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タイヤのインピーダンスロスを、もう少し分かりやすく捉えてみる。

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たぶん1年位前ですかね。
なんかやたらといろんなところで、タイヤのインピーダンスロスの話が続々と出始めたのは。

 

タイヤのインピーダンスロスですが、これは誰しもが体感していることだと思います。
簡単に言えば、カンカンに空気圧を高めて乗れば、跳ねてロスしている感じがわかるという単純なもの。
ものすごく路面状況がいい場所であれば、それでも跳ねないのでロスしている感触は無いでしょうけど、荒れた路面だと顕著に分かる。
だから空気圧を上げ過ぎてもダメだよね、という単純な話です。

 

さて、ここ最近で何度か取り上げた話。

23c VS 25cタイヤの転がり抵抗について、超今更の疑問を投げかけてみたいと思っている。
いまやロードバイクのタイヤの標準は、25cがスタンダードになりました。 一昔前は23cが標準で、20cなんて変態チックなタイヤすらありましたが、ディスクブレーキ車なら28cなんてものもザラ。 25cが爆発的に流行した理由は、ワイドリム化と、...

 

結局のところ、転がり抵抗の差は少ないのではないかと。
先日買いた記事の続きです。 前の記事でも書いたことですが、 この理論、ホント気持ち悪いなと思ってまして。 この理論を書いている場合、まず間違いなく前提条件がついてます。 同じ空気圧で比較した場合 23cと25cでは、25cのほうが適正空気圧...

 

タイヤの転がり抵抗について、少々補足を。
先日の記事について。 もしかしたら誤解を生んだかも、と思うところがありまして。 これについて。 この方にも返信させていただきましたが、おっしゃることはまさにその通りです。 今読み返すと、いろいろ端折り過ぎて雑に書いてました。 問題点 最初の...

 

前の記事でも書いたのですが、

1、従来の実験では、どのタイヤサイズでも【同じ空気圧ならば】太いほうが転がり抵抗が低いというデータがある。
タイヤ幅が違うのに、【同じ空気圧ならば】という前提が不自然だし合理的ではない。

 

2、ローリングレジスタンスの実験データだと、研究室で理想的な路面での話になってしまうため、実走とは異なる(路面状況を考慮してない)

 

どっちも不完全な実験データ、としか思ってませんでした。
で、インピーダンスロスが関係するのは、主に2のほうですね(もしかしたら1でも関係している可能性がある)。

 

従来のインピーダンスロスの説明だと、タイヤで吸収できなかったエネルギーの一部が、バイクや乗り手に伝わり、熱損失として乗り手が消費する、だから損失なんだという説明をよく見ました。
前から思っていたのですが、

 

管理人
管理人
なんだか分かりづらい説明だなぁ・・・

 

もっとシンプルに力学として捉えたほうが分かりやすいのでは??と思ってまして。

インピーダンスロスの簡略化

インピーダンスとは、電気抵抗とかで使われる表現ですね。
で、単純な力学として捉えたほうがわかりやすいんでない??と思ってまして。

 

ものすごく滑らかで凹凸がない路面があったとした場合、こんなイメージですよね。

この場合、ほぼ純粋にヒステリシスロスだけ考えていればいいでしょう。
まあ、あくまでも超理想状態の路面を考えているので、実態としてはこんな場所はないのですが。

 

路面に凹凸をつけてみます。
①タイヤの空気圧が低く、タイヤの剛性が低い場合。

凸の部分でタイヤが大きく変形するものの、上方向に跳ねる力にはなっていない。

 

※超理想状態を想定しているので、実際には相当小さな凹凸でない限りはありえません。

 

②空気圧を高めて、タイヤの剛性が高い場合。

タイヤの変形だけでは凸を乗り越えられず、上方向に跳ねる力が生じている。

 

これらは両極端の状態にしてますが、これを単純な力学で見ればこうですよね。

上方向にも力が分散するので、前進方向の力が減弱する。
斜め方向の力を分解すれば、前進方向と垂直方向に分けることが出来るので。

 

単純な力学で考えたほうが分かりやすそうな気がするんですが(たぶん実態とは多少ズレるんでしょうけど)。

 

ロードバイクの高圧タイヤで、ちょっとした凹凸で上下動しないというのも不自然なので、イメージとしてはこんな感じかもしれません。

縦方向の成分が強い(=跳ねている)状態だと、前進方向へのロスが大きくなる。
かといってタイヤで全て吸収してほぼ上下動しない状態(=空気圧が低過ぎる、タイヤが太いなど)では、路面の凹凸による前進方向へのロスは少ない。
けど、路面と凹凸が少ない場所であれば、低過ぎる空気圧はヒステリシスロスを大きくするし、クリンチャーであればリム打ちパンクの原因にもなりうる。

その結果として

空気圧が低過ぎて、タイヤの剛性が低過ぎる状態であれば、

常にタイヤが潰れ過ぎているので、ヒステリシスロスも大きく、跳ねないけど転がり抵抗は大きくなってしまう。

 

次に、空気圧が高過ぎる場合。

キレイ過ぎる路面であれば転がり抵抗は低いでしょうけど、凹凸で跳ねてロスする。
跳ねた後に再接地するとき、タイヤが大きく潰れる(ヒステリシスロス)、もしくはまた跳ねる。

 

なので単純な力学で見れば、インピーダンスロス=無駄な上下動に近いもの=前進方向の力のロス、と考えたほうが分かりやすそうな。
従って、空気圧は低過ぎず、高過ぎずのバランスで成り立つわけで。

 

ものすごくガタガタの道路を走ると分かると思いますが、上下動が激し過ぎてペダリングどころではありません。
そういう路面でも、空気圧が低いなら路面の凹凸にタイヤが追従して、ほとんど跳ねない。
けど空気圧が低過ぎれば、ヒステリシスロスが大きくなる。

 

なのでたぶんですが、跳ね過ぎないギリギリの空気圧=最も転がり抵抗が低い状態なんじゃないでしょうか?

