PVアクセスランキング にほんブログ村

横断歩道と自転車の判例。

以前、横断歩道を渡ろうとする自転車の判例をいくつか挙げたのですが、

先日このような記事を書いたのですが、 記事でも書いたように、横断歩道=歩行者のためのもの、自転車横断帯=自転車...

正直なところこれについては道交法と実態の差が激しい面があって、どちらにせよ事故を防止する観点から考えると横断歩道を渡ろうとする自転車がいたら一時停止するのが当たり前のこと。
それは上の記事でも書いた通り。

ただまあ、それとは別に道交法の解釈自体は知っておかないと、事故に遭ったときには自転車側にも大きな過失が付く可能性がある。
なので自転車乗りのために判例と法解釈を書いてます。

けどまあ、この人のように執拗にコメント入れてくる面倒な人もいる。

先日、過去に書いた記事についてお前の考えは間違いだと執拗にクレームを受けたのですが、 間違っているというならそ...

もう、うっとおしい。 名無しさんという方に変わって別人キャラの小島さんが登場したのですが、名無しさんと小島さん...

同一人物なのかわかりませんが、今度はメールでクレーム入れてきた方がいて。

読者様
読者様

福岡高裁の判例は間違いだ。
なぜ横断歩道を渡る自転車が36条2で妨害になるのか。
優先道路の考え方を間違っている。

これを見ろ。

https://def-4.com/doukouhou38jo-chari/

これが正しい考え方だ。
全部書き直す必要があるだろう。

冒頭で挙げたリンク先の福岡高裁の判例が間違っている!と主張されているのですが・・・

初めに

正直なところこの問題はどちらにせよ弱者保護の概念がある以上(自動車運転処罰法、民法709条など)、事故を起こせば車の過失になるだけのこと。
なので38条がどうのこうのというのは、単なる道交法上の問題であって、道交法だけ守っていれば事故が起きないわけではないですし、車の運転者は道交法以上の高度な注意義務がある。
なのでどうでもいいといえばどうでもいいのですが、これ、勘違いしていると困るのって自転車側だと思っています。

なので自転車乗りとして知っておくべきこと、という意味合い。
自転車を歩行者同然と考えている人が多く、自転車が歩行者と同じ法的保護を受けていると勘違いすると、事故の元なので。
後述しますが、警察が38条の正式な解釈をネット上で書かないのも、一応は理由があります。

福岡高裁の判例

詳しくは読んでもらったほうがいいかと。

先日このような記事を書いたのですが、 記事でも書いたように、横断歩道=歩行者のためのもの、自転車横断帯=自転車...

この判例の要旨ですが、このようになっています。

・信号機が無い横断歩道(自転車横断帯は無し)
・自転車と車が衝突した死亡事故
・地裁も高裁も、自転車:車=30:70と判示し、自転車側が優先道路の進行妨害をした(36条2項)としている
・1審では、原告側が車の重過失を主張したが、重過失は認めなかった(過失止まり)。
・自転車は一度降りてから乗って渡ったことから、歩行者同然とみなすべきと控訴審で主張したが、控訴審は棄却した

これについて、優先道路というのはおかしいだろ!とメールで頂いたのですが、メールアドレスが間違っているのかわざと存在しないアドレスを打ち込んだのかは不明ですが届きませんw
けど、以前渡部さん(旧称 名無しさん)には、次は勅使河原さんで来いよと言ったにもかかわらず、勅使河原さんではなかったので同一人物なのかはわかりません。

さて、福岡高裁の判例。
なぜ36条2項が関わるかですが、T字路と書いたのでそれで理解できませんかね?

(交差点における他の車両等との関係等)
第三十六条
2 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

優先道路というのは以下の場合。
①優先道路の道路標識がある
②中央線もしくは車両通行帯がある
③交差道路が明らかに広い場合

このケースでは恐らく③です(事実認定で中央線もあると書いてあるので②も恐らく該当)。
例えばこういう状態。

センターラインがそのまままっすぐ伸びて言うてもいいですし、途切れていても同じですが、【明らかに】道路幅が違う狭い道路と広い道路では横断歩道を渡った場合でも、優先道路は広いほう。
自転車も車両なので、36条2項の規制を受けていると取れるわけです。

この判例、福岡市の県道というところ以外は伏字になっているので具体的な場所が不明なのと、図が添付されていないので詳しい状況はよくわかりません。
けど、私に文句付ける前に、まずは判決文を取り寄せるなどして読んだら解決するのではないでしょうか?笑

けど今回は特別に、事実認定も書きます(1審の事実認定)。

(1)認定事実
ア 本件事故現場について
(ア)本件事故現場周辺の本件道路は、中央線により上下線が区分された片側1車線の道路であり、その指定最高速度は時速40キロメートルである。
(イ)本件事故現場には、本件横断歩道が設けられており、同横断歩道には、自転車横断帯は設置されていない。
本件事故現場には、前方左右の視認を妨げる障害物はなく、本件横断歩道付近の見通しは良好であった。
(ウ)本件横断歩道南西側(△△方面側)には、本件道路と道幅5.8メートルの市道とが交差するT字路交差点(以下、「本件交差点」という。)があり、本件道路は同市道に対する優先道路である。
また、本件横断歩道北東側(〇〇方面側)には、本件道路と道幅3.3メートルの市道とが交差するT字路交差点があり、本件道路は同市道に対する優先道路である。
前記のいずれの交差点とも信号機による交通整理はされていない。

イ 本件事故発生について
(ア)本件事故発生前、Aは、本件横断歩道北端付近において、自転車を降りて佇立し、その後、自転車に乗り、◎◎方面に向かって本件横断歩道の横断を開始した。
(イ)本件事故発生前、被告は、被告車両を運転し、時速30ないし35キロメートルで本件道路を〇〇方面から△△方面へ走行していた。
本件交差点に進入する前、被告は、前方を走行する車両に気をとられつつ、進行方向左側の確認を行ったものの、進行方向右側の確認は行わなかった。
そして、本件車両が本件横断歩道にさしかかる頃、被告は、前方を向かって右側から左側に走行する原告を初めて認め、急制動を講じたが間に合わず、被告車両を原告に衝突させた。

