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著しい高速度で事故を起こした場合、人身傷害保険や車両保険は支払われない可能性が高い。

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読者様からご意見を頂きました(内容は後で)。

 

一般道(指定最高速度50キロ)で時速180キロ以上と見られる著しい高速度で自損事故を起こした件について、認められれば人身傷害保険と車両保険が支払われると解説してますが、

著しい高速度は重過失免責になり人身傷害保険と車両保険は支払われない可能性が高い。

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著しい高速度と重過失免責

先に用語を確認しておきます。

 

○運転者の保険
①対人賠償責任保険
他人を負傷、死亡させたことについて、運転者の賠償責任を肩代わりし支払う
②対物賠償責任保険
他人のモノを破壊したことについて、運転者の賠償責任を肩代わりし支払う
③人身傷害保険
被保険者(この場合は運転者)自身の負傷や死亡について支払われる
④車両保険
被保険者の車両自体の破損について支払われる

①と②は他人の損害に対する賠償責任の話。
③と④は自身の損害の補填。

 

一般論として、他人に対する賠償責任保険(①と②)は被保険者(運転者)に重大な過失があっても被害者には支払われる。
しかし自身に対する保険(③と④)は被保険者(運転者)に重大な過失があるときには支払われない。

 

さて。
指定最高速度50キロの道路で時速180キロ超だとすると、保険の考え方では「被保険者(運転者)の重大な過失」となり、保険会社は重過失免責を主張し人身傷害保険と車両保険は支払われない可能性が極めて高い。

 

実例を挙げます。
判例は東京地裁 平成29年12月1日。
事故の概要は、夜間、80キロ制限の高速道路(片側三車線)を時速216キロで通行し、左斜めに逸走させ防護柵に衝突し死亡したもの。
死亡した運転者の相続人は、運転者が契約していた保険会社に人身傷害保険と車両保険の請求をしたところ、保険会社が重過失免責を主張し支払いを拒否した。

 

東京地裁は下記事実を認定し、「被保険者の重大な過失」にあたるとして人身傷害保険と車両保険の支払い義務はないとした。

 

A.本件車両につき、エンジンの出力の増大、スピードリミッターの解除、安全装置(エアバッグ)の除去、サスペンションやブレーキ関係の改造等、高速度での走行を予定し安全性を低下させる種々の改造を施していたこと
B.現場付近の道路は、直線の片側三車線のアスファルト舗装された凹凸のない緩やかな上り道路であり、路面は乾燥し、見通しを妨げるものもなく、道路標識により最高速度が時速80キロメートルと規制された自動車専用道路であったこと
C.事故直前の亡A車両の速度は時速216キロメートル程度であり、ブレーキランプが点灯していなかったことから亡Aが自らの意思で法定の制限速度を130キロメートル以上も超える著しい高速度で運転していたこと

不正改造の有無は、運転者が自らの意思で著しい高速度を出していたことを補強する程度の話と考えられ、要するに自らの意思で著しい高速度を出していたことが推認されるなら重過失免責となるでしょう。

同乗者に重過失免責は適用されるか?

問題になるのは、今回の事故は同乗者がおり、同乗者も負傷した。
同乗者を被保険者とする「人身傷害保険車外型」を契約していたときに、同乗者に重過失免責が適用されるでしょうか?

 

これはなかなか難しいですが、同乗者も高速度を出して通行することを容認し、一緒に楽しんでいたような場合なら重過失免責の対象になりうる。

 

なお、人身傷害保険等について重過失免責が適用された事案は下記にまとめてある。

保険における「重過失免責」とは。
こちらの件。酒気帯び運転の「同乗者」に対する人身傷害保険の適用について、同乗者の重過失を認め保険金不支給になった札幌地裁 令和3年1月27日判決を紹介しましたが、(3)原告B(本件重過失免責条項による免責の成否)についてア 前記(2)のとお...

読者様からのご意見

読者様から頂いたご意見はこちら。

読者様
読者様
運転レベル向上委員会の動画を見たけど、人身傷害保険の説明がずいぶんトーンダウンしましたね。以前は重過失免責の事案でも自信満々に支払われると断言していたのに、今回は「認められれば支払われる」と。認められたら支払われるのは当たり前な話で、認められそうかが問題なのにね。
予防線を張っているように見えた。

50キロ道路を時速180キロ超で通行し事故を起こしたなら、自身に対する人身傷害保険と車両保険は支払われない可能性が極めて高いかと。

 

ところで、人身傷害保険と車両保険について、保険会社が重過失免責を主張し支払わない事案がどれだけあるのかはわかりません。
とはいえ、運転者が酒気帯びだと知りながら同乗し負傷した事案ですら、同乗者の重大な過失として支払わないことをみても、

保険における「重過失免責」とは。
こちらの件。酒気帯び運転の「同乗者」に対する人身傷害保険の適用について、同乗者の重過失を認め保険金不支給になった札幌地裁 令和3年1月27日判決を紹介しましたが、(3)原告B(本件重過失免責条項による免責の成否)についてア 前記(2)のとお...

酒気帯び、無免許、著しい高速度などは重過失免責になる可能性が高そう。
要するにこれらは「わずかな注意で事故発生を避け得た」「ほとんど故意に近い状態」なのでして、一般レベルでいう過失とは一線を画する。

 

人身傷害保険をまるで無敵なツールであるかのように解説する運転レベル向上委員会もどうかと思いますが、いくつも裁判所が重過失免責と判断した実例があるように、そのようなものではない。
間違った解説をしてもいずれバレてしまいますが、そもそも、著しい高速度で事故を起こしておきながら「保険金ください」なんておかしいのよね。

 

だって、制限速度内であればそうはならなかったと考えられるのだから。
こういう事案について「支払われない」と解説する方が抑止力になるような気もしますが、要は事故を無くしたい立場なのか、そうではないのかの差なのかもしれません。

コメント

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