 

で、よく使われるこの図。
SILCAの実験ですね。

https://blog.silca.cc/part-4a-rolling-resistance-the-history-and-previous-works

 

ある空気圧を超えると、一気に転がり抵抗が急上昇する。
ここばブレイクポイントになるわけです。

https://blog.silca.cc/part-4b-rolling-resistance-and-impedance

 

こちらの図は、3種の舗装状況の違い(荒れ具合の違い)による、ブレイクポイントの差。
荒れている路面では、低めの空気圧でも一気に転がり抵抗が増す。

 

このあたり、上で挙げた2つのリンクと、こちらが参考になるかと思います。

What's in a tube?
Online triathlon magazine with product reviews, a bike fit guide, training tips, and several regular columnists. The edi...

路面追従性を高める方法

跳ねると抵抗が増すわけなので、路面追従性を高めるというのが1つのポイントになります。
フレームやホイールなどは同一という条件なら、路面追従性を高めるのは以下の要素。

 

・タイヤを太くしてエアボリュームを上げる

・空気圧を低くする

・しなやかなケーシング(TPIの本数を上げる)

 

ただしそれぞれについて、弱点も出てきます。

やること 弱点
タイヤを太くする 重量増加
空気圧を低くする ヒステリシスロス増大の可能性

クリンチャーならリム打ちパンクリスク

しなやかなケーシング タイヤの耐久性が落ちる

近年、ロードチューブレスがまた流行らせようという兆しがありますが、チューブレスならエアボリュームがクリンチャーよりも大きくなり、重量増加もクリンチャーよりも抑えられる可能性があり、リム打ちパンクのリスクは皆無。
こういうところからもチューブレス推しなんじゃないですかね。

 

路面追従性を上げることで、転がり抵抗(特にインピーダンスロス)を減らそうというのがロードチューブレスの流れなのかと。

 

ただ、ロードチューブレスについては、まだまだ発展途上という印象はぬぐえません。
タイヤを嵌めるのが困難、嵌めたタイヤは外れない、エア漏れガー・・・
メーカーも好き放題自社規格を推したりすると、使えるタイヤも限られる恐れが。

結局のところ

太いタイヤと細いタイヤ、どっちのほうが転がり抵抗が低いの??という結論ですが、どれも実験が不完全なので答えは出ませんw
【同じ空気圧という前提なら】というのは論外。
23cと25cと28cで、同じ空気圧で乗る人はいませんから。
当然、太いタイヤのほうが推奨空気圧は低いので、【同じ空気圧なら太いほうが転がり抵抗が低い】というのは、

 

管理人
管理人
実験の前提がおかしいので話にならない

 

次にバイシクルローリングレジスタンスのような、実験室内でのデータ。
これについては、路面の凹凸を考慮したインピーダンスロスが反映されないので、

 

管理人
管理人
超理想的なキレイな舗装路であれば意味があるかもしれないけど、実際の路面とは著しい相違が出る

 

なので両方とも、実際の走行のときにどうなのか?を加味してないんですよね。

 

そうなった場合、本来やるべき実験は、SILCAのように、路面状況を3パターンくらい用意して、それぞれについてタイヤの太さを変えて計測することが最も信用性が高いデータが得られるでしょう。
実験ではホイールをZipp 404 Firecrest、タイヤを25mm Continental GP4000s IIに固定しているので、これをタイヤ幅を変えて実験しないと意味がない。

 

なので、太いタイヤのほうが転がり抵抗が低いという話は、根拠があるわけでもないです。
同じ空気圧であればという前提をつければ、そうなったというだけの話。

一番ややこしいのは、タイヤ幅が変わると、タイヤの重量も変わる。
タイヤの重量は、それこそ一本20gくらい変わっただけも乗っている感触は違うので、単純な官能評価(乗り手の主観)だけでいうと、何を感じ取っているのかはイマイチ明確ではない。
タイヤの重量が軽いことで軽快な走りと感じている可能性もあれば、転がり抵抗を感じている可能性もある。

 

恐らくですが、タイヤ幅を変えて3パターンくらいの路面で実験した場合、キレイな路面では細いタイヤが有利、荒れた路面では太いタイヤが有利みたいなデータが出そうな気がします(根拠はなく、経験上の話)。
いまだに23cタイヤが売れ続けているのは、そういう理由もあるんじゃないですかね。
走る環境次第でも、乗り手の印象は変わるので。

 

私はGP5000の23cを使ってますが、キレイな路面なら最強ですよ。
ちょっと荒れた路面になると、最悪ですよw
もうガタガタ跳ねて話にならない。

 

なので普段走る環境とか、好みの問題もあるんでしょう。
鉄則は、

走ってみて、気持ちよく走れるほうを選ぶ

これだけなんですけどね。

 

インピーダンスロスについて語っている資料を見ると、熱損失が乗り手で消費されて・・・みたいに分かりづらくなってますが、もっと単純に、単純な力学で跳ねるかどうかを説明したほうが分かりやすそうな気がするので、思い切って単純化して書きました。
前進する方向だけでなく、跳ねれば分散するよというほうが分かりやすそうですが、実態としては恐らく熱損失なんでしょう。
エネルギー論で語ることも出来るでしょうけど、わかりづらくないですかね?

 

正規のインピーダンスロスの定義からは少しズレる可能性もありますが、空気圧を決めるとき、単純に跳ねるかどうか?跳ね過ぎるかどうか?で決めれば、だいだい間違いないあたりに落ち着きそうな気がします。




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