フレームの耐久性について質問をいただきましたので回答いたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Aというフレームの購入を考えていますが、ネットのインプレを見ると柔らかいフレームと書いてあります。
柔らかいフレームはレースに使った場合、耐久性が心配なのですがどうでしょうか??
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
回答いたします。
根本的な勘違い
恐らくですが、この方が心配しているのは【柔らかい⇒しなる⇒折れやすい】みたいな図式なんじゃないかと思います。
簡単にいうと、この考え方は間違いです。
というのも、まずは剛性と強度の違いについて知らなければなりません。
以前にも書きましたが、剛性というのは【物体の変形しにくさ】を指す用語です。
一定の力を加えたときに、どれくらい変形するか(変形しにくいか)を指しています。
ロードバイクのフレームは、ペダリングするたびにペダリングのパワーによってフレームにしなりや捻じれがでます。
剛性が高いフレームというのは、このシナリが少ないフレームということですが、一般的に言うならば【硬いフレーム】となります。
剛性が低いフレームというのは、シナリが大きいフレームで一般的には【柔らかいフレーム】となります。
強度というのは、【物体の壊れにくさ】を指す用語です。
要はAとBの二つのフレームがあって、同じ力を加えたときにAのフレームは割れたがBのフレームは割れなかった。
なのでBのほうが強度が高いということですね。
この剛性と強度は、必ずしも一致するわけではありません。
というよりもほぼ関係ありません。
剛性が高いから強度も高いわけでもないですし、剛性が低いから強度も低いということではありません。
剛性と強度は全く別問題です。
恐らくですが、この質問者さんの考え方では【シナリが強いほうが割れやすい】みたいなイメージなんだと思いますが、そうとも限りません。
剛性の高いフレームの場合、シナリが少ないわけです。
割れるときはシナル前に割れるようなイメージだと思ったほうがいいです。
逆に剛性が低いフレームの場合、シナリは大きいけどなかなか割れるところまでいかないということも多々あります。
割ろうと思ってグイグイ力を加えても、シナルだけで割れるところまでいかない感じですかね。
なので剛性と強度が必ずしも一致するわけではありませんし、むしろ何ら関係ないといったほうが正しいかもしれません。
近年はすぐに割れるようなフレームはほぼあり得ない
そもそもカーボンというのは、アルミなどよりも高強度な素材です。
ただし、意図していない方向からの圧力には弱いという特性があります。
カーボンフレームでいうと、フレームのパイプがシナル方向には滅法強いです。
しかし想定していない方向への圧には弱いです。
例えばですが、シートポストとかカーボンコラムなどを締め付けるボルトがありますが、こういう場所はもちろん破損しにくいように補強されていたりするものですが、オーバートルクでガッツリ締め付けるとあっさりとカーボンが割れたりします。
こういう場所はメーカーのほうからトルク値を指定されていて、それ以上の強さで締めるなという注意がありますので、そういう場所にはトルクレンチを使うなど注意が必要です。
BIKE HAND(バイクハンド) YC-617-2Sコンパクトトルクレンチ ブラック
売り上げランキング: 1,305
トルクレンチについては、カーボンフレーム初心者なら持っておくことを推奨します。
アルミフレームでも、フルカーボンフォーク(カーボンコラム)の場合は持っているほうが無難です。
しかし近年のカーボンフレームで、落車一発でフレームが割れるようなものは、ほとんどないといっても過言ではありません。
ここで注意点ですが、低価格のカーボンフレームのほうが、強度としては高いです。
むしろ高額な高級フレームのほうが落車一発で割れる可能性としては高いです。
一般論として、低価格のカーボンフレームは、高級なフレームよりも柔らかい(=剛性が低い)ことがほとんどですが、剛性は低いけど強度は高いのです。
高級なフレームは剛性が高めのものが多いですが、モノによっては強度が低いこともあります。
これは軽量化を追い求めているため、薄く作られていることがあるためです。
強度が低いというと語弊があるのですが、普通に乗っている分で割れるということはまず考えられません。
落車したときに打ち付ける方向が悪いと、高級なフレームのほうが割れやすいことが多い気がします。(比較論)
とはいえ、そう簡単に割れるということはないのが現実です。
質問者さんが懸念している【柔らかいフレーム=耐久性が心配】ということですが、これについてはほぼ気にしなくていいでしょう。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント