ロードバイクを安く買う方法について質問をいただきました。
どうしても欲しいロードバイクがあります。
いろいろ調べていった結果、メーカーから自転車屋に納品されるときは7部組という状態で、残りは自転車屋が組み立てると聞きました。
欲しいロードバイクの予算が足りないので、7部組のまま安く売ってもらえるように交渉するのはアリでしょうか?
残りはネットで調べながら自力で組み立てます。
回答いたします。
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多分無理です・・・
この方の言う通り、ロードバイクというのはメーカー(輸入代理店)から自転車屋に卸されてくるとき、7部組といって70%完成・30%未完成の状態で来ます。
自転車屋は残り30%を組み立ててお客さんに販売するわけですね。
で、これを【残りの組み立ては自分でやるから安く売ってくれ】と交渉したいそうですが、これに応じてくれる自転車屋はないと思います。
もしこれに応じてくれる自転車屋があるなら、逆に信用できないのでそこで買うべきではない気もします。
これの理由について説明しましょう。
一番の理由ですが、恐らくメーカーなり輸入代理店は、自転車屋に対して【適正な組み立てをして販売すること】を条件に契約していると思われます。
これについては正直なところ内情は詳しく知りませんが。
プロショップって、全てのメーカーのロードバイクが買えるわけではないですよね?
あるショップでは【ジャイアント、ビアンキ、LOOK、TIME、アンカー】を扱っていて、あるショップでは【トレックとスペシャライズドのみ】とか、ショップによって扱っているメーカーは違います。
これについてですが、輸入代理店とプロショップは契約しているからそのメーカーのロードバイクを扱えるわけです。
契約条件ってメーカーによって違うようですが、メーカー的には適当な組み立てで販売されてユーザーから【あのブランドはクソ】とか風評被害を喰らいたくないので、どこのショップでも契約してくれるというわけではありません。
なので恐らくですが、契約的にきちんとした組み立てをして販売するように縛られているはずですし、適当な組み立てばかりでクレームが相次いだショップは契約を切られる可能性もあると思います。
これが契約上の問題ですね。
次に考えられるのは、保証の問題です。
自転車屋は適正な組み立てをしてから販売することが求められますが、もし組み立てに問題があって事故が起きた場合、メーカーやショップの責任になります。
実際、消費者庁が公表している自転車製品事故情報というものがあるのですが、ここを読むと【製品起因が疑われる事故】というものがあります。
上のリンクは28年分。
こちらは27年分となっています。
ここを読むと【クイックリリースを不適切に調整したまま乗車したことによりクイックリリースレバーが解放され】とか【ハンドルステムとホークステムの固定ボルトの締め付けが十分でなかったために】とかそういう事故があるのですが、それも【製品起因が疑われる事故】として取り扱いされています。
これが何を意味するかというと、もし7部組でお客さんが自分で組み立てて、組み立てが不十分だったために事故が起きたとしても、製品に原因アリと判定される可能性もゼロではないということです。
こうなればメーカーや自転車屋は賠償問題になりかねません。
メーカーも事故の原因を調査するでしょうけど、その段階で【自転車屋が7部組のまま売っていた】なんて判明した日には、メーカーから自転車屋に対して賠償問題にもなりかねませんし、契約も即刻打ち切りでしょう。
自転車屋は、そういう安全も含めてお客さんに売っていると考えたほうがいいです。
逆に言えば、プロショップの組み立てが不適切だったために事故が起きたならプロショップの責任ですし、大きな責任を持っているのがプロショップとも言えますね。
じゃあ、フレーム買いの場合は?
上のような回答をしたあと、この方からメールが来まして追加で質問いただきました。
理屈は何となくわかるのですが、フレーム買いしてお客さんがコンポやホイールは別に買って自分で組み立てる場合もありますよね?