福岡地裁 平成29年5月31日

横断歩道とそれそれの市道の距離関係が不明なので、勝手な推測のイラストになるので正確性は保証しません。
恐らくはこんなイメージなのかと。


※細部は不明なので恐らく微妙な間違いはあると思うので、それは差し引いて考えてください。

事故現場となるのは本件交差点となっている優先道路と道幅5.8メートルの市道のT字路と、そこにある横断歩道ということになるのかと。
正直なところ細部が不明なので恐らくイメージ図は何か間違っていそうですが、どちらにしても本件道路が12mもあることや中央線もあることから、5.8m幅の市道というのは生活道路的なものなのかと。
けど交差点であることには変わりない。
とりあえず1審での事実認定の時点で優先道路であることが確認されている。

一審の過失割合はこうなっています。

(ア)前記認定事実によれば、本件事故が、信号機による交通整理が行われていない交差点の入口に設置された横断歩道上において発生した交通事故であること、被告車両の進行していた本件道路は、本件交差点に対する優先道路であったこと、本件事故発生時、Aは71歳であったことが認められる。
これらの事情に加え、自転車が横断歩道上を通行する際は、車両等が他の歩行者と同様に注意を向けてくれるものと期待するのが通常であることを総合考慮すれば、Aと被告の過失割合を3対7と認めるのが相当である。

福岡地裁 平成29年5月31日

恐らくですが横断歩道が、このT字路に掛かっているような形なんだと思われます。
これに対し、2審では原告側が主張を一部追加。
2審では「一度降りてから乗ったから歩行者同然とみなすべき」と主張を追加しています。

こちらが控訴審の判決文。

当裁判所の判断

控訴人らは、Aが本件横断歩道手前で一度自転車から降りた後、再び自転車に乗って横断しているところ、自転車に乗らずにそのまま自転車を押して横断した場合(横断歩道を横断中の歩行者と扱われる。)とではわずかな差しかなく、また、被控訴人は、横断歩道の手前で大幅に減速する義務及び一時停止すべき義務(道路交通法38条1項)があるにもかかわらず、減速せずに進行していること、本件事故現場が商店街の道路であること等に照らせば、Aの過失は0パーセントと評価すべきである旨主張する。

しかし道路交通法は歩行者と軽車両である自転車を明確に区別しており、自転車を押して歩いている者は、歩行者とみなして歩行者と同様の保護を与えている。(同法2条3項)のに対し、自転車の運転者に対しては歩行者に準ずるような特別な扱いはしておらず、同法が自転車に乗って横断歩道を通行することを禁止しているとまでは解せないものの、横断歩道を自転車に乗って横断する場合と自転車を押して徒歩で横断する場合とでは道路交通法上の要保護性には明らかな差があるというべきである。
また、道路交通法38条1項は、自転車については、自転車横断帯(自転車の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号の2)を横断している場合に自転車を優先することを規定したものであって、横断歩道(歩行者の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号)を横断している場合にまで自転車に優先することを規定しているとまでは解されずむしろ、本件の場合、Aは、優先道路である本件道路進行車両の進行妨害禁止義務を負う(同法36条2項)ことからすると、過失相殺の判断にあたっては、原判決判示のとおり、自転車が横断歩道上を通行する際は、車両等が他の歩行者と同様に注意を向けてくれるものと期待されることが通常であることの限度で考慮するのが相当である。
さらに、一般に、交差道路の車両の通行量が多いことにより交差点を通過する車両の注意義務が加重されるとは解されないことからすると、本件事故現場が商店街の道路で横断自転車の通行量が多かったとしても、それにより被控訴人の注意義務が加重されると解するのは疑問である。この点を措くとしても、本件道路は、車道の両側に約2メートル幅の歩道(一部は路側帯)が整備された全幅が12メートルを超える片側1車線(一部は2車線)の県道であり、車両の交通量も比較的多いこと等を考えると、幹線道路に近い道路であるというべきであって、通常の信号機による交通整理の行われていない交差点における交差道路からの進入車両等に対する注意以上に、特に横断自転車等の動向に注意して自動車を運転すべき商店街の道路とはいえない。

平成30年1月18日 福岡高裁

こういう点から36条2項による優先道路妨害と判断されているわけです。
事実認定で優先道路であることが確認されているので、交差点内にある横断歩道を自転車(車両)で横断すれば、優先道路妨害になるのは当たり前のこと。

自転車は車両であることには変わりないので、当然ですが横断による妨害(25条の2第1項)や優先道路妨害(36条2項)に問われる可能性はあって、この場合であれば交差点内であることと優先道路の関係から36条2項を適用しています。
車のほうが過失割合が大きくなるのは、これはほぼお約束なのでしょうがない。
民事では道交法違反だけを争っているわけではないですし。

ていうかメールしてきた方。
疑問があるならまずは自分で調べようよ。
この判例は判例雑誌にも載っているようですし、まさかネット上で全ての判例を調べられるとでも思うのか?

なので36条2項の優先道路妨害で何ら間違いはないかと。
横断歩道は自転車が優先されないという道路交通法の規定に忠実な判決と言えます。

一般的には高齢者だということで修正が入るので、これが高齢者でない場合はもしかしたら40:60になるのかもしれませんが。

※イラストは正確性を欠いている可能性が高いのでご注意を。詳細不明なので。

ついでに書きますが、何度も書いているように裁判というのは当事者主義、弁論主義なので、当事者が主張していないことを裁判官が勝手に判決に加えることは出来ません。

いくつか自転車が関わる事故について判例を紹介してますが、 もちろん、ロードバイ...

例えばこちらの判例では、逆走自転車と順走自転車が衝突した事故ですが、過失は順走側が100%となっています。

ちょっと前に取り上げた件。 この記事で取り上げたブログさん、ほかにも判例について解説(?)をしているようなので...

