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車道を通行する自転車からみて、自転車横断帯の位置がおかしくなる理由と二段階右折ライン。

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先日の内容に引き続き。

 

二段階右折ラインの正解と最適解。
以前書いた記事について、 ①はおかしいでしょ?とツッコミを頂きました。 どっちも正解 要は交差点の範囲について、どう決めるかの問題。 五 交差点 十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道...

 

交差点の範囲

いきなりですが、下記交差点の範囲はどこでしょうか?

五 交差点 十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう。

条文からイメージするのはこうですよね。

実はこれ、必ずしもこれが正解ではありません。
例えばある解説書によるとこうなります。

ファッ!?

 

というのも、交差点の範囲が重要になる要素の一つに、「軽車両の二段階右折を考慮して決める」というのがありまして。
軽車両が二段階右折する際は、交差点の側端に沿って徐行。

(左折又は右折)
第三十四条
3 軽車両は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、交差点の側端に沿つて徐行しなければならない。

二段階右折を強いる理由は、速度が遅い軽車両は歩行者の横断に準じた動きをさせることで安全と円滑を図ることにある。
そうなった場合、発想としてはこうなるらしい。

 

「道路の横断距離をなるべく短く取る」

 

赤と青、どっちが短いかは言うまでもない。

 

たださ、車道を通行する自転車からすれば赤矢印方向に進んだほうが「左折巻き込み」を喰らわないと考える。
しかし机上でルールを考える人からすれば、「自転車の横断距離をなるべく短く取るほうか安全」と考える。

 

いやはや、恐ろしいな。
机上の空論とでもいいましょうか。

 

「自転車の横断距離をなるべく短く取るほうか安全」という固定概念を捨て去らないと。
けど現実問題として、横断歩道と自転車横断帯を引くとしたらこのラインに沿って作ることになる。

 

自転車を歩道に上げた昭和45年時点で深いことを考えずにそのままにした天罰としか思えないけど、「自転車の二段階右折のため」と称してこれが交差点の範囲だとするからおかしくなる。
ちなみに私が見ている解説書は判例タイムズ284号(昭和48年)。
東京地裁判事の竹重氏によると、軽車両の二段階右折を考慮するとこれが交差点の範囲だとしています。

 

ただし異論もあるようで、どちらが主幹道路なのかで変える説(横井註釈)、純粋に交わる部分のみで考える説(法曹研)など様々あるわけで、結局のところ正解はありません。

 

そしてもちろん、二段階右折するためにこのラインに沿って徐行する自転車もいません。
こんなプレイをしたら左折巻き込み喰らう未来しかない。

 

なので、これでよいです。

最高裁の考え方

最高裁判例を見る限りでは、交差点に隅切りがある場合に始端結合説を取っています。
隅切りの始端を結んでいる範囲を交差点としているため、必ずしも道路に直角ではない。

なお、道路交通法2条5号にいう道路の交わる部分とは、本件のように、車道と車道とが交わる十字路の四つかどに、いわゆるすみ切りがある場合には、各車道の両側のすみ切り部分の始端を結ぶ線によつて囲まれた部分――別紙図面斜線部分――をいうものと解するのが相当である。

最高裁判所第三小法廷  昭和43年12月24日

本件の事実関係は、右認定のとおりである。そして右のように車道と車道が交わる十字路において、四つ角の宅地または歩道の角を切り取つて歩道または車道としたことにより車道の幅員を拡大してある場合には、その拡大してある車道部分は道路交通法にいわゆる交差点に包含され、したがつて本件においては、右の(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)(ト)(チ)(イ)各点を順次直線で結んだ線内の車道部分全部が、双方の車道の交わる部分であつて、右の交差点にあたる、と解すべきである。故に右の(イ)点は、交差点の側端にあたる。被告人は、交差点の側端から5メートル以内の場所に自動車を駐車したことが明かである。

名古屋高裁 昭和37年11月26日

ただし始端結合説の場合、T字路では交差点の範囲が決まらなくなる。
T字路やY字路の交差点の範囲って、見たところこんな判例があるくらい。

本件においては、駅前通の車道と乙通の車道とが丁字形をなして交わる部分すなわち別紙図面AFBCDEA各点を順次直線で連結した範囲内の車道部分が交差点である。その部分の全部が交差点であることは、疑がない。

名古屋高裁 昭和38年12月23日

T字路では、側線延長説を取っています。

ただし、現在の有力説だとこっち。

個人的には「どちらでも間違いとは言えない」というスタンスなので、深いことは考えずに自ら安全そうなラインを引けばいいと思う。

 

