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四日市の地下駐車場水没事故と、国の責任。

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四日市の地下駐車場の水没の件。

大雨で9月に浸水した三重県四日市市中心部の大型地下駐車場「くすの木パーキング」を巡り、国土交通省三重河川国道事務所の大吉雄人所長は24日、水没した車274台の所有者に対し国が金銭を支払う方針を表明した同事務所は、車両用出入り口2カ所に設置された止水板の故障を水害まで4年近く放置していた。大吉所長は「被害拡大の一因になった」と国の責任を認め、「深くおわび申し上げたい」と陳謝した。

国は同駐車場のうち国道の地下部分を所有し、故障した止水板は国道側にある。管理会社TFIが2021年11月に故障を見つけ、翌12月に同事務所へ報告、両者は22年1月に協議した。止水板修繕は国が担う大規模修繕に該当する。管理会社はその後も月次報告で「極めて緊急性が高い案件」として故障を報告し続けたが、同事務所は修繕せず放置していた。

24日は、被害実態解明や復旧方法などを関係団体や有識者が協議する復旧検討委員会が津市で開かれ、最終報告書をまとめた。委員長を務める川口淳・三重大大学院教授は報告書で所見として「天災だったと考えられる」との前提を示した上で、故障について「国が措置を講じていれば、浸水影響を一定程度軽減できた可能性も否定できない」と指摘した。

委員会後の記者会見で、大吉所長は「止水板故障が被害拡大に関与してしまったことは重く受け止める。被害拡大分について、国が一定額の金銭の支払いを前提に示談する方向で検討したいと考えている」と表明した。金額の算定方法など詳細は、1月の説明会で明らかにするとした。

一方で、「国に確定的に賠償責任があるとは認めていない。(浸水が)天災による不可抗力か回避できたものかを確定させるのは難しい」と主張。金銭は「賠償金」ではなく、あくまで「早期救済等を総合的に鑑み、補償金と同様の位置づけで支払うもの」と説明した。

三重・四日市の地下駐車場浸水 国「止水板故障放置」で金銭支払いへ(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
大雨で9月に浸水した三重県四日市市中心部の大型地下駐車場「くすの木パーキング」を巡り、国土交通省三重河川国道事務所の大吉雄人所長は24日、水没した車274台の所有者に対し国が金銭を支払う方針を表明

まず事実関係から整理しましょう。

国道側 市道側
設置者 国土交通省 ㈱ディア四日市
管理運営 TFI㈱ ㈱ディア四日市
日常管理 ㈱ディア四日市 ㈱ディア四日市
台数 203 306

四日市市地下駐車場(くすの木パーキング)は、四日市市中心部の国道1号及び中央通り(四日市市道)地下に位置する地下2階構造、最大駐車台数 509 台の駐車場である。うち、国道側の駐車場(平成9年完成、駐車可能台数 203 台)については、国土交通省が整備し、PFI 事業にて TFI(株)が管理運営を行い、日常管理については、TFI(株)から(株)ディア四日市に委託されている。また、市道側の駐車場(平成9年完成、駐車可能台数 306 台)については、(株)ディア四日市が整備し、日常管理を含む運営管理を(株)ディア四日市が行っている。

この駐車場は国道側と市道側で設置者が異なるという複雑な状況にあった。
国道側は国土交通省が設置者になりますが、いわゆる「止水板の故障」については令和3年12月に発覚し、日常管理を行う㈱ディア四日市から国土交通省に報告。
しかし国土交通省が放置したということから、国にも管理責任懈怠があることになる。

 

なお、浸水量の推計は以下の通り。

現場対応は以下の通りである。

当日、駐車場には(株)ディア四日市の委託職員2名が駐車場スタッフとして勤務していた。

気象情報の収集については、大雨警報(浸水害)が 21 時 53 分に発表されたが駐車場スタッフは認知せず、その後、記録的短時間大雨情報が 22 時 08 分に発表されたが、駐車場スタッフは 22 時 40 分
頃にテレビ報道により認知した。
浸水への対応については、駐車場スタッフは 22 時 00 分頃、地下横断歩道出入口付近地上部で冠水がないことを確認し、中央監視室のモニターで駐車場内の状況監視を実施していた。その後、22 時20 分頃、駐車場に浸水してきていることを地下1階にある中央監視室前から目視で確認し、中央監視室への浸水を防ぐ目的で常備されていた土のうを中央監視室前に設置した。22 時 30 分頃、避難のため出庫する車両に支障がないように料金精算機のゲートバーを上げた。また、同時刻にディア四日市の職員1名が駐車場に到着した。23 時00 分頃、地下1階の水位が腰付近まで達したため、これ以上の対応は危険と判断し、3名のスタッフ・職員は駐車場から避難した。
各出入口(車両用、歩行者用)は止水板により浸水を防止する計画であるが、いずれの出入口も、急激な浸水のため、止水板を設置する時間的な余裕がなく、結果として、止水板を設置することはできなかった。国道側駐車場の車両出入口については、止水板が故障(令和3年 12 月~)しており、設置できない状態となっていた。
関係機関への伝達については、(株)ディア四日市から TFI(株)に 23 時 26 分に電話連絡を行い、TFI(株)は 23 時 38 分頃に災害対策本部を設置、23 時 41 分には駐車場近くの警備会社に緊急的に応援要請をおこなった。また、0時 00 分頃に TFI(株)から三重河川国道事務所に電話連絡を実施した。