これについて歴史的な誤判だと主張している方がいたのですが、この判例が掲載されている書籍にもあるように、なぜかこの判例では逆走事実を過失だとして主張していない。
主張が無いことを勝手に裁判長が判決に加えることは出来ないので、しょうがない。

なのできちんと主張すべきことは主張しないと不利になるし、相手方の主張に対してきちんと反論できないと不利になる。
当たり前の自己責任。

ちなみに上の福岡高裁の判例ですが、1審の福岡地裁の時点で車側(被告)は優先道路であることを主張しています。
それに対し自転車側は横断歩道に先入していたことや高齢者であること、横断歩道であることを主張し、被告の右側注視義務違反を重過失だと主張したようですが、重過失については裁判所が認めませんでした。
被告の主張は「優先道路であることと、高齢者であることを加味して35:65が相当」だったので、ほぼ車側の主張が通った形。
2審も1審を支持し控訴棄却した判例です。
こういうのも何を主張するかで判決が変わりうるので、ちゃんとわかっていないと不利になるだけのこと。

あとこれも勘違いしている人が多いように思うのですが、民事の過失割合って道交法違反を争っているわけではなくて、民法709条の不法行為責任について争ってます。

第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

故意ということはまず無いとして、問題なのは「過失」。
過失とは道交法違反を指す、という法律はどこにもないので、道交法違反だけでなく予見できることへの回避義務違反が過失となる。
なので優先権があろうと、100:0になることはほぼありません。
赤信号無視で突っ込んできた場合には別でしょうけど、これも状況次第です。

ついでにですが

メール頂いたサイトさんに触れる前に、こっちを説明したほうが早いと思うので後回しにします。
こちらの記事でも少し触れた判例。

最近こういうの多いですよね・・・ ドラレコの普及で、SNSに容易にアップされてしまうことも分かっていないのでしょうか。 どう...

自転車の運転者が道路を横断するにあたって横断歩道を利用する場合には、自転車に乗ったまま疾走し、飛び出すような形で横断歩道を通行することは厳にしてはならないというべきであって、自動車運転者はこのような無謀な横断者はないものと信頼して運転すれば足りる。

東京地裁 昭和47年8月12日

これは執務資料道路交通法解説(野下文生、道路交通執務研究会、2018、p380、東京法令出版)の38条1項後段の説明に使われている判例です。
この判例についてなんですが、自転車横断帯が出来る前の判例(横断帯は昭和53年)であることと、施行令改正が平成20年で、20年に人型の信号機の意味に自転車が含まれたことを考えると、あまり鵜呑みにしないほうがいいよと記事でも書きました。

これも全文をみると、正直なところこの結論を導いた過程が現行法規とは異なり過ぎているので、ちょっと微妙です。
この判例ですが、業務上過失傷害罪に問われた刑事事件です。

一、本件公訴事実は、

被告人は、昭和四六年一月三〇日午後五時ころ、業務として大型貨物自動車を運転し、東京都大田区荻中三丁目二二番先の信号機により交通整理の行なわれている交差点内に第一京浜国道方面から進入し、同交差点大森方面の出口に設けられている横断歩道の直前でいつたん停止してから発進するにあたり、自車の前方左右、特に同横断歩道上の歩行者等の有無および動静を注視し、周囲の安全を確認してから発進すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、同横断歩道上を左から右へ横断通過した歩行者に気をとられ、ほかに横断者はいないものと軽信し、漫然発進し時速約一〇キロメートルで進行した過失により、信号に従い前記横断歩行者に続いて前記横断歩道上を左から右へ横断中の被害者(当八年)運転の子供用自転車に気づかず、同車に自車を衝突させ、よつて、右被害者に加療約三か月間を要する左肘部挫傷(尺骨粉砕骨折)等の傷害を負わせたものである。

というのである。

東京地裁 昭和47年8月12日

認定事実では、被害者が乗る自転車は「衝突地点から10ないし12.5メートル程度離れた歩道上」で、時速9キロ程度となっています。
そして上で紹介した執務資料に載っている結論を導いた過程。

(二)  ところで、自転車は原則として歩道を通つてはならず、車道左端に沿つて通行しなければならないわけで(道路交通法一七条一項、三項、一七条の三)、本件の場合被害者の自転車が車道を走行していたとすれば、被告人車の後行車となるわけで、同法三四条五項の規定により左折車が適式な左折合図をしている場合には、後行車は左折車の左折を妨げてはならないのである。ただ自転車については、道路の横断にあたつては、その安全上むしろ横断歩道を利用し、自転車を押して渡るよう指導されているところであり(交通の方法に関する教則・交通ルールブック警察庁交通局監修一一頁)、本来歩行者の歩行や横断の用に供するため設けられた歩道や横断歩道(同法二条一項二号、四号)を利用する以上歩行者と同様の心得が要求されることは当然のことであり、自転車の運転者が道路を横断するにあたつて横断歩道を利用する場合には、自転車に乗つたまま疾走し、飛び出すような型で横断歩道を通行することは厳にしてはならないというべきであつて、自動車運転者はこのような無暴な横断者はないものと信頼して運転すれば足りる。

(三)  ひるがえつて本件についてみるに、本件横断歩道を横断しようとする者の有無の確認範囲については、一般にこれをある程度の蓋然性をもつて認め得るところの横断歩道の外周について認めるべきであるが(横断にあたつては通常の歩行状態だけではなく小走りで横断する者もなくないのでそれらの点は考慮に入れるにしても)別紙図面点にいる人については、果して同人が本件横断歩道を横断し始めるものか、歩道に沿い大森方面へ左折するか、はたまた川崎方面への横断歩道を渡るつもりでいるのか不明であり、いずれの可能性が高いというようなこともいい得ない状況にあり、付近の範囲までもみて本件交差点を横断しようとしている人がいるかどうか判断すべき義務あるとまでは認め難いところである。とりわけ本件の場合のように横断歩道左側端より七ないし九メートル余りの地点に自転車に乗つたまま走つて本件横断歩道を横断しようとする者があることまで考慮に入れて付近まで確認すべきであるとすることには自動車運転者と他の交通関与者との危険分配の原則の観点からいつても疑問である。また横断歩道に接近した地点にいて当該横断歩道に向つている者についてはその場所的接近性、歩行者の体勢からいつて横断しようとしている蓋然性がある程度の強さをもつて推測できるので、この場合はこれを打消す要素がうかがえるまでは発進をさし控えるのが通常であろうが、本件のように横断歩道からある程度離れた地点にいていまだ予測が十分できかねるような人については、むしろその明確化を待つというより速やかに発進するのが現下の交通事情のもとでは普通ではなかろうかとも考えられ、発進をさし控えなかつたことをもつて可罰的な不注意であるとはいい得ないと考える。

東京地裁 昭和47年8月12日

この時代って自転車の歩道通行が法的に解禁されて間もないころで、昭和45年5月の法改正で以下の条文が出来ました。

 (自転車の歩道通行)第十七条の三
二輪の自転車は、第十七条第一項の規定にかかわらず、公安委員会が歩道又は交通の状況により支障がないと認めて指定した区間の歩道を通行することができる。

