大ギア×大ギア、小ギア×小ギア、同じケイデンスでもペダリングの軽さが違う?

先日の読者様からの質問記事について、コメントを頂きました。

読者様
読者様
ギア比の話ですが、例えば3:1で考えると前33,後11や前54,後18といろいろ組み合わせがありますよね
わざわざシングルスピードの自転車でいろいろな3:1を試したのですが、歯数が多い組み合わせが1番軽く感じました

ギア比に最も敏感な競輪選手に直接聞いたのですが、なぜか分からないけど大きいギアの組み合わせは軽いけどスピードに伸びが無い、小さいギアの組み合わせは重いけど伸びがあると言ってました

これ、次のネタで科学的に検証してもらえませんか?
よろしくお願いします

というお話なんですが、どうなんでしょう?

ピストとロードは分けたほうが?

まず、質問としてはピストバイクについてです。

ペダリングが軽い、重いについては力学で表現できると思うのですが、【伸び】というのはピスト的な感覚なのではないかと思ったりします。
ピストは固定ギアなので、バイクが走り続ける限りは、ペダルは回ります。
ロードの場合、フリーがあるので、下り坂でペダリングを止めていてもバイクは進みますが、ピストは後輪に生じた回転力がチェーンを押すので、ペダリングを助けるんですよね。

よく、ピストで【バックを踏む】と言いますが、理論的には走行中にペダルを逆回転方向に力を入れれば、バイクは減速・停止します。
まあ、後輪の回転力がチェーンを介してペダルを前方向に回すので、スピードが乗っているときにバック踏むなんてかなり無理だと思いますが、理論上はバック走行も可能なのがピストバイク。

ロードの場合、ペダリングを止める=チェーンの動きを止めることになるので、後輪の駆動力には関係ありません。
慣性力で勝手に回っているだけになります。

たぶん、【スピードの伸び】というのがピスト独特の感覚ではないかと思ったりするのですが、どうでしょうか?

それとも、いわゆる加速度の話なのでしょうか?
一定速度に達するまでの時間という意味なのかも?
ただ、私の中で【伸び】をイマイチ定義できなかったので、わかりません。

そのほか、ピストとロードで大きく違う点としては、ピストの場合はギア比を変えてもチェーンラインが変わりません。
ロードの場合、ギア比を変えるとチェーンラインが変わります。

例えば、

フロントリアギア比
50252
34172

どっちも同じギア比2ですが、チェーンラインは大きく変わります。
こちらが50-25Tのチェーンライン。

かなり斜めになります。

対して、34-17T。

こっちはまっすぐに近づきます。

チェーンの横方向へのロスまで考えないといけないのですが、ピストは変速機がありませんから、単にチェーンリングなどを交換するだけの作業です。
ここら辺も、ピストとロードで同一視しないほうがいい箇所です。

伝達効率の違い

最初、ペダリングの軽い、重いをテコから考えようとしたんですが、そもそもテコで計算すると同じ力が発生しているわけなので、意味がありません。

で、あくまでもピストの話として書きます(チェーンラインは同一条件に出来るから)。
そのくせ、画像はロードなのでちょっとややこしいですが、ピストがないのですみません。

こちら、アウター50Tにチェーンが入ってます。

こちらはインナー34T。

こちらはリア25T。

リア17T。

まあ、何が言いたいかというと、大チェーンリングと小チェーンリングを比較すれば、大チェーンリングのほうがチェーン自体の屈曲度(チェーンリング上での)が小さくなるわけです。
逆にいえば、小チェーンリングでは、チェーンが大きく屈曲する。

チェーンが曲がる角度が小さいほうが、チェーン自体のパワー伝達効率が上がるという話です。

それと同時に、見方を変えると50Tの場合と34Tの場合で比較して、

チェーンリングが大きいほうが、歯がチェーンを捉えている個所が多いので、それも伝達能力に影響しているのかなと思ったりします。

これらはリアでも同じなので、

F-Rチェーンリングスプロケギア比
50-25T
34-17T

同じギア比でも、大チェーンリング×大スプロケットのほうが、伝達効率がいい分だけペダリングが軽く感じるのかなと思うわけです。
スピードの伸びについては、その【伸び】の定義が難しく、ちょっとわかりません。

もしその【スピードの伸び】というものが、減速しづらさと捉えるならば、こういう図式が成り立つかもしれません。
図式化してみます。

仮にですが、ピストの固定ギアである一定速度まで上がったところで、ペダルには力を入れていないと仮定します(あくまでも仮想状態)。
ピストは固定ギアですから、後輪の回転力がチェーンを押して、ペダルを回転させます
そのため、見方を変えると、ここでテコの原理が働くのではないか?ということです。

いわゆる第二種テコですね。

支点、力点、作用点はこのようになると考えて、さらにリアスプロケットの大きさで考えると、こうですよね。

こうなると支点からの距離が短い、小さいスプロケットのほうが、チェーンを押す力は強くなるのではないかと・・・
そうすると、一定速度まで上げたあとに、ペダルに無荷重という条件なら、チェーンを押す力はF1(スプロケが小さいほう)のほうが強くなるので、【小さいスプロケのほうがスピードが伸びる】という感覚につながるのかなと思ってみたり。