Y字路については、こんな判例があります。

本件交差点の範囲についてみると、司法巡査作成の実況見分調書、原裁判所の検証調書および当審における検証調書ならびに証人林国彦に対する尋問調書によれば、本件事故現場付近の道路状況は、別紙図面のとおりであつて、北から南に通ずる幅員約8.2メートルのアスフアルト舗装された国道四二号線(以下新国道という。)が和歌山県有田郡広川町大字井関六七七番地先において、徐々に南々西に彎曲し始める東外側に、新国道と一直線をなして南方に向つて分岐する幅員約6.2メートルのアスフアルト舗装された県道(旧国道四二号線の一部、以下旧国道という。)が接続して、鋭角をなしてY字型に交わる三差路で、旧国道の東側線は彎曲し始める新国道の東側線にイ点において接し本来の幅員による双方の道路は、Y字型のまたの基点リ点において分岐し、双方の道路によつて挾まれたまたの部分は、リ点から約30メートル前後のヘホを結ぶ線まですみを切り取られ、さらにヘホの線と新国道の東側線および旧国道の西側線と交わるすみもトへを線ぶ線およびハホを結ぶ線によつてそれぞれ切り取られ、リトヘホハリの各点を順次結んだ線内は、アスフアルト舗装され、新旧国道の共通の道路となつていて、リト間の距離は40.5メートル、ヘホ間の距離は10.5メートルあるという特殊なY字型三差路となつており、新国道は北方からこの分岐点に向つて、また、旧国道は南方からこの分岐点に向つて、いずれも、ゆるやかな勾配をなし、分岐点付近はその頂上となつていることが認められる。ところで、右に認定のような、幅員の広い幹線道路がこれと分岐する支線道路と鋭角をなして交差しているY字路において、その双方の道路の本来の幅員による内側の線の接点から各道路の他の側線に下ろした垂線と分岐する支線道路の外側線が幹線道路の彎曲した側線に接する点から幹線道路の他の側線に下ろした垂線とによつて囲まれる部分が道路交通法にいわゆる交差点の範囲に属することは勿論、さらにY字のまたの部分のすみを切り取つて道路としたことにより道路の幅員が拡張してある場合には、その拡大してある部分とこれを挾む両側の道路とは右同法にいわゆる交差点に包含されるものと解する。

 

 

大阪高裁 昭和44年8月7日

自転車が二段階右折するライン、これじゃよくわからないし横断歩道か自転車横断帯がない限りは無理に近い。

 

結局のところ、十字路以外だと二段階右折のラインはよくわからないままなんですが、そもそも正解が一つではないとも言えるのであんまり気にしなくていいと思う。
自転車が、これの新宮方面から御坊市方面に右折する際、理屈の上ではロ→イに横断することになりますが、

対向車と後続車次第ではいつ横断したらいいのかさっぱりわからないし、交通量と道路幅次第では非現実的。
結局こういう場合、横断歩道に頼らないと不可能に近い。

 

自転車の右折方法って、変形交差点なんて考えてないからこんなことになるわけだし。

 

なので、こういう交差点の場合でも、

右折と捉えれば右折だし、直進と捉えれば直進だし。
どちらも間違いではないから安全そうなほうをどうぞ。

歩道通行自転車で車道信号しかない場合

ちょっと気になって調べたのですが、道路交通法以前の道路交通取締法時代から歩道の延長上まで「交差点」に含まれるように隅切りを含むようにしていたようです。
なのでこれ。

横断歩道も歩行者用信号機もなくても、歩道を進行すれば自動的に交差点内を通過するようになっているらしい。

(信号の意味等)
第二条 法第四条第四項に規定する信号機の表示する信号の種類及び意味は、次の表に掲げるとおりとし、同表の下欄に掲げる信号の意味は、それぞれ同表の上欄に掲げる信号を表示する信号機に対面する交通について表示されるものとする。
信号の種類 信号の意味
赤色の灯火 二 車両等は、停止位置を越えて進行してはならないこと。

備考 この表において「停止位置」とは、次に掲げる位置(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前)をいう。
一 交差点(交差点の直近に横断歩道等がある場合においては、その横断歩道等の外側までの道路の部分を含む。以下この表において同じ。)の手前の場所にあつては、交差点の直前

歩行者用信号がなくても、歩道通行歩行者も自転車も車道の信号に従うように出来ているわけね。
昭和の時代からずっと同じみたいだけど、もうちょい分かりやすくできないのかな。
「歩行者自転車専用信号」についても、「歩道用信号」と規定したほうが良かったのでは?

 

ちなみに道路交通法成立以前の道路交通取締法施行令では、交差点の範囲の規定が今とは違います。

「交さ点」とは、左に掲げる車道又は道路の部分である。
イ 相互に直角又は直角に近い角度で交わる二の道路においては、その側方の境界線(歩道と車道との区別のある道路においては、歩道と車道との区間線)の延長及びそれらの線の始端を結ぶ線又は始端を通ってその道路を直角に切る線によって囲まれた車道又は道路の部分(これに直近に停止線がある場合においては、その内側、直近の横断歩道がある場合においては、その横断歩道の内側を含む。以下ロにおいて同じ。)
ロ 直角又は直角に近い角度以外の角度で交わる二以上の道路においては、それぞれの道路から通行してくる車馬又は軌道車が衝突する虞がある道路の部分

「ロ」についてはイマイチ何の話なのかわからないけど。

 

とりあえず言いたいこと。

「自転車は右折する際、交差点の側端に沿って徐行」と規定しているにも関わらず、交差点の範囲は諸説ある。
交差点の側端が諸説あるのに、自転車に「交差点の側端に沿って」というほうがおかしい。

側端が諸説ある、つまり複数の側端があるのに、側端に沿えるわけないよ。
「勅使河原さんの指示に従って」と言われたけど、勅使河原さんが3人いたらどの勅使河原さんに従うのかわからんじゃん。
そしたら、パッと見て一番信用出来そうな勅使河原さんを選ぶしかない。

 

なので、自分が見て安全そうなほうをどうぞ。
ちなみに昭和の解説書には「交差点の範囲を路面に表示すべき」と書いてあるものすらありますが、いろいろテキトーに濁してきたツケなんです。





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