2 前項の場合において、二輪の自転車は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない。

3 公安委員会は、第一項の規定により区間を指定しようとするときは、当該歩道の管理者の意見をきかなければならない。

これがあるので、公安委員会が指定していない歩道は、法律上では自転車の通行が禁止されていた。
なので判決文でも34条5項の左折の合図がどうのこうのとか、自転車に乗ったまま横断歩道を渡ってはいけないとか出てくるわけです。

自転車は原則として歩道を通つてはならず、車道左端に沿つて通行しなければならないわけで(道路交通法一七条一項、三項、一七条の三)、本件の場合被害者の自転車が車道を走行していたとすれば、被告人車の後行車となるわけで、同法三四条五項の規定により左折車が適式な左折合図をしている場合には、後行車は左折車の左折を妨げてはならないのである。ただ自転車については、道路の横断にあたつては、その安全上むしろ横断歩道を利用し、自転車を押して渡るよう指導されているところであり(交通の方法に関する教則・交通ルールブック警察庁交通局監修一一頁)、本来歩行者の歩行や横断の用に供するため設けられた歩道や横断歩道(同法二条一項二号、四号)を利用する以上歩行者と同様の心得が要求されることは当然のことであり、自転車の運転者が道路を横断するにあたつて横断歩道を利用する場合には、自転車に乗つたまま疾走し、飛び出すような型で横断歩道を通行することは厳にしてはならないというべきであつて、自動車運転者はこのような無暴な横断者はないものと信頼して運転すれば足りる。

東京地裁 昭和47年8月12日

横断歩道は「歩行者の横断に供する場所」と規定されていた関係で、昔は横断歩道を車両横断禁止の道路標示とみなせる余地があって(現行の25条の2第2項)、それも関係しているのではないかと思いますが、交通の方法に関する教則でも【自転車を押して渡るよう指導されている】なんだろうと思われます。

論より証拠。

まずは判例から(民事です)。

右認定の被害者の自転車は、大人用の自転車に比し遅いとはいえ歩行者より格段に速い速度をもち、かつ惰力で進行するから、人車等に衡突するときは歩行者が惹起する危険とは質的に異なる危険を他の歩行者及び右自転車運転者自体に生じさせうるものであり、これを防止するため機械式ブレーキを備えるものである。従って、右自転車は道路交通法二条一項一一号及び同条三項一号に定める小児用の車にはあたらず、軽車両として扱うべきものであって、道路交通法規上横断歩道上を通行することを認められていないものというほかない。これは、単に右自転車の危険に着眼した横断歩行者の安全確保のための規制ではなく、右自転車の速度及び一定の速度以下の低速で走行するときは安全性を欠くという性質に着眼した自転車走行者の安全確保のための規制でもある。そうすると、被害者が、右自転車を走行して本件横断歩道に進入したこと自体、本件事故に関する被害者の不注意と評価すべきことになる。また、右認定の進入の際の被害者の体勢と加害車の不注視も、本件事故に関する被害者の不注意となる。さらに、被害者が、本件事故当時五歳で幼稚園年長組に所属していた事実は当事者間に争いがなく、《証拠省略》によれば、被害者は家庭において一応の交通安全の知識を与えられており、かつ、幼稚園においてもよくその指導教育に従う子供であった事実が認められ、以上の事実に照らせば、被害者には、道路において安全に自転車を走行させるに必要な注意をする能力があり、右程度の不注意を避けえたことが明らかである。

横浜地裁 昭和50年(ワ)第1752号

続いては国会議事録から。

○杉原政府委員 いま自転車横断帯をどういうような様式のものにするかという検討をいたしておりますが、おおよその考え方としまして、標識とペイントの標示と、両方があるわけでございますが、両方様式を決めたいと思っております。
道路標識の方につきましては、いまの横断歩道に、正確に言いますと五角形の人形の横断歩道がありますが、あれと同じ様式で、中に自転車のマークを入れたものを自転車横断帯のところには立てたい。
それから、自転車の横断帯そのものは、いま考えておりますのは、法律上の必要最小限度の標示としましては、両側に横断歩道と同じような白線を引きまして、その真ん中に自転車の絵をかこうという、これは字が読めない子供もわからなければいけませんので自転車の絵を入れようということを必要最小限度の要件にしまして、それがよくわかるように、いま都内などでれんが色にしておるものがありますが、これは要件ということでなくて、そういう自転車道があっても——いまれんが色にしているところも白線で両側を囲っておりますから、必要最小限度の要件にしていこうというふうに考えております。
それから、これは自転車の横断帯ではなくて横断歩道を自転車で渡るときは、これはいま教則にも書いておりますけれども、必ず、乗らないで、押して歩いてもらうような指導を徹底をしていきたいと思いますし、学校当局その他にもその点をこれからよく指導していただくように協力をお願いしたいというふうに考えております。

第84回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第12号 昭和53年5月31日

自転車横断帯が道交法に出来たのは昭和53年ですが、横断帯を作る議論の中でも、自転車が横断歩道を渡るときは【必ず】乗らないで、押して歩けなんですね。
実態として守られていなかったことが自転車横断帯の創設につながったようですが、恐らくはこの当時も、まだ横断歩道については車両横断禁止の道路標示とみなせる余地があるという立場だったのかもしれません。
(実態として取り締まりされていたようなフシはないですし、平成20年施行令改正でこの解釈は取れなくなったとみなせます。)

【道路の横断にあたつては、その安全上むしろ横断歩道を利用し】と横断歩道を利用を推奨していた理由は、自転車の道路上での乱横断が目立って問題になっていたからです。
意味不明なタイミングで好き勝手に自転車が横断されると事故多発なので、横断したい自転車は横断歩道を使うように促し、かつ、横断歩道は降りて押して渡るように指導していた時代です。

つまりは、執務資料で紹介されていた判例については、
・自転車が歩道を走っていることを「法律上」想定できない時代(一部のみ解禁)
・横断歩道を渡るときは降りて押して渡るように指導されていた時代(横断歩道を車両横断禁止の道路標示とみなしていた)

こういう背景があるので、このように判示されているところなのかと。

自転車の運転者が道路を横断するにあたつて横断歩道を利用する場合には、自転車に乗つたまま疾走し、飛び出すような型で横断歩道を通行することは厳にしてはならないというべきであつて、自動車運転者はこのような無暴な横断者はないものと信頼して運転すれば足りる。

