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普通車の左折前「左側端寄せ」。

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さて、ここらへんで紹介している判例については、ほとんどが大型車の左折事故です。

 

左折前に「できる限り左側端」に寄せる理由。
たまたま見つけたツイート。 これね、間違いなんですよ。 間違いというよりも中途半端が正解か。 後続自転車をブロックする目的で左側端に寄せる意味で間違いないのですが、要は「ブロックの仕方の問題」。 先に正解から。 ①合図のみならず、行動で左折...

 

ドライバーにも自転車乗りにも理解してもらいたい自転車のルール。僕たちは左折レーンから直進します。
自転車のルールって、正直なところあまり理解されていません。 自転車乗りが理解していないことも多いので余計混乱を招いている原因だと思いますが・・・ 自転車は第一通行帯以外は走れない 何度も引用して申し訳ないが、これ。 自転車は交差点を直進する...

 

普通乗用車の左折前「左側端寄せ」についての判例を。

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左折巻き込み事故

判例は福岡高裁宮崎支部 昭和47年12月12日。
まず事故概要。

先行するクルマは交差点の40m手前で「ルームミラー」で後方確認し、後続車がないことから側溝まで約1.9mのところに寄せて時速15キロに減速。

そんな状況の中、オートバイが時速30キロで先行車に追い付き、4、5mの距離を保ち様子見。

交差点直前で先行車の左折合図に「気がついて」、急制動したものの間に合わず衝突した事故です。

道路交通法34条1項が交差点における左折車に所謂左寄せ義務を課した所以は、原判決の説示するとおりで、その車両が左折しようとするものであることを同法53条で命ぜられた左折の合図をするだけでなく、その車両の準備的な行動自体により他の車両等に一層よく認識させようとするためであることは明らかなところ、前示被告人の車の長さ、本件交差点の角切りなど考慮に容れれば、技術的にA路進行中にその左側端に車を寄せることを困難ならしめる事情は証拠上全く認められないのである。そうすれば原審公判廷において通常A路の左側端まで1mの間隔をとっておけばゆうに本件交差点を左折しうると自認している被告人が、本件交差点に進入するまで約40mの距離を、何らの支障もなく、もっと左に寄せうるのにA路の左側溝まで自車の車幅を越える約1.9mもの間隔を保持したまま直進した以上、その間に他の車両が自車とA路左側端の中間に入りこむおそれのあることは交通常識上当然に予想すべきであり、そのため自車左側ならびに左後方に対する安全確認をつくした後でなければ、本件交差点において、容易に左に転把すべきでなかったといわざるをえない。
ところで、被告人が二回にわたり車内バックミラーにより後方確認したことは前記のとおりであるが、該ミラーの映写範囲は後部の窓をとおすもので、窓両側の車体部分により死角を生ずるものであることは、敢て実験実測を経るものではなく、被告人自身原審公判廷においてこれを肯認自覚しているのであるから、自車左側ならびに左後方に対する確認は、道路運送車両の保安基準44条が示すように、運転者席において左の外側線上後方50mの間にある障害物を確認できるために設置を義務づけられている車外サイドミラーによらなければ充分でないのに、被告人がこれを利用した事跡は全くない。もとより被害者も後続車の運転者として一般的に前車の動静に注意を払い、これが左折合図をして減速したときは、これとの接触を避けるべく適宜徐行等の措置に出づべき義務があることはいうまでもないが、前記の如く約40mの長さにわたって道路左側溝まで約1.9mの間隔を保持し、左に寄るなど左折の準備態勢を示さずに直進し続ける被告人の車を見て、そのまま本件交差点を直進通過するものと思いこんだのは無理からぬとことであるから、被害者に対し、被告人の左折合図に早く気づかなかった落度は責めうるにせよ、道路交通法34条5項に違反する無謀運転であると決めつけるのは失当であり、ましてやかかる落度を根拠にして、自ら可能なる左寄せ義務をつくさず、未だ適切な左折準備態勢に入っていなかったことを論外におき、いわゆる信頼の原則に逃避して過失責任から免脱することの許されないことは、原判決の正当に説示するとおりである。論旨指摘の最高裁判所の判決は技術的に左寄せ進行が困難な状況のもとにおいて、できる限り道路の左側によって徐行している先行車と無謀運転とされてもやむを得ない後続車の運転者との衝突事故に関するもので、本件とは事案を異ににしている

