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「歩道」を横切る前には「歩行者の有無に関係なく」一時停止義務がある。

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凄く変なものを見かけたのですが。

これは横断歩行者妨害(38条1項)ではなく、「歩道を横切る車両の義務」(17条2項)の書類なんだとわかりますが、

 

横断歩行者妨害(38条1項)は「横断歩道において進路の前方を横断する歩行者がいるとき」と「横断歩道において進路の前方を横断しようとする歩行者がいるとき」に一時停止義務を課しているのに対し、

これらを図にまとめると下図のとおりになる。下図において、横断歩道上の網掛け部分が横断歩道上かつ「進路の前方」のゾーンであり、歩行者として示したA、B及びCは、それぞれ、進路の前方を「横断する者」がA、「横断しようとする者」がB、それ以外がCとなる。

https://www.road-to-the-l4.go.jp/activity/courtcases/pdf/courtcases01.pdf

https://www.road-to-the-l4.go.jp/activity/courtcases/pdf/courtcases03.pdf

17条2項は「歩道を横切るとき」に「歩道の直前で一時停止する義務」を課している。
つまり歩道上の歩行者の位置に関係なく、歩道を横切るときには必ず一時停止する義務がある。

(通行区分)
第十七条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条及び次条第一項において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。
2 前項ただし書の場合において、車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない

この規定を勘違いする人がいるんだけど、解釈はこうなる。

歩行者の通行を妨げないとは、たとえば歩道を通行しまたは通行しようとしている歩行者をして一時立ち止まらせるとか、後戻りを余儀なくさせるようなことのないことをいう。
なお、車両の運転者は、歩道等に入る直前で一時停止し発進したとしても、その後において、歩行者の通行を妨害することになるときは、再び一時停止するか、または徐行しなければならない。
「歩道等の直前での一時停止」「歩行者の通行を妨げないこと」このいずれかの要件を欠いても法第17条第2項の違反となる。

 

警察庁交通企画課、道路交通法ハンドブック、p1070、ぎょうせい

一時停止の義務と歩行者の通行を妨げてはならない義務をともに要求されるのでそのいずれかの義務を欠いても違反となる(同旨 法総研75ページ)。

 

東京地方検察庁交通部研究会、「最新道路交通法事典」、東京法令出版、1974

一時停止の義務と歩行者の通行を妨げてはならない義務とは、ともに要求されるからその一方を欠いても違反となる。

 

久保哲男、「実務道路交通法」、立花書房、1986

2項の「歩道等に入る直前で一時停止し」とは、(中略)この場合、進路上の歩道等を歩行者が通行していると否とを問わない。

 

木宮高彦、岩井重一、「詳解道路交通法」、有斐閣ブックス、1977

つまり17条2項の違反態様は3パターンある。

①歩道の直前で一時停止しなかった
②歩道の直前で一時停止したが、歩行者の通行を妨げた
③歩道の直前で一時停止せず、さらに歩行者の通行を妨げた

 

冒頭の資料を見たときに、なぜ是正措置をしたのかよくわからず。

 

一応理屈の上では「歩道の直前で一時停止せず、さらに歩行者の通行を妨げた」として反則告知したのに、実は「一時停止せず、歩行者の通行を妨げなかった」だと違反は成立するものの書類上は問題になる。
なので一時停止義務違反(17条2項前段)は成立するものの、切符処理上で17条2項前段+後段の違反にしてあるから是正措置するしかないのか、

 

それとも、現に歩行者妨害に至らなかったことから、一時停止義務違反のみの検挙は妥当ではないと判断したのか。

 

よくわからず。

 

まあ、違反切符の妥当性と法解釈は必ずしも一致しませんし、そもそもこの書類の出所も不明なのでさほど重視しませんが、

 

「一時停止では足りない」とした判例すらあるのよね。

歩道を通行する自転車と、路外に出るために左折するクルマ。
このような事故は悲しいところですが、県道を走っていた車がこちらの駐車場に入ろうと左折したところ走ってきた自転車と衝突したということです要は歩道通行自転車と、路外に出るために左折したクルマが歩道上で衝突した事故になります。一時停止歩道を横切る...

過失運転致死傷罪の注意義務と、道路交通法の義務は別問題ですが、この広島高裁判決はわりと大事。
冒頭の件については真相は不明ですが、歩道の直前で一時停止する義務の意図はこれ。

歩道手前の地点での一時停止義務は,飽くまで,本件歩道に進出するに当たって,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認するために課されるものであり
広島高裁 令和3年9月16日

歩行者や自転車の有無を確認させることを目的に一時停止義務を課している。
そこが横断歩道とは違う。

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