東京地裁 昭和47年8月12日

つまりこの判例では、以下の二点を【してはいけない行動】としている。

・自転車に乗ったまま横断歩道を渡ること
・さらに飛び出すような形で横断歩道に来ること

けど、今の道交法ってそうではない。

・歩行者や車道の通行を妨害しないなら、乗ったまま渡っても構わない
・人型の青信号では、自転車は横断歩道を直進できる規定になっている

なのでいろいろ調べた結果としては、この判例は今の時代にはそぐわないと見たほうがいいんじゃないですかね。
少なくとも歩道通行が原則禁止の時代なので、歩道から横断歩道に来る自転車を想定する必要が無いとも取れる上に、横断歩道は降りて渡れと指導されていた時代の判例なので。
そういう前提を元にこの判断が下されている。

ただし、自転車が横断歩道に飛び出してはいけないとする注意義務については今も同様です。
けど結論を導いた過程は今の時代と違い過ぎるのであまり意味がないかと。

今の時代であれば業務上過失傷害罪ではなく、過失運転致傷罪になりますが、横断歩道の側端から10m程度にいて、時速9キロ程度の子供の自転車を見過ごしたとなると、大問題になるのではないかと・・・
この判例では無罪ですが、今の時代でも無罪・・・とは思えない。
検証結果ではこの子供の自転車がいた位置は車からすると死角に入っていることになっているのと、一応は先の歩行者を横断させるために一時停止していたこと、当時は自転車が横断歩道を渡る際には降りて渡るように指導されていたこと、法的には自転車が歩道を走れない時代だったこと(公安委員会の指定がある歩道のみ)、こういう要素から導き出された結論。
業務上過失傷害罪の「過失」に当たるかどうかという判定も、その時代での関係法規がどうなっているのかで変わりうるのですが、今の時代だと子供については自転車の歩道通行が認められているわけですし、今の時代に同じ事故が起きて同様の判断となるかは怪しい。

執務資料はいろんな判例も網羅しているので重宝しますが、時折怪しい記述もあるのと、判例もやや古いものが多い。
道路交通法の解釈としては横断歩道の自転車よりも車道の車両が優先するというところはわかるけど、過失運転致死傷罪という観点で見ると今の時代ではちょっと厳しいかも。
基本概念としてはある程度意味を持つけど、例えば裁判の証拠としてこの判例を出すとしたら不適切。

メール頂いたサイトの内容

さてこちら。

読者様
読者様
これを見ろ。

https://def-4.com/doukouhou38jo-chari/

これが正しい考え方だ。
全部書き直す必要があるだろう。

正直に言いますと、法解釈、定義を大きく間違っているので、何ら参考になるところを見いだせません。
道交法の解説書、警視庁の交通相談センター、判例などもうちょっと勉強してから書いたほうがいいのではないかと。

まず、冒頭からおかしいなと思うのですが、この方の考え方によると、「通行」と「横断」は分けて考えるべきで、両者は別物だという考えから始まっています。

この法律の本質を考えてみます。何もない原っぱにA地点からB地点までアスファルトで固めて道路を作ったと想像してください。まだ何もラインも標識も無いまっさらな道路では、[A地点からB地点を目指していない]誰もが自由に道路を横断【交】し、[A地点からB地点を目指している]誰もが自由に道路を通行【通】します。それでは危険なのでルールを制定しましょうというのが道路【交通】法です。

つまり【横断】と【通行】の2つは他の用語よりも2大要素といいますか、【横断】と【通行】という行為自体が大原則であると考えると道路交通法のすべてのつじつまが合います。禁止や制限がされなければ、【横断】と【通行】は当然の行為でいわずもがなということであり、道路交通法でわざわざ制定する必要がないということです。

【横断】と【通行】は2者択一であり、そのどちらとも取れる場合は【進行】という表現を使っています。【横断】行為には道路を横切るという行為しかありませんが、【通行】行為には(徐行・停止・通過・並進・左折・右折)など道路を進むにあたり制定する通行方法がいろいろあります。そういうイメージをもって道交法を読むと、理解度が格段にアップします。

https://def-4.com/doukouhou38jo-chari/

まずこの時点で間違い。
車両の「横断」というのは、「通行」という定義の中の一部でしかない。

横断⊂通行、です。

以下がその理由。

(自転車の横断の方法)
第六十三条の六 自転車は、道路を横断しようとするときは、自転車横断帯がある場所の付近においては、その自転車横断帯によつて道路を横断しなければならない。
(交差点における自転車の通行方法)
第六十三条の七 自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第十七条第四項、第三十四条第一項及び第三項並びに第三十五条の二の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない。
2 普通自転車は、交差点又はその手前の直近において、当該交差点への進入の禁止を表示する道路標示があるときは、当該道路標示を越えて当該交差点に入つてはならない。
(自転車の通行方法の指示)
第六十三条の八 警察官等は、第六十三条の六若しくは前条第一項の規定に違反して通行している自転車の運転者に対し、これらの規定に定める通行方法により当該自転車を通行させ、又は同条第二項の規定に違反して通行している普通自転車の運転者に対し、当該普通自転車を歩道により通行させるべきことを指示することができる。

63条の8をみると、63条の6も7も「通行」になっているので、通行という括りの中に横断という形態もあるだけのこと。

なので横断と通行は別物、と考える時点で間違い。
より正確にいうと、63条の7の場合も横断と取れる余地は普通にありますが、可能性としては交差点内に自転車横断帯があるケースも想定されるので、交差点内だと横断という定義が出来なくなります。

交差点の定義は、2以上の車道が交わる部分(2条1項5号)

・横断帯が交差点内にある

・横断帯が交差点の中と外にまたがっている

こういうケースも想定できるので、63条の7では「通行」としているだけのこと。
63条の8で、63条の6と7どちらも「通行」になっていることからも理解できるように、通行という括りの中に横断も含まれるというだけで、通行と横断が二者択一というのは法律の条文から否定されます。

横断歩道をを渡る自転車は横断、交差点を渡る自転車は通行だと捉えて・・・と論説が始まるのですが、横断というのは通行の一形態に過ぎないことは63条の8を見ればわかること。
なので車両の通行形態の中に横断もあれば、左折や右折、進路変更などもあるだけのこと。
二者択一で捉えるという時点で法の条文に反するので説得力がない。

