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破線のセンターラインは優先道路?

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読者様から質問を頂きました。

読者様
読者様
1、優先道路の中央線は破線でも優先道路になりますか?
2、破線が一部消えていても優先道路になりますか?

先に正解から。

①優先道路の中央線は、破線でも成り立ちます
②破線が一部消えていても、交差道路側から中央線を容易に視認できる限りは優先道路になります。

破線でも優先道路?

このような状態をイメージしますが、優先道路の定義は36条2項。

優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう

中央線は破線も実線もありますが、36条2項では破線か実線かの区別をしていませんから、破線でもセンターラインであれば優先道路になります。

 

問題は、破線が一部消えている場合。
区画線や道路標示が消えかけているのってよくありますね。

 

以下の判例があります。

所論は、東西道路の中央線には欠陥があり有効な道路標示とはいえないから東西道路は優先道路ではない旨主張する。

 

道路交通法は、交差点において道路標識等による中央線が設けられている道路は優先道路として扱つている(道路交通法36条2項参照)。ところで、道路法45条によれば、道路管理者は、道路の構造を保全し、または交通の安全と円滑を図るため、必要な場所に区画線を設けなければならないと規定し、その種類、様式、設置場所等必要な事項は昭和35年総理府・建設省令第3号道路標示、区画線及び道路標示に関する命令に委ねているが、道路管理者により設置された右の区画線は、道路交通法の規定の適用については、道路標示とみなされている。そして、前記の命令5条、6条(別表第3、第4)によると、区画線の一つとして車道の幅員が5.5m以上の区間内の中央を示す必要がある車道の中央に車道中央線を設置することを認め、その様式は、二車線の車道を設置するときには原則として破線を用い、幅0.12mないし0.15m、長さ3mないし10mの範囲内で定めた一定の線をこれと同一の長さの間隔を保つて白ペイントで連続して標示することを要請し、この車道中央線として表示されたものは道路交通法上中央線を表示する道路標示とみなしている(前記命令7条)。

 

本件においてこれをみるに、(証拠略)によれば、東西道路は日野市の管理する市道で、その中央の区画線は日野市において設置したものであること、右区画線の現状は5mの間隔で長さ5mの破線(白線)が続いて本件交差点に至つているが、同交差点の東側から入口をこえて標示されている破線の一部が、当該箇所に道路工事があつたため消されたままとなつていて3.55mの長さしかなく、この破線とその西隣りに接する破線との間隔は6.39mであることが認められる。したがつて、本件交差点内の右破線の長さは5mより短かいのであるから、瑕疵があるといわざるをえない。

 

しかし、(証拠略)をあわせ考察すると、本件交差点の東側入口および西側入口にある各破線はそれぞれ入口から1.8mずつ交差点の中にまで及んでおり、かつ、南北道路の停止線上に一時停止した車両等から右破線の存在を明確かつ容易に視認することが認められるのであるから、右の程度の瑕疵をもつて中央線としての道路標示を無効ならしめる程重大なものとは解されない。それゆえ、東西道路を優先道路と認定した原判決に誤りはない。

 

そして、道路交通法は、優先道路を通行している車両等が左右の見とおしのきかない交差点に入ろうとする場合に徐行義務を免除し(42条1号)、また、非優先道路を通行している車両等が優先道路と交わる交通整理の行なわれていない交差点に至つた場合には、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない旨規定しているのであり(36条2項)、本件のように交差道路が優先道路でありその幅員も比較的広い交差点にさしかかつた自動車運転者としては、一時停止の標識に従い所定の位置に車両を停止させるべきことはいうまでもないが、ついで自車を発進させるにあたつては、進路前方左右の安全を確認し、自車の進行が交差道路上の交通に危険を及ぼすことのないよう十分配慮をして、事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務を負う。ことに、被告人の通行してきた南北道路は左右の見とおしが悪く、一時停止線上からの左方の見とおしもブロツク塀にさえぎられて困難な状態にあつたのであるから、一時停止後の発進進行にあたつては格段に慎重な安全確認義務が求められる。しかるに、被告人は、一時停止はしたものの、当時交通が閑散であつたことに気を許し左方道路の安全を確認しないで時速約5キロメートルで本件交差点に進入したために、左方道路からの被害者運転の原動機付自転車に衝突したのであるから、被告人に過失のあることが明らかである。

 

東京高裁 昭和56年2月9日

要は中央線が多少消えていても、容易に視認可能な以上は優先道路として効力があるわけです。

 

ちょっと前にも書いたけど、うちの近所なんて、ハミ禁センターラインのほとんどが消失。
しかし、交差道路との関係から問題があるため、

「交差点部分だけ、センターラインを描きやがってさ…」

 

オマイラどんだけ予算足りてないの?とドン引きするレベル。
お陰様で、センターラインが消えた部分についてはハミ禁の効力がありませんw

 

まああんだけ交通量があれば、事実上はみ出し追い越しする車はいないから実害はない。

優先道路の進行妨害

ちょっと前にも自転車が優先道路の進行妨害したものがありましたが、

 

自転車による優先道路の進行妨害。
まあ、自転車が優先道路の進行妨害をした案件かと。自転車による優先道路の進行妨害(交差点における他の車両等との関係等)第三十六条2 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路...

 

優先道路については、優先車両は特別な事情がない限りは非優先側が譲歩するものと信頼して進行してかまわないわけで。
「特別な事情」を認めた事例だと、バス運転者が付近の状況を知っていて子供が飛び出てくることを知っていたみたいな話ですかね。

 

6歳が乗る自転車でも過失割合50%。
以前チラっと書いた件ですが、この中の判例について。6歳が乗る自転車でも過失割合50%判例は東京高裁 平成26年12月24日。事故概略です(イメージ図。正確性は保証しません。)加害車両はバス、被害車両は満6歳が運転する自転車。対向車線はバスや...

 

民事の過失割合って、クルマに関しては被害者保護の観点から「無過失を立証しない限りは賠償責任を負う」(自賠法3条)なので、過失があると認められなくても無過失が立証されなければ1~3割くらいは過失がつきます。
悪いとは言えなくても、悪くない立証がなければ賠償責任を負うシステム。

 

けど最近は、優先側の無過失を認めた判例もありますし、非優先道路からカジュアルにアタックをキメる自転車に問題があるとしか言えませんね。

 

どうでもいい話なんですが、過失って注意義務違反全般を指すので、道路交通法違反がなくても過失になります。


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