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普通自転車の「交差点進入禁止規制」の話。

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これは鎌倉の滑川交差点を、江ノ島→横須賀方向に進行するT字路だと思いますが、

以前この交差点については管轄の鎌倉警察署に「規制意図」を確認してまして、要は左折巻き込み防止。
自転車が直進する際には第一通行帯から直進する義務があり(35条1項、20条1項)、第一通行帯が左折専用レーンでも左折専用レーンから直進することになりますが、

多くのドライバーは自転車が第一通行帯から直進することを知らない」ことと、この交差点は歩車分離式であること、交差点中心にポールで囲われた交通島みたいな構造があり自転車が第一通行帯から直進する際にポールと接触するリスクがあることなど総合的にみて「普通自転車の交差点進入禁止規制」(63条の7第2項)を掛けている。

(交差点における自転車の通行方法)
第六十三条の七
2 普通自転車は、交差点又はその手前の直近において、当該交差点への進入の禁止を表示する道路標示があるときは、当該道路標示を越えて当該交差点に入つてはならない
種類 番号 道路標示 表示する意味
普通自転車の交差点進入禁止 114の4 交通法第六十三条の七第二項の道路標示により、普通自転車が当該道路標示を越えて交差点に進入することを禁止すること。

ところで、この規制は「自転車を歩道に上げる」都合上、普通自転車のみに規制がかかる。
非普通自転車は歩道通行できないので、ハンドル幅が600mmを越えるMTBなどはこの規制の対象外だし、特定小型原付も規制の対象ではない。

 

普通自転車と大差ない動きをするのに、普通自転車は歩道を通行させ左折巻き込みリスクを未然に防止し、非普通自転車や特定小型原付は車道で左折巻き込みに未然防止策がないというちぐはぐな状態になっている。

 

左折巻き込みリスクはどちらも変わらないのにね。

 

さて「普通自転車の交差点進入禁止規制」(63条の7第2項)は規制標示ですが、直接的な罰則はない
警察官に指示されて従わない場合のみ罰則(63条の8)。

 

このように罰則を設けていない理由は、このルールは自転車の「他害性」に着目したものではなく、自らの安全性に関わるものに過ぎないことから、罰則で担保するのではなく自発的な遵法精神に委ねるべきという発想で罰則を設けていない。
そしてこのルールが出来た昭和53年に、警察庁がとんでもない解説をしている。

第2項の違反は、この道路標示を越えて当該交差点に入ったときに成立する。したがって、道路標示を越えずに回り込んで交差点に入れば違反は成立しないが、そのような場合は通常、他の条の違反(通行区分違反等)になることが多いと思われる。

 

「特集 改正道路交通法解説」(警察庁交通局)、月刊交通、昭和53年9月、東京法令出版

 

えっ!?笑
これだと63条の7第2項の違反にならないと警察庁が認めているのよ笑。

滑川交差点をみると、指定通行区分(車両通行帯)があるのだから、左側端通行義務ではなく第一通行帯通行義務になる。
つまり左折レーンの右寄りを通行し、かつ、「普通自転車の交差点進入禁止規制」を越えないなら違反にはならないことになりますが、

思うに、普通自転車「だけ」を対象にしている時点で辻褄が合わないし、立法時の解説でも謎の回避策を披露するあたりをみてもさほど重要視してないのだと理解できる。
ちなみに確か警視庁管内(東京都)ではこの規制がむしろ危険と混乱を招くとして、現在は一つもないはず。

 

とはいえ、この交差点に交差点進入禁止規制を敷く理由は

 

「自転車が左折レーンから直進するルールはさほど知られていないため、左折巻き込みリスクが高いから」

 

規制を掛けている理由を理解して、あとは自分で考えましょうとしか言いようがないのよね。

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