あとこの方、意図的に見逃しているのかどうかは謎ですが、車両である以上横断する際にはこの規定が関係します。

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

25条の2第1項です。
正常な交通というのは、2条の定義に従うものと解釈するのが合理的。
横断歩道は歩行者の場所だとあり、かつ車道にあるので車道を通行す車両は歩行者がいない限り正常な交通とみなせる。
それに対し、横断歩道を横断する自転車は、禁止されていないけど正常な交通と定義するのは無理があるので、この条文と38条がバッティングするはずなんですね。
38条で横断歩道を渡ろうとする自転車も保護対象だとした場合。
38条で横断歩道を渡ろうとする自転車が対象外であれば、全て法律上の説明がつく。
対象だとすると、25条の2第1項と38条1項のどっちが優先するのか不明になるので、どちらかの条文で【38条1項の場合を除き】とか書いていないと話が合わなくなる。

38条の解釈ですが、そもそもの立法経緯を見れば明らかなのでそれは最後に。
この方は判例とかも調べていないのでしょうか?
それが不思議です。

このSNS時代に警察官・弁護士が名乗りをあげて停止義務なし派を公言している人がいない理由を考えましょう。

https://def-4.com/doukouhou38jo-chari/

一応弁護士さんでもツイッターで公言している人はいますが、匿名のSNSよりも判例のほうが信用度は比べ物にならないほど高いことは容易に理解できるかと。
そもそも公務員の場合、SNSで警察官だと公言して語るのはまずかったりすると思うのですが。

正直なところ、こちらのサイトさん、何を書いているのかサッパリ分からない程度に支離滅裂なのと、もうちょっと勉強されたほうがいいと思うのですが、やたらと「2条4項」と書いているのも「2条1項4号」の間違いだと思われます。
それ以外だと例えばこちら。

歩車分離式ですので【歩】と【車】が完全に分離されています。歩道を通行し横断歩道を横断する自転車は【歩】側の信号に従い横断歩道を横断します。車道を通行し横断歩道のある交差点を通行する自転車は【車】側の信号に従い横断歩道のある交差点を通行します。理にかなっています。

https://def-4.com/doukouhou38jo-chari/

管理人
管理人
これは必ずしもそういうわけではなくて、過去にも説明した通り施行令2条4項、同5項により話が変わります。
人型の信号機に「歩行者自転車専用」とある場合には、車道を通行する自転車が車道の信号機に従うと違反となります。
根本的に前提の理解が不十分なので、前提が崩れているのでは?

正直なところ自転車の交通ルールについては、よくわからないものは多々あります。 先日書いた、第1通行帯からしか直進できない件もそうですが、 ...

ちょっと前に、自転車で赤切符を切られたというニュースがありました。 これ、従うべき信号機を間違えたことと、横断...

横断歩道を横断する自転車は第38条で優先されない派の理論でいくと、自転車は歩道の信号が赤のときに車道側の青信号に従い横断歩道を横断していくことになります。自転車専用信号機を別に設置しないと安全性を確保できなくなり、歩車分離式信号機ではなく歩自車分離式信号機でないとおかしいという安全性理論になります。

https://def-4.com/doukouhou38jo-chari/

これについては何を言っているのかが全く分かりませんが、恐らくこの方は、施行令を全く調べていないのではないでしょうか?

令2条

信号の種類信号の意味
人の形の記号を有する青色の灯火一 歩行者は、進行することができること。
二 普通自転車(法第六十三条の三に規定する普通自転車をいう。以下この条及び第二十六条第三号において同じ。)は、横断歩道において直進をし、又は左折することができること。
人の形の記号を有する青色の灯火の点滅一 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。
二 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。
人の形の記号を有する赤色の灯火一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。
二 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと

4 公安委員会が、人の形の記号を有する青色の灯火、人の形の記号を有する青色の灯火の点滅又は人の形の記号を有する赤色の灯火の信号を表示する信号機について、当該信号機の信号が歩行者及び自転車に対して意味を表示するものである旨を内閣府令で定めるところにより表示した場合における当該信号の意味は、次の表の上欄に掲げる信号の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。

信号の種類信号の意味
人の形の記号を有する青色の灯火一 歩行者は、進行することができること。
二 自転車は、直進をし、又は左折することができること。
人の形の記号を有する青色の灯火の点滅一 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、速やかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。
二 自転車は、道路の横断を始めてはならず、また、当該信号が表示された時において停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除き、停止位置を越えて進行してはならないこと。
人の形の記号を有する赤色の灯火一 歩行者は、道路を横断してはならないこと。
二 自転車は、道路の横断を始め、又は停止位置を越えて進行してはならないこと。
三 交差点において既に左折している自転車は、そのまま進行することができること。
四 交差点において既に右折している自転車は、その右折している地点において停止しなければならないこと。

5 特定の交通についてのみ意味が表示される信号が他の信号と同時に表示されている場合における当該他の信号の意味は、当該特定の交通について表示されないものとする。

たぶんですがこの方、信号機の意味と、優先権(保護義務)を同一線上で考えていることと、そもそも信号機の意味を理解していないのかなと思うのですが。
青信号は「できる」ということを意味し、優先保護とは特に関係ありません。

38条と信号機は特に関係なくて、人形の信号機は普通自転車が「横断歩道において」直進出来ます。

「できる」ことと優先保護は別物。

さらにいうと、人形の信号機に「歩行者自転車専用」とある場合には、車道の自転車も歩道の自転車も進行出来ますが、「横断歩道において」という括りがなくなります(令2条4項)。

例えばこちらの記述でも、全く意味不明なことを述べている。

夜間押しボタン式の信号機で考えてみます。夜間暗い歩道から通行してきた自転車が押しボタン式信号機のボタンを押してよいかどうかで考えると、停止義務あり派は当然ボタンを押して歩道用信号を青にして横断歩道を横断してよいことになります。

停止義務なし派は、自転車はボタンを押さずに通行する車両がいないのを確認して歩行者用信号が赤のまま横断歩道を横断しなければならないことになります。もしくは、横断する意思がありながらボタンを押して意思表示しても通行する車両は押したのが自転車なら無視してよいということでしょうか。

https://def-4.com/doukouhou38jo-chari/

押しボタン式の横断歩道信号を検討しているようですが、書いてある内容を理解するまでに相当考えてしまいました。
これは何を言っているのだろうと・・・

当たり前の話ですが、横断歩道をの押しボタンを押して青になった際は、車道については赤になります。

車道が赤信号で規制されている以上、施行令2条の規定に従って堂々と自転車は横断すればよい。
その際に歩行者の横断を妨害すると25条の2第1項の違反となります。

さて、いきなりですが質問です。 以下の質問、正解でしょうか?間違いでしょうか? 自転車横断帯が無い横断歩道を渡るとき、自転車は降りて...