次に、止水板の設置に要する時間。

現状の各施設配置において、人力を中心に止水板を設置した場合の所要時間について検証を実施した。本検証は、国道側の出入口から順次設置を行うこととし、運搬、設置、移動にかかる所要時間を計
測したものである。結果、全ての止水板設置のためには、合計約2時間を要することが確認された。なお、実際は、移動経路や設置場所における浸水などの障害があるため、2時間以上を要することが想定される。

これらを受けて国土交通省は、現場管理者に早期に災害リスクを伝達する手段の構築や、止水板設置を人力ではなく自動化するシステムの導入などを検討している。

 

で。
これらの検証結果を見る限り、止水板の修繕を放置した国土交通省に管理義務懈怠があるのは明らかなんですが、では正常に止水板が機能する状況だったならば今回の浸水事故を防げたのかはかなり疑問。
全ての止水板を設置するには二時間以上要するわけですし。

 

そうすると、国土交通省の管理責任懈怠と浸水事故発生の因果関係がないことになり(過失が否定される)、せいぜい浸水量を「軽減できたかも」にとどまる。

 

結局そうなると、クルマの所有者が国と管理会社に損害賠償請求訴訟したところで請求棄却されかねない。

 

しかし道義的には止水板故障を放置したことがあり、止水板が正常に機能していたなら被害を「無くす」ことは難しくても「抑える」ことができた可能性があることを考えると、賠償ではなく解決金という選択になるのかと。

 

なお上の資料は全てこちらから引用してます。

国土交通省中部地方整備局 三重河川国道事務所 - 四日市市地下駐車場施設復旧検討委員会 ページ
国土交通省中部地方整備局 三重河川国道事務所の四日市市地下駐車場施設復旧検討委員会 ページです。

それこそ「地下二階」は国土交通省の管理懈怠と浸水事故発生の因果関係がなくても(止水板を設置しても浸水していた)、「地下一階」は因果関係ありとなる可能性すらある。

 

この件って弁護士さんたちは「難しい案件」だと語る一方、法律に詳しくないYouTuberが簡単に取れるかのような解説をしていてドン引きしましたが、

運転レベル向上委員会が語る「四日市地下駐車場浸水について賠償を取る手順」の問題点。
四日市の集中豪雨による地下駐車場の水没事故について、「駐車場法16条で賠償を取る手順」として解説してますが、要はこれですよね。第十六条 路外駐車場管理者は、その路外駐車場に駐車する自動車の保管に関し、善良な管理者の注意を怠らなかつたことを証...

例えば止水板の故障を放置した点に施設管理義務懈怠があるとしても、賠償責任を問う上では「止水板の故障と浸水事故発生に因果関係があるか?」、つまり止水板が故障してなければ浸水事故が起きなかったことを立証できるかの問題になる。

 

故障中の止水板(電動式)の設置時間が「0分0秒」になっており、「故障中の止水板は、市道側の電動式設置時間を流用」とあることから、全止水板を設置するのに要する時間が121分45秒としたのは「故障中の止水板が正常な前提」だと考えられます。
正常であっても2時間必要なのよ。

そうなると、止水板の故障と浸水事故発生は因果関係がないと捉える結果になる。

 

「止水板が故障」という情報から即座に「過失は明らか」と考えるのが素人。
法律家は「止水板が故障してなければ浸水事故が起きなかったことを立証できるか?」という因果関係を模索する。
因果関係がなければ過失が否定されることを理解しているからなのよね。

 

国土交通省が示す解決金の具体的内容は1月に公表するそうですが、解決金を受け取り示談する人もいるだろうし、自身の車両保険でカバーされるから関係ない人もいるでしょう。
解決金を受け取らず訴訟提起する人もいるでしょうが、そのハードルは高いと思う。

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