控訴棄却(有罪)
最高裁S45.11.10 昭和44年(あ)878号 上告棄却

まあ、生活道路の交差点で徐行義務違反の取締りなんて現実的ではない気がしますが、確かに他条に従うなら速度標識がなくてもそもそもスピードを出しようがないのでしょうね。
徐行義務、一時停止義務、安全運転義務などがあれば、生活道路に速度規制をするまでもない。

コメント

  1. カモがネギしょってる より:

    制限速度はそれ以上の速度を出してはいけないということなのに、その速度で走らないといけないと思っている人が多いのが現状です。何も考えずに前の車に付いていく運転の人もいますし。50km/h制限の国道を走っていたときに、局部豪雨で視界が20~30m先のテールランプがやっと見えるくらいだったのですが、その状況でも減速せずに走っている車はいました。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      なぜかその考え方の人はまあまあいますよね。
      最高速度標識を最低速度標識と勘違いしているのか…

  2. 神尾 より:

    昭和の時代には法定速度を昼夜で変えていたそうですね。昼に比べ夜間は法定速度を下げていたそうです。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      昭和22年~確か33年までは法定速度が昼夜で違いましたが、意味合いとしては「夜間を下げた」のではなく「昼間を上げた」のほうが正確かなと思います。

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