たぶんこの方が言いたいことって、横断歩道を渡ろうとする自転車に対して38条が適用されないなら、押しボタンを押しても車道の車は止まる必要が無い・・・とでも考えているのかなと思うしかない。
いや、もしかしたら「自転車が押しボタンを押して横断歩道を青にする行為」自体が、38条に反するとでも考えているのか?
押しボタンで横断歩道が青になれば、車道は当然赤信号なので関係ありません。

たぶん、信号機の灯火と優先保護を混同している。

・信号機→できる、できないのみを示す。

・38条→出来るもの同士でも「優先」「保護」を順位付ける

例えば車道を走る車。

直進車も右折車も、信号機が青ならどちらも「直進できる」「右折できる」(令2条)。

けど、37条により直進車が優先。

これ仮にですが、直進車側が「赤」、右折車側が「→」になれば、右折車は進行出来ますが直進車は進行出来ません。

当たり前ですが、37条の優先権が信号機の意味を越えるわけがない。
この方の記述だと、優先権は信号機の色を越えることになるけど、そんな話はあり得ない。

書いてある内容を理解するのに、相当時間が掛かりました。
支離滅裂・・・だとこの方自身は思わないのでしょうか?

さらに続けます。

さらに、自転車を運転していた人が12歳以下又は65歳以上である場合、横断歩道、自転車横断帯の区別なく自転車0:車100の過失割合が目安となるのがわかります。

https://def-4.com/doukouhou38jo-chari/

たぶん13歳未満&70歳以上の間違いではないかと思うのですが、0:100になるわけではありません。
事実、上で紹介した福岡高裁の判例ですが、横断歩道を渡った自転車の方は71歳です。
高齢者ということを加味しても30:70と判示されていますし、ほかの判例をみても児童、高齢者であることを理由に0:100というのは見かけません。

たぶんこの方ですが、昭和53年に道交法改正で自転車横断帯が出来る前の38条を知らないのだと思います。

(横断歩道における歩行者の優先)
第三十八条 車両等は、横断歩道に接近する場合には、当該横断歩道を通過する際に当該横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

このように、横断歩道を渡ろうとする自転車については何ら保護規定はなかった。

当時の国会議事録。

○国務大臣(加藤武徳君)
その二は、自転車の通行の安全を確保するための規定の整備でありますが、これは、自転車の定義を設けるほか、自転車の交通方法の特例について新たに節を設けて関係規定を整備すること、自転車は自転車横断帯により道路を横断または通行しなければならないこととし、自転車横断帯を通行している自転車の保護についての規定を整備すること、歩道等を通行することができる自転車の大きさ等を定め、歩道を通行する場合における自転車の通行方法についての規定を整備すること、自転車の運転者は、制動装置または反射器材を備えていない自転車を運転してはならないこととすること等がその内容であります。

第84回国会 参議院 地方行政委員会 第12号 昭和53年5月9日

昭和53年に自転車横断帯を作るときに、「自転車横断帯を渡ろうとする自転車」について保護規定を作った。

これに加え、先ほども挙げた国会議事録の内容。

○杉原政府委員 いま自転車横断帯をどういうような様式のものにするかという検討をいたしておりますが、おおよその考え方としまして、標識とペイントの標示と、両方があるわけでございますが、両方様式を決めたいと思っております。
道路標識の方につきましては、いまの横断歩道に、正確に言いますと五角形の人形の横断歩道がありますが、あれと同じ様式で、中に自転車のマークを入れたものを自転車横断帯のところには立てたい。
それから、自転車の横断帯そのものは、いま考えておりますのは、法律上の必要最小限度の標示としましては、両側に横断歩道と同じような白線を引きまして、その真ん中に自転車の絵をかこうという、これは字が読めない子供もわからなければいけませんので自転車の絵を入れようということを必要最小限度の要件にしまして、それがよくわかるように、いま都内などでれんが色にしておるものがありますが、これは要件ということでなくて、そういう自転車道があっても——いまれんが色にしているところも白線で両側を囲っておりますから、必要最小限度の要件にしていこうというふうに考えております。
それから、これは自転車の横断帯ではなくて横断歩道を自転車で渡るときは、これはいま教則にも書いておりますけれども、必ず、乗らないで、押して歩いてもらうような指導を徹底をしていきたいと思いますし、学校当局その他にもその点をこれからよく指導していただくように協力をお願いしたいというふうに考えております。

第84回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第12号 昭和53年5月31日

こういう経緯で立法されているので、38条は横断歩道を渡ろうとする歩行者と、自転車横断帯を渡ろうとする自転車の保護規定なわけです。
横断歩道を渡ろうとする自転車については保護対象ではない。
押して歩けば歩行者だし(2条3項2号)。

平成20年に施行令が改正されやや曖昧な要素が出ましたが、結局38条は従来通り「横断歩道を渡ろうとする歩行者」と「自転車横断帯を渡ろうとする自転車」の保護規定のまま。

最近一番明確になっている判例はコレかと。

原判決は、「同条項は、横断歩道における自転車自体を保護する規定ではない」と説示し、所論と同様の前提に立っている。その上で、横断歩道の存在を認識していた被告人には、①見通しの悪い左方道路から横断歩道に向けて進行してくる歩行者に備えた徐行義務があり、その歩行者には小走りで来るような歩行者も含まれると解されること、②自転車通行者には横断歩道で自転車を降りて進行するよう指導がされているとはいえ、自転車に乗ったまま横断歩道を進行する者が日常的に存在することなどから、本件において、横断歩道に接近する際に、歩行者のみならず、被害者のような小走りの歩行者と同程度の速度で進行してくる自転車が横断歩道に進出してくることを予見することは可能である、としている。

(中略)

自動車運転者としては、同法70条による安全運転義務があるのはもちろん、交通の実情を踏まえた注意義務が求められるのは当然である(所論は、道路交通法上の義務と自動車運転過失致死罪における注意義務を同一のものと理解している点で相当でない。すなわち、信頼の原則が働くような場合はともかく、前者がないからといって、直ちに後者までないということにはならない。)そして、自転車は、対歩行者との関係では交通強者であるものの、対自動車との関係では交通弱者であって、なお多くの自転車が歩行者と同様に自転車横断帯の設置されていない横断歩道を利用して横断しているのが交通の実情である。

