こちらについてなんですが、
考えたことがなかったですが…
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距離感がわからないので
第三十八条
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。
横断歩道の「手前の直前」とは、横断歩道から5mの範囲だと解釈されているので、5m以内であれば横断歩行者の有無にかかわらず一時停止義務が生じると解釈するしかないと思います。
あくまでも横断歩道から5mであって、停止線から5mではないので注意。
けどGoogleマップで見る限り、明らかに横断歩道から5m以上あると思われますので2項の義務の対象にはならないかと。
YouTubeの映像だとやたら至近距離にみえますが、たぶん5m以上あると思われます。
もし5m以内であればバス停だろうと一時停止義務の対象になるかと思いますが。
なお、38条2項でいう「停止している車両等」には駐停車車両を含みます。
所論は、原判示の横断歩道直前に停止していた自動車は、一時停止していたものではなく、「駐車」していたものであるから、本件において、被告人は、道路交通法38条2項にいう「その前方に出る前に一時停止しなければならない」義務を負わないのに、その義務があるとした原判決の認定は失当であると主張する。しかし、被告人の立会のもとに作成された実況見分調書によつて明らかなとおり、原判示道路は、道路標識等によつて駐車が禁止されているし、原判示自動車の停止位置は、道路交通法44条2号、3号によつても停車及び駐車が禁止されている場所であるから、かかる場所に敢えて駐車するが如きことは通常考えられない事柄であるのみならず、同法38条2項にいう「横断歩道の直前で停止している車両等」とは、その停止している原因、理由を問わず、ともかく横断歩道の直前で停止している一切の車両を意味するものと解すべきであるから、本件の場合、被告人の進路前方の横断歩道直前の道路左側寄りに停止していた自動車が、一時停止による場合であると停車或いは駐車による場合であるとにかかわりなく、被告人としては、右停止車両の側方を通過してその前方に出ようとするときは、出る前に一時停止しなければならないのである。従つて、右措置をとらないまま横断歩道に進入した被告人に過失があるとした原判決に誤りはない。論旨は理由がない。
名古屋高裁 昭和49年3月26日
なので仮にバス停の位置が横断歩道に近すぎるなら、38条2項の義務があると解釈するしかないかと。
けど、そんな位置にバス停の設置許可が下りるのかは怪しい。
進路の前方
この動画のケースでは38条1項後段の一時停止義務違反になります。
第三十八条
(前段省略)この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
このように分解して考えることができますが、
「進路の前方」とは何を意味するかになりますが、このように解釈されます。
「その進路の前方」とは、車両等が当該横断歩道の直前に到着してからその最後尾が横断歩道を通過し終るまでの間において、当該車両等の両側につき歩行者との間に必要な安全間隔をおいた範囲をいうものと解する
福岡高裁 昭和52年9月14日
「進路の前方を横断しようとする歩行者」の範囲ですが、警察の基準では車両の横から概ね5mです。
進路の前方 | 進路の前方を横断しようとする歩行者 |
車体幅+1.5m | 車体幅+5m |
※車両が横断歩道を通過し終わる時点。
車両が横断歩道を通過し終わる時点で5m範囲に入るような場合には予め一時停止する義務があるわけで、動画のケースは何の疑いもなく一時停止義務違反(38条1項後段)で間違いないかと。
本来、2項の義務って1項前段の義務を理解していれば不要な規定。
空気読めない方が横行して昭和42年に新設された規定なのですが、疑わしきは止まるという基本を優先するべき。
38条2項の新設経緯はこちら。
もともと横断歩道の手前の側端から前に5m以内の部分においては、法令の規定もしくは警察官の命令により、または危険を防止するために一時停止する場合のほかは停止および駐車が禁止されている(第44条第3号)のであるから、交通整理の行われていない横断歩道の直前で車両等が停止しているのは、通常の場合は、第38条第1項の規定により歩行者の通行を妨げないようにするため一時停止しているものと考えてしかるべきである。したがって、このような場合には、後方から来る車両等は、たとえ歩行者が見えなくとも注意して進行するのが当然であると考えられるにかかわらず、現実には、歩行者を横断させるため横断歩道の直前で停止している車両等の側方を通過してその前方に出たため、その歩行者に衝突するという交通事故を起こす車両が少なくなかったのである。
そこで、今回の改正では、第38条第2項の規定を設けて、交通整理の行われていない横断歩道の直前で停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとする車両等は、横断歩道を通行し、または通行しようとしている歩行者の存在を認識していない場合であっても、必ずその横断歩道の直前で一時停止しなければならないこととし、歩行者の有無を確認させることにしたのである。車両等が最初から歩行者の存在を認識している場合には、今回の改正によるこの規定をまつまでもなく、第38条第1項の規定により一時停止しなければならないことになる。
「一時停止」するというのは、文字通り一時・停止することであって、前車が停止している間停止しなければならないというのではない。この一時停止は、歩行者の有無を確認するためのものであるから、この一時停止した後は、第38条第1項の規定により歩行者の通行を妨げないようにしなければならないことになる。また、一時停止した結果、歩行者の通行を妨げるおそれがないときは、そのまま進行してよいことになる。
警察学論集、浅野信二郎(警察庁交通企画課)、立花書房、1967年12月
というよりも、横断歩道(信号規制なし)の5m範囲内にバス停の設置許可が下りるとは思えないのですが、このあたりは詳しくないのでわかりません。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
バス停に止まったバスの前か後ろを横断する歩行者が轢かれそうになっている映像を見たことがあって、
そこに横断歩道はあったような、と検索したところ、その映像とは別ですが、こんな感じみたいですね。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/jiken_kisha/shougen/shougen27-2/
「神奈川県警は1997年から、バス事業者に対し、信号機のない横断歩道の近くにバス停を設置する場合は、30メートル前後離れた場所にするよう指導しています。
しかし、それより前に設置されていたバス停は対象外でした。」
https://www.mbs.jp/news/feature/hunman/article/2022/01/087428.shtml
コメントありがとうございます。
一つ気になったのは、バス停が先にあったのになぜそこに横断歩道を作るのか、そのセンスが理解し難いです。
けど、これじゃ事故が起きますね。
「本来、2項の義務って1項前段の義務を理解していれば不要な規定」って徐行で十分ということでしょうか?私は一時停止しますが、追突されそうで怖いので、徐行で勘弁して欲しいものです
コメントありがとうございます。
警察学論集にも書いてあるように、空気を読めない人たちが大量発生したために「新設」された規定。
ルールとして確立された以上は一時停止義務があります。
昭和30年代にあまりにも空気を読めないクルマが大量発生したことが原因ですから。
左折レーンにバス停作っちゃうとこもありますからね。許可した方も考えなしですね。
参考になりました。
コメントありがとうございます。
なんかいろいろ雑ですよね笑。
バス停の位置は考えないとおかしくなると思っていますが、なにせ許可する側がテキトーなので…