 

福岡高裁宮崎支部 昭和47年12月12日

※34条5項は現行6項。

(左折又は右折)
第三十四条
6 左折又は右折しようとする車両が、前各項の規定により、それぞれ道路の左側端、中央又は右側端に寄ろうとして手又は方向指示器による合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした車両の進路の変更を妨げてはならない。

この合図車妨害ですが、あくまでも適法に左折しようとする車両を妨害するなという規定。
なので「できる限り左側端に寄って」左折しようとする先行車を妨害するなという意味です。

本件交差点の形状に照らし被告人が道路の左側に寄つてから左折を開始することは不可能な状況にあつたこと、本件交差点までの道路が下り勾配をなしていることからすれば、自動車運転者としては平坦地において直角に交差する交差点を左折する場合に比し、より一層の左側後方確認義務を要求されることは当然であるとはいえ、左側後方からの進行車両を発見したときは如何なる場合にも、同車に対し多少なりとも減速徐行を強いることがあつてはならないとするわけにはいかない。なぜならば、道路交通法34条5項(※現行6項)は左折車が適式な左折合図をしている場合には、後行車は先行車の左折を妨げてはならない旨規定しているのであつて(検察官は、左折車が道路左側に寄らないで左折しようとする場合には道路交通法34条5項(※現行6項)の規定の適用がないと主張するが、同条1項が交差点の状況に照らし可能な範囲において道路左側に寄ることを要求しているところからすれば、道路左側に寄つてから左折し得る状況にあつたのに拘らずこれをしないで左折した場合に右規定の適用がないとするのは格別これが不可能な場合についてまで、右規定の適用がないとすることは誤まりといわなければならない。)、これは交差点における車両の円滑な流れを目的として設けられた規定であることに徴しても明らかである。

 

旭川地裁 昭和44年10月9日

第三車線からミサイル左折して「合図車妨害!」みたいな話は当然アウトですが、恐ろしいことに第三車線からミサイル左折して「合図車妨害!」と主張している民事判例もあるんですけどね。

こんな「ミサイル左折」されて「合図車妨害」なんていう話は通用しない。

 

普通乗用車なら左側端1mまで詰めることがほとんどの場合義務になるかと。

 

問題なのはこういうケース。

https://twitter.com/4DX4ojQLuEW1waQ/status/1643517544345784320

これ、いつ合図を出したか不明なので判断できませんが、一応これでも「できる限り左側端に寄って」を満たすわけで(こういう車は曲がれないのでこれが「できる限り」になる)、適法に合図を出していたなら後続車は合図車妨害になりうる。

 

今回これを取り上げたのは、大型車のように左折する際に左側端に寄れない事情がないにもかかわらず、左側端に寄らないまま左折したら「合図車妨害(34条6項)」は働かないという事例の紹介です。
あくまでも34条6項は優先規定の一種と考えられますが、適法に左折する場合のみを対象にする。

 

左折前に左側端に寄せる理由は、こちらでも説明した通り。

 

左折前に「できる限り左側端」に寄せる理由。
たまたま見つけたツイート。 これね、間違いなんですよ。 間違いというよりも中途半端が正解か。 後続自転車をブロックする目的で左側端に寄せる意味で間違いないのですが、要は「ブロックの仕方の問題」。 先に正解から。 ①合図のみならず、行動で左折...

 

本来、大型車が左折する場合くらいしか問題にならないような気がしますが、普通乗用車が左折する際に左側端に寄れない事情ってほとんどないはず。

結局のところ

問題になりやすい左折車の巻き込み事故ですが、法の規定通りにするのが一番です。

自転車の立場でいうならば、先行車の合図を見逃すなとしか言えないし、クルマの立場からすれば後続2輪車の妨害にならないときに左側端に寄せて左折する。

 

単にそれだけのことに揉めるのだから、法が悪いのか、法の通りにしない人が悪いのか?