ただし、チェーンを押す力が強くなると考えるなら、むしろペダリングが軽くなるほうではないかと思ってみたりもするので、正直この考えは微妙っぽいです。
また、おかしな点はほかにもあって、あくまでも【同じギア比】として比較しているわけで、スプロケが小さくなれば、チェーンリングも小さくなります。
あくまでもペダリングが軽くなるという観点で言えば、押されたチェーンによりペダルを動かそうとする力がどう変わるかになるわけですが、チェーンリングの大小でも、ペダルとの関係性で言うとテコの原理が働きます。

力点がチェーンリングで、作用点がペダルと捉えて、第三種テコと見立てることが出来るかと。

そうなると、チェーンリングの大小でこうなります。

スプロケが小さいほうがチェーンを押す力としては強くなりそうですが、その分チェーンリングも小さくなるので、ペダルを押す感覚としては弱まるはず。
なのでこのあたりは同じギア比ならある程度釣り合いが取れていそうな気がするのですが、どうなんでしょう?

で、実際に走っている状態で考えると、ペダリングしているパワーと、後輪の回転力でチェーンが押されるパワーの両方が関係します。

普通にペダリングしている状態では、力点と作用点が入れ替わります。

チェーンが力点、後輪が作用点となります。
ピストでは固定ギアなので、走行中にペダリングを止めることは不可能なわけです。
なのでなんかいろいろ考えとしては微妙だなと思う点がありまして・・・

ちなみに、【大チェーンリング×大スプロケット】と

【小チェーンリング×小スプロケット】で、

ギア比が同じであれば、同一条件下では後輪を動かす力は同じです。
まあ、先ほど書いた【チェーンを押す力】が感覚的なところ(思い、軽い、伸びる、伸びない)に関わるのかなと思ってみたのですが、単に伝達効率の違いのほうを感じている可能性もありますし、イマイチわかりませんでした。

・・・・・・・・・・・・・・・・

で、ここまではチェーンライン完全無視での話で、ここからがロードバイクとしての話になります。
例えば、チェーンリングを52-36とかにするという話なら多少変わりますが、変速して同じギア比を維持するという状況なら、

50-25T。

34-17T。

前にケイデンス論の時に購入した、ロードバイクの科学という本によると、

【続編5】ケイデンス90理論の崩壊。ロードバイクの科学を読みまして。

・通常、BBの摩擦トルクや、チェーンとスプロケットの摩擦により伝達効率が5%程度失われる。

・チェーンが斜めになると最大3度くらいズレる。

・まっすぐなチェーンラインに比べて斜めだと伝達効率が0.8%程度落ちる。

最もチェーンラインが斜めになるのは【インナー×トップ】で、その状態はチェーンラインがまっすぐに比べて0.8%程度伝達効率が落ちることになるらしいです。
ちょっと計算する材料がないので何とも言えませんが、この同じギア比【50-25T】と【34-17T】で比較すると、たぶんですがチェーンリングやスプロケの直径の大小のほうが影響としては大きいのかな?と予想します。

このあたり、

いろんな人
いろんな人
チェーンラインがまっすぐなほうが、伝達効率がいいように感じる

このようにいう人も結構いたりするので、体感的なところはちょっとわかりません。
私にとっては、同じギア比でもフロントインナーにすると、なんか疲れる気がしているのですが、気のせいかもしれないし、気のせいではないのかもしれないし。

ピストに限定すると、チェーンリングなどを変えてもチェーンラインは変わらないので、大チェーンリング×大スプロケのほうが伝達効率はいいと言えます。
【スピードの伸び】については、そのスピードの伸びを具体的にどう捉えるのかがちょっと難しいので、ちょっとわかりません。

チェーンラインまっすぐ

一般に、たすき掛けになるようなギア選択、つまりチェーンラインが斜めになるほうが、チェーン自体の寿命は短くなると言われます。
シマノDi2だと、そもそも最もたすき掛けが強くなる、インナー×トップ(2枚目まで)は入らないようになっているはずだったと思いますが。

今回の件は、単純な力学で計算できる話でもないので(チェーンラインによる損失など)、ロードバイクにおいてどっちがいいのかと聞かれると、正確なところはよくわかりません
たぶん、大チェーンリング×大スプロケのほうが伝達効率は高いのではないかと予想しますが・・・

そんなわけで、非常に中途半端な考察になってしまいましたが、力学などに詳しい方がいましたら教えてください。




コメント

  1. 高はし より:

    ギヤの径の件、
    小さなギヤの方が、チェーンの張力が大きくなるせいだと思います。
    あとは、チェーンのプレート間の摺動抵抗も大きくなるはず。
    気になったのは、大昔に10mmピッチを使ってた選手が、10mmピッチの方が「かかり」がいいけど伸びない、と感想を言ってたのです。10mmピッチは径が小さくなるので、チェーン張力は高くなるから不利そうに思えるのですが、摺動抵抗が意外に支配的なのでしょうかねぇ?

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      この件はいろいろ計測すればヒントが出そうな気がするのですが、そういうツールが無いので想像でしかわかりません。
      感覚的なものを具体化することも、難しいなと感じてます。