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人身傷害保険と酒気帯び運転。酒気帯び運転でも人身傷害保険から支払われるか?

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運転レベル向上委員会がまたいい加減な解説をしてますが、

運転レベル向上委員会より引用

定員外乗車+酒気帯び運転で横転した事故について、運転者と所有者の損害額をそれぞれ約9600万、約9800万と算定し、人身傷害特約車外型に加入していれば全額支払われるとする。

 

確かに人身傷害特約は過失相殺無しで支払われますが、本当に悪質だなと感じるのは、損害額の算定を裁判基準で出しているところなのよ。

 

損害賠償の計算は裁判基準(弁護士基準)、任意保険基準、自賠責基準とあり、裁判基準が最も高額になる。
人身傷害特約は過失相殺無しで支払われるけど、損害額の計算は裁判基準より2割程度低い「人傷基準」で行われるのだから、裁判基準で計算した損害額の満額が支払われることはありません。

9600万の8割だと7680万。
正確には保険会社の約款にある計算式に依る。

 

運転レベル向上委員会は保険金を水増ししてでも人身傷害特約に加入させたいようにしか思えず、そもそも人身傷害特約が裁判基準では支払われないのは常識。
まさかそれも知らないわけもないし、水増ししてでも人身傷害特約をプッシュする理由がわからん。

 

そりゃ、ゼロよりも「裁判基準より2割程度低いとはいえ」もらえるほうがいい。
しかし今回の事故については、普通に防げる事故なのである。

 

定員外乗車をせず、酒気帯び運転をせず、制限速度を遵守していたならば。
そしてそれは何ら難しい要求ではない。

 

しかしそもそも保険の約款を見る限り、人身傷害特約保険からは支払われない可能性も高い

 

まず運転者について。
いくつかの保険会社の約款を確認したが、運転者が酒気帯び運転の場合には運転者に対し人身傷害条項を適用せず支払わないとする。

第2章 人身傷害条項
第3条(保険金を支払わない場合-その1)
(1)当会社は、次のいずれかに該当する損害に対しては、保険金を支払いません。
① 被保険者の故意または重大な過失によって生じた損害
② 被保険者が法令に定められた運転資格を持たないで被保険自動車を運転している場合、酒気を帯びた状態(注)で被保険自動車を運転している場合、または麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条(定義)に規定する指定薬物等の影響により正常な運転ができないおそれがある状態で被保険自動車を運転している場合に生じた損害
(注)道路交通法(昭和35年法律第105号)第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反している状態をいいます。

以上により、運転者が人身傷害特約に入っていたとしても、酒気帯び運転をしていたなら支払われないことになる。

 

次に同乗者が人身傷害特約に入っていた場合。

第3条(保険金を支払わない場合-その1)
(1)当会社は、次のいずれかに該当する損害に対しては、保険金を支払いません。
① 被保険者の故意または重大な過失によって生じた損害

もし運転者のみならず同乗者も飲酒していた場合には、当然ながら運転者が飲酒していたことを知っているものと考えられる。
そうであれば運転者に対し運転を差し控えるよう忠告し履行する注意義務を負うのはもちろんのこと、それでも運転者が酒気帯び運転をするのであれば同乗しないことが注意義務になる。
実務でみると、運転者+同乗者の飲酒は重過失として保険会社が支払い拒絶している上に裁判所もその判断を是認している。

 

同乗者が「運転者の酒気帯び運転を知らなかった」ならともかくとして、知っていたなら同乗者には重過失免責を適用しているのでして。
なお、定員外乗車が事故に寄与したならば、同乗者も重過失免責の対象になりうる。

 

つまり、人身傷害特約に入っていたとしても支払われない可能性が十分高い事案なのに、支払われる前提の上に、人身傷害特約ではあり得ない「裁判基準」による高い保険金が支払われることにしてんのよ。

 

そもそも運転レベル向上委員会の人は、任意保険加入率から「共済加入分」を差し引いた数字を出して5人に1人は未加入だと力説していたことすらあるが、人身傷害特約に加入させたいがために任意保険加入率を低く見せかけるような手口まで使っていたのでして。

 

普通に考えて欲しいんだけど、自分の息子や娘がおバカな運転をして事故を起こし死亡してお金に変わるよりも、普通に生きていてくれたほうがはるかに幸せなのよね。
そして人身傷害特約にしても、おバカな運転をして事故を起こすことを想定した商品なわけもなく、普通レベルの過失による事故に対応するための商品。

 

防げる事故くらいは自分たちで防げという当たり前な話です。

 

けど、わざわざ保険金を水増ししてまで人身傷害特約をプッシュする様子をみると、この人にとっては正確な情報であるか否かよりも、人身傷害特約に加入させたい理由があるのだろうと勘ぐるほかない。

 

人身傷害特約がいざというときに役立つ、というのは間違いではない。
特に効果があるとしたら、自身が無過失又は無過失に近いような貰い事故なのに、相手が無保険であるがために十分な賠償が見込めない場合。

 

一例を挙げるならば、不正改造によりタイヤを脱輪させタイヤが当たった被害者が意識不明の重体に陥った札幌地裁 令和7年4月24日判決のような状態である。

裁判例結果詳細

被害者に何ら落ち度はないが、加害者に十分な賠償能力がないために被害者サイドは泣き寝入りしてしまう。
しかしこの件についても、本質的には「被害者サイドが人身傷害特約に入っていたか」ではなく、加害者が不正改造しなければ容易に防げた事故なのだから、責められるべきは加害者になる。

 

いざというときに役立つにしても、本当の交通安全とは「いざというとき」自体を無くす活動なのよね。
運転レベル向上委員会の解説をみても、どのような注意を払えば事故を防げたかという観点の解説はほとんどなく、いくら貰えるか?人身傷害特約に入っていたらいくら貰えるか?ばかりになっているが、

 

その人身傷害特約の解説すら間違っているのだから目も当てられない。

 

事故る可能性が高い運転をして、現実に事故が起きたなら「そりゃそうだ」になる。
そして「そりゃそうだ」な事案、つまり自分に責任があるのだから損害額のMAXが貰えるわけもなく、事故を起こした責任として相応の減額(過失相殺)がなされるのも道理。

 

しかし運転レベル向上委員会の考え方だと、わざわざ最も高くなる裁判基準で損害額を算定し、過失相殺された分を引き合いに「足りない」と語り出す。

 

足りる足りないの問題ではない。
自ら事故を起こした責任があるのだから、MAXの損害額を貰えるわけもないのである。

 

いったいどういう思考をすれば「足りない」という発想に至るのかわからないが、不正確な情報ばかり撒き散らして何をしたいのだろう。

 

酒気帯び運転で事故が起きました。
酒気帯び運転しなければ事故が起きてないと考えられます。
そりゃ保険会社が支払うわけもない。

 

だって、何ら難しい話でもなく「飲まなかったら問題なかった」のだから。

コメント

  1. 元MTB乗り より:

    やってることは人身特約の中の人によるステマ(になってるかは知らんけど)としか思えない。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      約款や解説書、判例も読まずにテキトーなことばかり語るから間違えるんですよね。
      何回同じ失敗をするのか不思議です。

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