 

ところでちょっと気になる点がありまして、自転車は無条件に左から追い抜きしても問題ないみたいな謎理論を語る人がいる。
左折車が適法に左折しようとしている場合には「左側から追い抜き禁止」になるのは34条6項から明らかとしか言えませんし、上の福岡高裁宮崎支部判決でも

 

被害者も後続車の運転者として一般的に前車の動静に注意を払い、これが左折合図をして減速したときは、これとの接触を避けるべく適宜徐行等の措置に出づべき義務があることはいうまでもない

 

福岡高裁宮崎支部 昭和47年12月12日

当たり前のように書いているわけで。
34条6項よりも先行車に26条の2第2項(進路変更禁止)が働く場合にはそのまま追い抜きして構いませんが、謎理論を語る人はいったい…

 

26条の2第2項(進路変更禁止)が働く場合とは、以下のような場合。
交差点手前30mの時点で20mの車間距離しかなく、しかも後続2輪車の速度が55キロなら先に行かせるのは当然。

被告人は、普通貨物自動車を運転し、幅員9.3mの道路を時速約35キロメートルで進行し、交通整理の行われていない交差点を左折しようとし、その手前約30mの地点で車内鏡によつて後方を確認したところ、左斜後方約20mの地点を追尾して来る自動二輪車を発見したので、同交差点の手前約22m付近で左折の合図をして車道左側端から約1.7mの間隔をおいて徐行し、同交差点入口付近において時速約10キロメートルで左折を開始した直後、被告人車の左側を直進して来た右の後進車に接触させ、事故を起したというのであり、また被告人が発見した際の同車の時速は約55キロメートルであつたというのである。原判決は、右の事実を前提とし、被告人が左斜後方に後進車のあることを発見したときの両車の進路、間隔及び速度等を考慮するときは、被告人車が前記のように左方に進路を変更すると後進車の進路を塞ぎ同車との衝突は避けられない関係にあつたことが明らかであるから、被告人車は従来の進路を変更してはならない場合にあたり、また、車道左端から約1.7mの間隔があり、かつ、前記のような進路を高速で被告人車を追い抜く可能性のある後進車のあることを認めた被告人としては、左折の合図をしただけでは足りず、後進車の動静に十分注意し、追い抜きを待つて道路左側に寄るなどの業務上の注意義務があるのに、被告人は右の注意義務を怠り、後進車の動静に注意を払うことなく左折を開始し、そのため本件衝突事故を惹起したものである、と判断しているのである。
すなわち本件は、道交法26条2項が優先的に適用される場合であつて、自車の進路を左側に変更して後進車の進路を妨害することは許されないものといわざるをえない(現行の道交法34条5項参照)。そうとすれば、前記のような状況下で後進車の動静に注意を払うことなく左折を開始した被告人に注意義務の違反のあることは明らかである。原判決の前記判断は、これと同旨であつて、正当というべきである。

 

昭和49年4月6日 最高裁判所第二小法廷

福岡高裁宮崎支部判決は先行車に追い付いた後、同程度の速度で追従していた違いがありますし、普通乗用車と大型車の違いもあります。
普通乗用車と大型車がそれぞれ「できる限り左側端に」寄った場合、左側端の空き具合が異なるのも仕方ない。

進行方向別通行区分がある場合

左折の「進行方向別通行区分」がある場合、道路交通法上は車両通行帯最外側線を越えることはダメですが、

実態としてはこういう判例もある。

 

進行方向別通行区分から左折するクルマと、車両通行帯最外側線の外側から追い抜きする二輪車が衝突した場合。
ちょっと前の話の続き。 道路交通法上、進行方向別通行区分がある場合には34条1項でいう「あらかじめできる限り左側端に寄って」を排除しているため(35条1項)、車両通行帯の中から左折する義務があります。 しかし、実態としてはこういう事態が起き...

 

これについては、法と構造のミスマッチなので解決できません。
結局のところ、35条1項を無視して左側端まで寄せるか、35条1項を遵守して左後方確認を念入りにするかしかない。

 

なお「合図車妨害」となるケースでも、民事過失割合としては左折車のほうが大きくなります。
民事過失割合とはそういうものです。

 

なお、自転車からすればこれもミサイル左折に感じるのは当然で、

これと何が違うのやら。

ミサイル左折、被せ左折は厳禁です。
ミサイル飛ばすのではなく、左側端に寄り添って優しく左折してください。

左折はコンパクトに、かつ優しく。

チャリカスがミサイル車道アタックをキメてきたらイラっとするでしょうけど、

ミサイル系アタックは全部ダメ。
チャリカスも歩道→車道に出るときは確認してから優しくね。


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