それとの違いがよくわからないです。
これについて回答します。
完成車として売った場合、その完成車についている全てのパーツを含めてメーカーやプロショップは責任を負います。
例えばですがジャイアントのロードバイクでシマノのコンポが付いていたとしましょう。
もしコンポの初期不良があった場合、シマノに文句を付けるのではなく、まずはプロショップ経由でジャイアントに保証対応を求めます。
ジャイアントが新しいパーツを調達し、それをプロショップが組み付けてお客さんに返すという流れになりますね。
ジャイアントはそれとは別に、シマノに対して初期不良のパーツを返品交換求めるでしょう。
これをいきなりシマノに【初期不良だから変えてくれ】と言ってもたぶん応じないでしょう。
ジャイアント通してくれという話になると思います。
要は完成車として売っている場合、完成車に付属する全てのパーツに対してメーカーやプロショップが責任を負います。
ところがフレームだけ買ってお客さんが自力で組み立てる場合、フレームメーカーの保証の範囲は【フレーム&フォークの初期不良】だけに限られます。
そこから先はお客さんの作業なんで、何ら関与しないというわけですね。
ただしフレームメーカーの中には、フレーム買いの条件として【契約しているプロショップで組み立てること】を条件にしている場合もあるはずです。
これもメーカー側のリスク管理ですよね。
例えばお客さんがオーバートルクでボルトを締めこんでフレームが割れたのに【お前らの製品は弱すぎるんだ!!】とかクレーム付けてくるアホもいるでしょうから、そういうアホを予め排除するために【ショップでの組み立て限定】とか制約を付けるわけです。
7部組からの組み立て技術で、ロードの性能は大きく変わる
メーカーから7部組で送られてきた自転車を、プロショップで組み立てるわけです。
この時のプロショップの作業次第で、実はロードバイクとしての性能は大きく変わります。
誰でも出来るような作業だったら、自転車屋なんて要らないわけです。
きちんと修行を積まなければできない作業があり、それをするかしないかでロードバイクとしての性能が大きく変わるのです。
プロショップは、細かいところまでチェックして修正してから売っているもんですよ。
メーカーの組み立てでは気に食わないからと一度全部バラバラにするプロショップもありますし、メーカーのワイヤー長がおかしいということで長さを詰めるとか、ホイールのフレを取るとか、いろんな作業をしてからお客さんに渡します。
ちょっとのことが大きな差になるのがロードバイクです。
一工夫するだけでペダリングが軽くなるとか、シフト操作が軽くなるとかそういう技術を持っているからプロショップが成り立つわけです。
それが下手なショップもあるようですが・・・
通販で買うと、分解されていません??
この方からのさらなるメールで、再度質問をいただきました。
楽天など通販でロードバイクを買うと分解されて届くと思っていたのですが、それはどうなのでしょうか?
これについてですが、まともなメーカーのロードバイクを通販で買った場合、基本的にはほぼ完成形で届くのではないでしょうか?
7部組のままということはさすがにないはずです。
ただし、サドル高とかハンドル位置とかは乗る本人が跨って調整しないとできないので、そういうところは適当なところにセットされていると思います。
ただ全体的に見て、プロショップに比べると細かい調整まではしていない印象はあります。
そういういい加減さを嫌うメーカーは、そもそも通販禁止にしています。
ジャイアントやトレック、スペシャライズド、キャノンデール、LOOKなどは通販禁止のはずです。
ほかにどれだけ通販禁止にしているメーカーがあるのかは知りませんが、噂によるとメリダなんかはカーボンフレームだと通販禁止?とかそういう話も聞いたことがありますし、ビアンキなんかはハイエンドモデルについてはレパルトコルサストア限定商品にしているので、事実上
通販では買えないかと。
7部組で売ってくれ、というのは失礼な気がします
安く買いたい気持ちはわかりますが、7部組のままでいいから安く売ってくれというのはショップに対して失礼な気がします。
プロショップでやっている作業を否定しているようなセリフですよ。
言い方を変えると、【誰でもできる作業だから俺がやる。だから安くして】と言っているようなものです。
残念なことにダメなショップというのも中にはあります。
ですが多くのプロショップはきちんとした技術があるからプロなわけです。
ただもしかしたら、そのショップの常連さんで、ショップ側もお客さんの技量を知っている場合は応じてくれるかもしれません。
見ず知らずの人に7部組のまま売るということはないはずです。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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