自転車に乗るときのヘルメットについては、今年の春に道路交通法改正で「努力義務」に決定していましたが、
記事を出したのは3月末。
今になって報道が活発化してから騒ぎ出す時点で、普段から大して興味も無い人が多いんだろうなと思いますが。
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自転車ヘルメットの努力義務化
第六十三条の十一
自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
2 自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
3 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
そもそも「努力義務」だし、各地の自治体条例で既に努力義務を謳うところも普通にあったわけで、何かが変わるのかと聞かれたら何も変わりません。
自治体条例より法律が格上だとかいう人もいるだろうけど、罰則のない努力義務にはそもそも拘束力すらないのだから格上も格下もない。
結局のところ、「努力義務」なのでヘルメットの必要性については各自が考えるべき問題でしかなくて、不要だと思うなら被らない選択をすればいいし、必要だと思うなら被ればよい。
ちなみに私は「ママチャリでは被らない、ロードバイクでは被る、違う頭は常に被っている」派です。
努力義務なんだから自由なんですよ。
ロードバイクではヘルメットを被ることがもはや常識化してますが、そもそもはプロレースですらヘルメット着用義務が出来てからまだ20年くらい。
「努力義務」とする意味なんですが、各自に「必要性」を考えるきっかけ作りの施策なんだと思う。
必要性について全く考えない人もいますし。
自分で選んだ選択については、自分自身が責任を負うのも当たり前。
けど、ちょっと考えてみましょう。
会社の同僚が「ロードバイク始めたから一緒に走ろう」と誘ってきて、ノーヘルだったらものすごく違和感がある。
なんか違和感を感じる。
ロードバイクとママチャリの危険度の違いなんだと説明はつきますが、「自転車」というカテゴリーで見れば一方はノーヘルで違和感、一方はヘルメット着用で違和感。
なんでしょうね、この矛盾は。
私なりに思うのは、ヘルメットができる「役目」ってせいぜい転倒したときの保護であり、怪我の程度を軽減させる程度の働きしかないと考えています。
残念ながら、ロードバイクに乗っているときに操作ミスや判断ミスをしないとは言い切れないので被りますが、トラックに轢かれてもヘルメットがあれば安心だとは全く思えないので。
必要性を感じる人が被ればいいわけですが、結局のところ、その必要性を考えることすらしてない人に対するきっかけ作りみたいなもんなんじゃないでしょうか。
大々的に報道されたことにより、考えるきっかけにはなるでしょ。
また、1ヶ月後には話題にもならないだろうけど、人の噂も75日。
今となっては誰も「スペシャライズドの契約店大量破棄問題」なんて語らないのと同じです。
おっと、話が逸れました。
ついでに言うなら道路交通法上では「自転車の乗車用ヘルメットとは何か?」という定義はありません。
なので、逆に言えば自由度も高いんです。
下記は全てヘルメット。
自転車ヘルメットと過失
既に自転車ヘルメットの未着用について民事で過失認定した判例は出てます。
確定判決なのかは知らないので濁しますが、東京地裁 令和4年8月の判例で、東京都の条例を根拠に過失としてます。
民事ってそもそも、事故当事者間での話なので、結局は「自分で責任を負う」ことになる。
なお判例事故の内容は、自転車横断帯を青信号通過時に巻き込みです。
昔から「損害拡大防止義務」という言葉がありますが、ヘルメットを被っていれば被害を抑えることができたと判断されれば過失になりうる。
まあ、相手方が主張するかどうか(弁論主義)の問題もありますけどね。
特定小型原付(電動キックボード)のほうにヘルメット義務化すべきという話はしばしば出てきますが、あれも努力義務になっています。
努力義務にすることで、自転車用ヘルメットでも問題ないことになるわけなので、一概に悪とは思わない。
今のところ重大事故は一件のみだと思われますが、なぜか車止めのせいにするメディアがいたり正直なところ理解に苦しみます。
飲酒運転が責められるべきとしか思えないけどな。
特定小型原付については、正直なところ「アルコールチェッカー」を標準装備に入れてほしかった。
電動だからこそできるはずだし、アルコールチェッカーで合格しないと起動しないシステムにしたら他のモビリティよりはるかにクリーンな乗り物になるのだし。
ヘルメットの努力義務ってこんなに大騒ぎする話なのか不思議でしょうがないけど、春に決まったことを今さら騒ぐことについて、いかに身近に関する法律や施策について関心が薄いかのほうが問題なのかもしれません。
電動キックボードの実証実験のときも、実証実験が始まってから反対しだしてもワンテンポ遅いなと感じましたが。
今さら「世界のヘルメット事情ガー!」とか主張する人を見ていると滑稽に感じるし、「自転車が不便になりみんな車に乗る」みたいなぶっ飛びすぎた話をする人とかもいて…
大騒ぎすることは「考えるきっかけ」なんだと思えば一定の意味はあるのかもしれない。
一過性で騒ぐだけだから議論が深まらないという見方もできるような。
なお、何度も書いてますが、2項は見知らぬ他人にヘルメットを被らせる努力をする規定ではなくて、「同乗者」についての規定。
おかしなヘルメットテロリストが生まれないといいのですが…
第六十三条の十一
2 自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
「当該」自転車なので、見知らぬ他人にかぶらせるように努める義務はありません。
偏屈ジジイとかが、勘違いして「見知らぬ他人」にヘルメットを被るよう説教したりしないといいけど。
法律って読み方を間違うと、悲劇が起きますから。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
ママチャリでも余裕で死ねる速度域なので、ロードバイクでメットを被る人はママチャリでも被らない理由がない気がします。あと歩道の方がポールがあったり街路樹があったり、ヘルメットの必要性が高いという考え方もありますね。
コメントありがとうございます。
難しいなと思うのは、歩道は徐行というルールを徹底しているならポールや街路樹くらいは余裕で避けれるという見方も成り立つことでしょうか。
何もなければ余裕で避けられるかもしれませんが、人が飛び出してきたり路面のブロックが浮き上がっていてタイヤを取られたり、想像の斜め上が同時に起こると避けるのが一気に困難になります。そういうイレギュラーが起こりやすいのは歩道なのかなと。
まあそれも確かにですね。
ちょっと前に夜間、歩道を歩いていたときに、ポールにつまづいて転倒しました笑