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昭和に存在した「自転車レーン」が消滅した理由とは?

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こちらの続きです。

 

昭和の時代、自転車通行帯と利用率。
だいぶ古い調査になりますが、「車道左側端の自転車通行帯(自転車レーン)調査報告書」(日本自転車普及協会、1982年6月)という本がありまして。 「自転車通行帯」と書いてますが、実際には ・普通自転車専用通行帯 ・車道外側線の外側~歩道の縁石...

 

「車道左側端の自転車通行帯(自転車レーン)調査報告書」(日本自転車普及協会、1982年6月)では、「自転車レーン」を通行する自転車の台数を調査しています。

 

※「自転車レーン」には普通自転車専用通行帯、単なる路面表示と白線分離、自転車道、歩道の普通自転車専用通行帯などを含みます。

 

昭和57年当時に存在した「自転車レーン」の現在の姿とは?
同書籍で調査した「自転車レーン」について、現在の姿をGoogleマップで確認します。

 

数字などは「車道左側端の自転車通行帯(自転車レーン)調査報告書」(日本自転車普及協会、1982年6月)より引用します。
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昭和57年当時に存在した「自転車レーン」の現在の姿

○事例1 岐阜県岐阜市

自転車レーンの長さ 自転車レーンの幅員 構造
1800m 1.6~1.1m 白線分離、「自転車専用」の路面表示

現在の様子

当時の画像を見ると、車道が片側一車線、その両端に「自転車専用」の路面表示がある自転車レーン(車道)、歩道が確認されるが、今は全く面影もない。

 

○事例2 岐阜市大垣市

自転車レーンの長さ 自転車レーンの幅員 構造
1500m 2.0m 白線分離、「普通自転車専用通行帯」の標識

現在の様子

大垣駅~大垣東高校に向かう県道に存在したと思われるが、自転車レーンは現存せず。
なお、当時の標識には以下のように書いてあります。

歩道 自転車専用通行帯 停車位置(?) 車道 車道

「車道左側端の自転車通行帯(自転車レーン)調査報告書」(日本自転車普及協会、1982年6月)

※「停車位置」についてはイマイチ読み取れないものの、自転車専用通行帯と車道の間に何らかの停車帯がある。

 

○事例3 京都府京都市

自転車レーンの長さ 自転車レーンの幅員 構造
930m 1.3m 白線分離

※画像では一方通行(自転車を除く)で道路の両サイドに自転車レーンあり。

微妙な名残あり、ですかね。

 

○事例4 和歌山県和歌山市

自転車レーンの長さ 自転車レーンの幅員 構造
450m 2m 白線分離、標識あり、連続性なし

現在の様子

※当時も交差点付近のみ自転車通行帯があった模様ですが、今は面影なし。

 

○事例5 和歌山県和歌山市

自転車レーンの長さ 自転車レーンの幅員 構造
1545m 2m 白線分離

※当時の資料では片方向のみ標識あり、双方向ともに「自転車専用」の路面表示と白線

 

現在の様子

当時の画像と比較しても車道外側線と歩道の縁石間が狭くなっている印象な上、現在は標識も路面表示も見当たらない。

 

○事例6 島根県出雲市

自転車レーンの長さ 自転車レーンの幅員 構造
1100m 1.4m 白線分離、「自転車」との路面表示あり

現在の様子


ビミョーに名残はあるものの、路面表示はない。
また、場所によっては面影すらない。

○事例7 島根県松江市

自転車レーンの長さ 自転車レーンの幅員 構造
340m 1.5m 「自転車」との路面表示あり

現在の様子

 

新大橋通り
https://maps.app.goo.gl/vUfkkFTVf2gmUwWk8

 

※昭和57年当時は車道が片側1車線、両サイドに1.5mの自転車レーンがあったが、現在は片側二車線の車道のみ。
なお、昭和57年当時の調査では、同道路を通行した自転車の総数は3758台(7時~19時)。
参考までにクルマの通行台数は14424台。

 

○事例8 高知県高知市

自転車レーンの長さ 自転車レーンの幅員 構造
200m 2.5m 植樹帯で分離し「自転車」の路面表示

現在の様子

 

高知市, 高知県
https://maps.app.goo.gl/CjBvSwQxcyG64kMj8

 

※昭和57年当時は路面表示で「自転車」と書いてあるものの自転車道などの標識はなく、現在と同じ側道のようなものだったと思われる。
自転車の通行台数は3108台(7時~19時)。
なお当時の資料にも「自動車の駐停車が多い」とあり、当時から自転車専用ではなかったのではないかと思われるが(当時も標識無し)、現在は「自転車」との路面表示がなく、歩道には自歩道の標識がある。

いくつか見た限りでは

理由についてはわかりませんが、当時存在した「自転車レーン」が既に消滅している場所が多いように見えます。
ちなみに、書籍で紹介されている自転車レーンはもっとありますが、今回はその一部のみ。

 

当時の画像を見ると、自転車専用通行帯と車道の間にチャッターバーみたいなのを設置しているものも見られますが、なぜか自転車専用通行帯は消滅。

 

なぜなんでしょうね。
ちなみに通行台数をみても、自転車レーンの使用率は高めなんですが。

 

個別に見た印象ですが、例えば大垣市。
明らかに大垣駅から大垣東高校に向けた自転車専用通行帯があったものと理解できますが、7時~19時までの自転車通行台数が12921台とかなり多い。
時間別でみても7時台の通行台数がかなり多いのですが、若干気になるのは「自転車専用通行帯」と歩道の通行台数の差。

自転車レーン 歩道 その他
3686台 8961台 274台

圧倒的に自転車レーンよりも歩道通行自転車が多く見られ、自転車レーンが使いにくいものだったのかもしれません。
画像で見る限りはそこまで使いにくい自転車レーンには見えないですが。

 

なお、この「自転車専用通行帯」がある道路については、12時間のクルマの通行台数が9464台となっているので、クルマよりも自転車の通行台数が多かったとなります。

 

当時の地図でみても高校のほか、官公庁もあるので通勤通学目的の自転車が多いことが伺えますが、幅員2.0mの自転車専用通行帯が嫌われた(?)理由はわかりません。
調査当時の資料では「障害物なし」になっているので、路上駐停車車両が多いわけでもないとは思いますが、「自転車専用通行帯」なので片方向通行が嫌われたのか、それ以外の要素なのかはわからない。

 

しかし、現在では自転車専用通行帯自体がありません。

 

どのような経緯で「自転車専用通行帯」が削除されたのかは公安委員会に資料が残っているのかはわかりませんし、現在のGoogleマップでみても自転車用に迂回路を用意したような形跡もない。
本当に今もこれだけの自転車がこの道路を通行しているのか疑問もありますが、ここまで調べた範囲では同書籍でいう「自転車レーン」についてはほぼ現存していないようです。

 

結局、自転車レーンが消滅した理由についてはよくわかりませんが、大垣市なんて元々自転車専用通行帯があっても歩道利用者が多かったりしたわけで、おそらく理由は一つではないと思う。
自転車道として構造分離するだけの幅員があったものと思われますが、なぜ今の形態に至ったのか、ちょっと探ってみます。

同書籍に掲載された「自転車レーン」の一部のみを抜粋しました。


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