AIを使う人の問題点そのまんまというか、情報をきちんと整理できない人の典型例としかいいようがないんだけど
『単に歩道を通行する違反はこれまで通り「指導警告」にとどめる』ことの問題点について、AIさんにちょっと聞けばこれぐらいの回答が返ってくるので、マスメディアにはもうちょっとがんばってもらいたい。 https://t.co/drHaec44fM pic.twitter.com/KEDducozJ2
— 大司教 (@SherlaneHalaran) August 12, 2025
AIにまとめさせた内容は「基本的に取り締まりしない」→「歩道の徐行義務違反が容認されかねない」としている。
そもそも警察庁が示した内容は違うのよね…

○ 自転車の運転者による反則行為のうち、交通事故に直結する危険な運転行為をした場合や、警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合といった、悪質・危険な行為が自転車の交通違反の取締り対象となります※。
○ 一方で、単に歩道を通行しているといった違反については、これまでと同様に、通常「指導警告」が行われます。青切符の導入後も、基本的に取締りの対象となることはありません※ 。
※ 例えば、スピードを出して歩道を通行して歩行者を驚かせ立ち止まらせた場合や、警察官の警告に従わずに歩道通行を継続した場合には、取締りを受ける場合があります。
警察庁は「歩道通行の事実のみ(通行区分)」については取り締まりの対象ではないが、徐行義務違反や歩行者妨害、警察官の指示に従わない場合(63条の4第1項但し書き)については取り締まりの対象とする。
「取り締まりしない」→「徐行義務違反の取り締まりをしない」ではないのに、AIなんかにまとめさせるからガセネタを前提にした謎論評を作成してしまう。
自分できちんと事実をまとめない人の問題点そのまんまなのよ…
そもそも基本原則はここ。
国家公安委員会委員長記者会見要旨
令和5年12月26日(火)11:02~11:09
問 自転車運転の青切符を盛り込んだ報告書が国家公安委員にも報告されたと思います。そこでお伺いしたいのは今後の教育の問題です。特定小型原付でも具体的な教育があまりなされている様子がなくて、今後、警察庁だけではなくて文科省とか総務省とも連携しなければならないと思います。閣僚としてどのように働きかけるおつもりかお願いします。
答 まずご指摘の自転車につきましては、近年、対歩行者との事故が増加傾向にあるとこういうふうにまず認識をしております。そのことを踏まえまして、警察庁においては、本年の8月以降、有識者検討会を開催してきたところでございます。お尋ねのとおり、このたび、有識者検討会においては、安全教育、違反の処理、交通規制の3点に関して、今後の取組の方向性について提言をする中間報告書が取りまとめられ、提言いただいたところでございます。
このうち、交通安全教育につきましては、官民の知見により、それぞれの年齢層、ライフステージに応じた安全教育に係るガイドラインの策定をいたしまして、安全教育の質の担保をすることが提案されているところでございます。これを実現するためには、教育現場や自治体との連携が非常に重要であるため、関係省庁に対して必要な働き掛けを行っていくよう、警察庁を指導してまいりたいと考えております。
そのようにしっかりと連携をいたしまして、やってまいりたいと思っておりますが、違反の処理につきましては、自転車利用者による交通違反を交通反則通告制度の対象とすることが提言をされておりますが、制度の運用に当たっては、指導警告をまず原則といたします。これに従わないなどの特に悪質、あるいは危険な違反に限っては青切符による取締りを行うことにより、目的である違反者の行動改善を促すこと、こういった取組をしっかりとやってまいりたいと考えております。問 取締りについては、まず切符を切るということではないということですね。
答 申し上げたとおり、まずはやはり指導警告これを原則といたしておりますので、報道等では即青切符というイメージが残っておりますが、やはり交通ルールを守っていただき、結果的に事故が起こらないことが私どもの目的でございますから、その点については、申し上げたとおりでございます。
国家公安委員会委員長記者会見要旨
実効性のある指導警告
運転に免許を必要としない自転車利用者に対して交通ルールを認識させる機会でもあることから、違反者自らの違反行為の危険性や交通ルールを遵守することの重要性について理解できるよう実効性のある指導警告を行う。
取り締まりの推進
警察官の警告に従わずに違反行為を継続したときや、違反行為により通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせたときなどには、積極的に取締りを行う。
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kentokai/04/chuukanhoukokusyo-honbun.pdf
この前提と法の規定(特に63条の4第1項3号「やむを得ない」)を考えたときに、そもそも歩道通行の事実のみで通行区分違反を取るのはムリがあるのだから、警察庁が通行区分違反のみで取り締まりしないというのは妥当。
しかし徐行義務違反や歩行者妨害については別。
ところで、「法の下の平等」と語ってますが、平等な取り締まりというのはそもそも不可能なことなのでして、
現場に警察官がいなければしょうがないのよね(理屈の上では動画で取り締まり可能ですが、ナンバーもない自転車を特定することは困難)。
そして悪質性や取り締まりの必要性については個別に考える問題なのだから、この論点を持ち出すこと自体が不毛。
さて、警察庁の解説。
第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。
警察庁パブコメと国家公安委員会の会見からすると、1項については但し書きにある「警察官の指示」に従わない場合には取り締まりする可能性があるとする。
2項については、危険性と悪質性を考慮して取り締まりする場合と注意指導にする場合があると読み取れる。
しかし「取り締まりしないんです」が独り歩きして、意味が変わってしまっているわけよ。
AIを使うこと自体は否定しないけど、今回のケースでいうとAIがまとめた内容は事実誤認を前提にした論評と言わざるを得ない。
メディア記事のほうがまだマシな内容にすら思えますが、なんで人間がチェックしないのか不思議だし、ワケわからん事実誤認を広めて何をしたいのだろう。
徐行義務違反については、現実的には明らかな危険速度なら一発青切符もあるし、注意指導に従わない場合に青切符の運用もありうる。
それらは具体的状況次第で変わるのは当たり前ですが、そもそも今の時点でも明らかにヤバい速度は赤切符で送検してんのよね。
それが青切符に変わるだけの話。
しかし、AIにガセネタを前提にまとめさせて喜んでいるレベルじゃ話にならんな…
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。



コメント
AIは、理解している内容について、まとめさせて楽する、くらいの使い方が、
まだマシな使い方であって、知らないことを聞くのは危険すぎます。
間違いというよりは、「明らかな噓」を言ってくるし、それがもっともらしいので、知らないことを聞くと必ず騙されます。
コメントありがとうございます。
要は使いこなせる人が使えば有益ですが、使いこなせない人が使えば害なんです。