先日チラっと書いた件ですが、
福岡県は上告を断念したそうな。
交通事故を巡る刑事裁判で無罪が確定した後も運転免許の取り消し処分が撤回されないとして、福岡市の会社員女性(45)が福岡県に処分の無効確認などを求めた訴訟で、「処分は無効」として県敗訴を言い渡した9月26日の福岡高裁判決について、県側が上告を断念する方針であることを女性の代理人に伝えた。判決が確定すれば、免許が取り消されてから約6年を経て、女性に免許が戻る。
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これ、そもそも疑問があります。
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そもそもなぜ起訴したのか?
この事件は直接的な映像証拠はなく、事故現場からちょっと手前の防犯カメラ映像や目撃者の証言、ブレーキ痕などから鑑定結果を踏まえて起訴した事案。
刑事一審での被告人側の主張は、具体的過失が特定されてないので公訴棄却を求めていたくらい。
過失運転致死傷罪はほとんどが不起訴。
過失運転致傷は但し書きにより傷害の程度が軽い事案については、起訴しても「有罪だけど刑を免除」という判決にしかならないので(執行猶予とは違います)、傷害の程度が軽い事案は起訴しません。
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
また、有罪にできる証拠が乏しい場合にも起訴しません。
検察側が主張していた事故態様はこう。
これ、原付が停止もしくはほぼ停止状態な上、やや右向きに車体が向いていたことになっています。
そして被告人側の主張はこう。
第一通行帯左端で停止していた原付が、突如第二通行帯に向けて発進した扱い。
なお目撃者は原付が第一通行帯左端で停止していたことを目撃してますが、事故自体は背を向けていたので見ていない。
刑事一審では検察側の主張がことごとく採用されてないのですが、なんでこれを起訴したのかだいぶ疑問です。
そして刑事事件の事実認定を不合理として受け入れず、免許取消を維持した公安委員会…
いつもの「刑事事件と行政処分は別」という理屈ですが…結局行政訴訟でも刑事事件と同じ事故態様が認定されたわけでして。
そもそもなぜ起訴したのか?が不思議。
検察側の主張としては、目撃者の証言を「信用できない」として全く重視していなかったようですが、思い描いた事故態様に反する証拠は切り捨てようとしているようで、いかがなものかと。
ただし、仮に不起訴だったとしたら、またややこしい気がする。
そもそも
有罪率99%以上の日本では検察も確実に有罪にできるものを選んで起訴している…と思われますが、このように事故態様からして検察の主張が否定されてしまう程度に証拠不十分。
なぜ起訴したのか疑問が残ります。
けど無罪になった判例を見ると、検察側の主張に無理があるとか、そもそも辻褄が合わないとかおかしなものもあって、
○被害者が当たり屋だとして無罪にした判例
○検察の主張する鑑定結果だと、被告人車が縁石に衝突していると指摘された判例
赤信号の自転車横断帯にも38条1項の義務がある!と主張していた判例もありましたが、警察や検察の捜査なんて意外といい加減なのかもしれません。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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