平成22年5月25日 東京高裁

これは過失運転致死罪の判例ですが、38条は横断歩道を渡ろうとする自転車のへの規定ではないことを明確にした上で、実態として横断歩道を渡る自転車が多い実情を踏まえれば自転車が横断することは予見可能だとして有罪にした判例です。
過失運転致死罪の「過失」というのは、一般的に予見されることへの回避義務違反と解釈される。
なので38条違反が成立しないとしても、交通強者と弱者の関係性でいえば自転車の動向を見て保護する義務があるとして、過失運転致死罪では有罪としている判例。

冒頭で私が書いたのってまさにこれで、38条の対象外であっても弱者保護の概念はあるので、事故を起こせば有罪になるし民事でも過失になる。
だから減速したり一時停止すべきだけど、それは38条の義務ではないというだけのこと。

この判例では制限速度40キロの道路で、車は約55キロ出ていたようです。
55キロも出していて、「歩行者がいないことが明らかなのか」を確認できるわけもないので38条1項前段の減速徐行義務はあるとも書いてある。

ところでこの38条の解釈、警視庁の交通相談センターに電話して聞くと、

いろんな人
いろんな人
38条は横断歩道を渡ろうとする自転車に対しては対象外で違反は成立しません。

このように即答されます。
その上で大切なのはこれ。

いろんな人
いろんな人
一時停止義務が無くても、事故が起きれば安全運転義務違反に問われますし、民事でも刑事でも責任が問われるため、事故防止のためなるべく一時停止して頂きたい。

これが全て。
警察がHPで【横断歩道を渡ろうとする自転車に対して38条は適用外で一時停止義務はありません】と書かない理由は、これです。
事故が起きれば安全運転義務違反(70条)、過失運転致死傷罪、民事責任が問われるのは車の方なので、事故防止のためには一時停止してもらいたいなということ。
どうしても38条の義務はないなんて書くと、勘違いするバカがいるんですよ。

読者様
読者様
オラオラ!
自転車は横断歩道を渡っちゃダメだから、俺様の通行を妨害するなよ!
自転車に対しては一時停止義務が無いから遠慮なく轢いてあげるぜ!

こういうバカが発生するのは目に見えているので、警察は問い合わせが無い限り回答しない。
38条の義務が無くても、自動車運転処罰法と民法の義務はあるので、結局のところ事故防止のために一時停止すべきというだけのこと。

この方の理論、支離滅裂過ぎてお話になりません。

これ以降も法律解釈が滅茶苦茶です。
一応直近で信用性が高いとされている判例を他にも挙げておきます。

しかし道路交通法は歩行者と軽車両である自転車を明確に区別しており、自転車を押して歩いている者は、歩行者とみなして歩行者と同様の保護を与えている。(同法2条3項)のに対し、自転車の運転者に対しては歩行者に準ずるような特別な扱いはしておらず、同法が自転車に乗って横断歩道を通行することを禁止しているとまでは解せないものの、横断歩道を自転車に乗って横断する場合と自転車を押して徒歩で横断する場合とでは道路交通法上の要保護性には明らかな差があるというべきである。
また、道路交通法38条1項は、自転車については、自転車横断帯(自転車の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号の2)を横断している場合に自転車を優先することを規定したものであって、横断歩道(歩行者の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号)を横断している場合にまで自転車に優先することを規定しているとまでは解されず

平成30年1月18日 福岡高裁

自動車が横断歩道に接近する場合、その運転者には、横断歩道によりその進路の前方を横断する歩行者があるときは、その通行を妨害してはならない義務が生じているが(道路交通法38条)、自転車横断帯ではない横断歩道を通行する自転車について、歩行者と全く同じ扱いをすることはできないと解される

平成30年2月16日 大阪高裁

同条項は、横断歩道における自転車自体を保護する規定ではない

東京高裁 平成22年5月25日

自転車に乗って横断歩道を横断する者には道路交通法38条1項後段は適用されないと解すべきであり、原告自転車に横断歩道を横断する者と同様の保護を与えることはできない

平成23年10月24日 東京地裁

正直どうでもいいのですが

冒頭のリンク先でも書いたように、横断歩道を渡ろうとしている自転車がいるにもかかわらず強引に突破すれば事故になるし、事故を防ぐという観点で考えるべき問題。
横断歩道を渡ろうとしている自転車に対して優先権が無い理由ですが、恐らくは時速30キロなどで見えない位置から横断歩道に進入する自転車まで注意しておけと言われると、無理があるからではないでしょうか?

もし横断歩道を渡ろうとする自転車にも38条の保護があるとした場合、こういうのも絶対的に保護しなくちゃならなくなる。(小道は生活道路として)

歩行者同等の速度(歩行4キロ、小走り10キロ)であれば、車は徐行していればギリギリ止まれる。
けど時速25キロとかで見えない位置から横断歩道に突っ込んできて、【さあ、僕を守りたまえ!】と言われても物理的に不可能。
相当減速して、一時停止までして自転車がいないことを確認してから進行しても、高速度で横断歩道に突っ込む自転車がいたときにはさすがにムリがある。
どれだけ車が注意義務を果たしても38条違反で犯罪になってしまうのは、刑罰として無理がある。

これ、何で書いているのかというと自転車乗りに向けています。
一応は自転車乗りのサイトなので。
自転車が優先だと思い込んでいると、事故ったときには過失割合で泣くことになりかねないので、法律上の関係性は知っておくべき。

ロードバイクで歩道を走る人はいないでしょうけど。

ていうかメールしてきた方、判例に疑問があるならまずは自分自身で調べたらいかがでしょうか?

調べることができるように、判決年月日や事件番号、裁判所名も書いているので。
裁判所のHPでも多少は検索できますが、あそこは最高裁判例以外はほぼ載っていませんのであまり役には立たない。

けど調べようと思えば調べることが出来るので、判決に疑問があるのであればまずは全文を読んでからどうぞ。
どうしても見つからないというのであれば話は聞きますが、そこまで検索するのが難しくもない判例ばかりなので。
ていうか、あなたは名無しさん(渡部さん)なんですかね?