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歩道手前の一時停止義務と、「小刻みに停止・発進を繰り返せ」。

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こちらで紹介した判例ですが、

 

歩道を通行する自転車と、路外に出るために左折するクルマ。
このような事故は悲しいところですが、 県道を走っていた車がこちらの駐車場に入ろうと左折したところ走ってきた自転車と衝突したということです 要は歩道通行自転車と、路外に出るために左折したクルマが歩道上で衝突した事故になります。 一時停止 歩道...

 

いくつか質問を頂いたのですが、これは裁判所ホームページにあるのでそちらをどうぞ。

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理不尽と捉えるか?現実と捉えるか?

そりゃ、歩道を時速40キロで走る自転車がいたら予見できないだろ!と思う人は当然いるでしょうけど、裁判所の認定はこちら。

被告人には,時速約39.6kmという高速度で左方から進行して来る自転車がいるとは予見できないとの弁護人の主張について見ると,時速39.6kmという速度は,自転車の速度としてかなりの高速度であることは否定できないものの,本件歩道がA自転車の進行経路に照らすと直線的な形状である上,1.0%と僅かではあるものの左方から右方に向けて下り坂になっていることなどの事情をも考慮すれば,およそ想定し難いほど特異な高速度とはいえない。このことは,道路交通法上,自転車には原則として歩道上での徐行義務が課されている(同法63条の4第2項)ことを踏まえても左右されない。
そうすると,被告人に時速約39.6kmで進行して来る自転車の存在を予見できなかったとはいえず,結局,弁護人の主張はその前提を欠くものであって採用できない。

 

また,弁護人の上記主張は,時速約39.6kmという高速度で自転車が左方から進行して来るというのは異常な事態であり,このような異常な行動による危険を避けるために被告人に一時停止の義務まで課すのは不当に過剰なものであるとの趣旨にも解される。
しかしながら,本件歩道上の左方の見通し状況及び本件歩道の交通状況に照らせば,本件注意義務は,至極当然に課されるべきものである。所論を検討しても,A自転車の速度がおよそ想定し難いほど特異な高速度とはいえないことは上記のとおりである上,そのような速度の自転車に被告人車両が衝突した場合には重大な人身被害を生じさせる可能性が高いことを考慮すると,このような事態を回避するため,被告人に対し,本件注意義務を課すことが不当に過剰なものとは解されない。

 

広島高裁 令和3年9月16日

 

結局のところガソリンスタンドから出る際に左側に壁があり視認不可能な以上、これについてはその通りとしか言えない。

 

本件ガソリンスタンド敷地内からその北方に接する本件歩道を通過して本件車道へ向け進出するに当たり,本件ガソリンスタンドの出入口左方には壁や看板等が設置されていて左方の見通しが悪く,本件歩道を進行する自転車等の有無及びその安全を確認するのが困難であったから,本件歩道手前で一時停止した上,小刻みに停止・発進を繰り返すなどして,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,本件歩道手前で一時停止せず,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全確認不十分のまま漫然時速約4.2kmで進行した過失により,折から本件歩道を左から右へ向け進行して来たA(当時41歳)運転のA自転車に気付かず,A自転車右側に自車右前部を衝突させてAを路上に転倒させ,よって,Aに入院加療150日間を要する脊髄損傷等の傷害を負わせたものである。

 

広島高裁 令和3年9月16日

結局、見えない以上は何が出てくるのかわからなくて、それこそ子供が走ってくるかもしれないし、わからないわけじゃないですか。
一方、自転車には徐行義務があるのも明らか。
自転車からしても、クルマが出てくるのか、小さな子供が出てくるのか、何も出てこないのかはわからない。

 

自転車の立場からすれば、仮に出てきたのが子供なら加害者ですよ。
なので、お互いやるべきことはやらないとまずいと思う。

本件歩道を進行する自転車等の有無及びその安全を確認するのが困難であったから,本件歩道手前で一時停止した上,小刻みに停止・発進を繰り返すなどして,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務がある

現実として前科持ちになりたくないなら、こうするしかないよね。

 

ちなみに「小刻みに停止・発進を繰り返すなど」とあるように、他に手段があれば確認方法は何でもよい。

 

視認できない状況では道端にいる通行人に見張りを頼めとしている判例もあります。

運転補助者なく狭い三叉路において車体転換をし、つづいて後進をしようとすると、自動車を右折もしくは左折させ、停止させ、後進させ、後進のまま右折もしくは左折することとなり、附近通行人は自動車の動きを十分に予測することができず、衝突の危険を持つということができ、又後進の際には、運転者自から車体の一方を警戒しても、その反対側及びその後方には当然死角を生じ、同様通行人と衝突の危険を持つということができる。そこで運転補助者なくして右の如き処置をなそうとする運転者は、その行為に出る前一旦下車して三叉路附近通行人の存否を確かめ、通行人ある場合は、これに対し、一旦進入し後進を開始する箇所、後進する方向等を具体的に指示して避譲せしめ、又附近に成年者もしくは成年者に近い者がいて、たやすく協力を求め得る事情にある場合には、少くとも車体転換が終る前後の間だけでも、右の如き処置をとることを伝え、幼児等が突然後進方向に現れないよう見張方の協力を依頼し、見張人が得られない時は、後進開始後数米毎に一旦停車し、運転しながら警戒した反対側に通行人が現れないかを確かめ、且つ極力徐行し、後進しながらも随時警笛を吹鳴させて通行人を警戒させる等のことをし、事故を未然に防止する業務上の注意義務があるということができる。

 

山口地裁 昭和35年2月11日

ヘルメットは大事ですが

この事故、そもそもヘルメットがどうとか関係ない事故ですが、

 

これは酷いな…ヘルメット関係ないじゃん。
今朝書いた件。 被害者はヘルメットをかぶってなかったと報道がありましたが、そもそも損傷部位は報道されてない。 しかしさ、 「たとえあの日ヘルメットをかぶっていても、今回の事故はヘルメットが死亡理由じゃないので。死因は外傷性ショックで、右のあ...

 

歩道手前で一時停止し、仮に見通しが悪ければ「小刻みに発進と停止を繰り返し」ていれば防げた事故。
広島高裁判決については、全文読めるので気を引き締める材料にした方がいいかなと思う。
一審判決を破棄した理由に注目すべきかと。
確かに一時停止したところで事故は防げない。

一審 二審
本件歩道手前で一時停止せず,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全確認不十分のまま漫然時速約5kmで進行した過失 本件歩道手前で一時停止した上,小刻みに停止・発進を繰り返すなどして,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,本件歩道手前で一時停止せず,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全確認不十分のまま漫然時速約4.2kmで進行した過失

 

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

 

けど、パトカーも一時停止しなかったりするからね…
他人がどうとかよりも自分を守るためにも一時停止を。


コメント

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