文句をつけながらも、きちんと安全確認していらっしゃるのでケチのつけようがありませんが、
帰省先での出来事…
またまた、ノールックでの横断。
もう、慣れたけど…。
交通ルールって、学校で教えてくれないのかな…。安全確認なし、道路を渡ってからは逆走って…やりたい放題やん💦
悲しい事故に遭わないことを切に願う🙏#交通事故#自転車#横断歩道#安全#学校#道路 pic.twitter.com/a7okSOnl2G
— 部長兼課長 (@Ic08o7330pUMBQn) May 6, 2023
この子は道路交通法上、自転車なのか?歩行者なのか?については明らかではありません。
この子は自転車なのか?歩行者なのか?
あまり知られていないように感じますが、道路交通法上には「小児用の車」というカテゴリーがありまして
、小児用の車を通行させている者は歩行者とされます(交通法2条3項1号)。
一 移動用小型車、身体障害者用の車、遠隔操作型小型車、小児用の車又は歩行補助車等を通行させている者(遠隔操作型小型車にあつては、遠隔操作により通行させている者を除く。)
小児用の車には明確な基準がありませんが、警察庁の指針ではこんな感じ。
○小学校入学前まで(6歳未満)の者が乗車している自転車
○車体が6歳未満の者が乗車する程度の大きさ(車輪がおおむね16インチ)
○走行、制動操作が簡単で、速度が毎時4ないし8キロメートル程度以下のもの
これ、なぜかあまり知られていないのですが、小児用の車に乗って通行している者は歩行者になります。
道路交通法2条1項11号が「小児用の車」を軽車両から除外し、同条3項1号が「小児用の車を通行させている者」を歩行者とした所以を考えるのに、同じく自転車の類型に入るものであつても、「小児用の車」にあたれば、これに乗つて進行している者は歩行者とされ
福岡高裁 昭和49年5月29日
判例でみるとこんな感じ。
判例 | 年齢 | 自転車サイズ・速度 | 裁判所の判断 |
東京高裁S52.11.30 | 5才7ヶ月 | ハンドル高80センチ、車輪直径40センチ | 軽車両 |
東京地裁S53.12.14 | 4才11ヶ月 | 補助輪付幼児用自転車(7、8キロ) | 小児用の車(歩行者) |
岐阜地裁H19.3.9 | 6才2ヶ月 | 16インチ | 軽車両 |
東京高裁H26.12.24 | 6才 | 18インチ | 軽車両 |
福岡高裁S49.5.29 | 9歳8か月 | 22インチ | 軽車両※ |
浦和地裁S57.3.31 | 7才8ヶ月 | 16インチ | 自転車 |
※一審は「小児用の車」としたものの、二審は軽車両と認定。
Wikipediaには「7歳8ヶ月の子が運転する、タイヤ直径39cmの自転車を小児用の車として認めた例もある」と書いてありますが、たぶん浦和地裁S57.3.31の話なんじゃないかと。
ただしこの判決、「原告の主張」としては小児用の車だとしてますが、裁判所の判断は自転車として扱っているようにしか見えないのですが…
どちらにせよ、小児用の車には明確な基準がないので、現実的には疑わしきは歩行者とみなすしかないかと。
仮に「歩行者扱い」なら
仮に歩行者扱いの場合、右側路側帯を通行している点が「逆走」には当たらないことになります。
向かって右側には歩道が見えないので路側帯ですよね。
まあ、きちんと安全確認して停止しているので何ら文句のつけようがありませんが、やっぱり道路交通法って難しすぎる。
小児用の車にしても、知らない人がまあまあいるのですが、小児用の車になる要件については以下。
道路交通法は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図ることを目的としているから(同法1条)、同法2条1項11号および同条3項1号の定める「小児用の車」ないしこれにいう「小児」の意味づけは右目的に即して、すなわち当該種類の自転車自体のもつ機能効用および他に与える危険性と右自転車を使用する年令の者の安全性および他に与える危害性との双方から定められなければならない。
福岡高裁 昭和49年5月29日
右認定の被害者の子供用自転車は大人用の自転車に比し小型で速力も遅いとはいえ歩行者より格段に早い速度をもちかつ惰力でも相当の距離を進行するものであるから、その機能からいっても歩行者とは異なる取扱いが相当であり、殊に道路交通の上で歩行者に生ぜしめ得る危険は歩行者が惹き起す危険に比すれば格段に大きく、その運転者は歩行者と同一には論じられないといわねばならない。したがって右認定の被害者の子供用自転車は道路交通法第2条第1項第11号および同条第3項第1号所定の小児用の車には該当せず、軽車輛として取り扱われるべきものであって(運転者の被害者が当時5歳余であり、また右認定の被害者の自転車のような自転車が一般に幼児用自転車と称して販売されているとしても、これらの事実はもとよりこの判断を左右するものではない。)
東京高裁 昭和52年11月30日
この通り、何ら明確性はありません。
なお、自転車が歩道を通行できる要件である「13歳未満、70歳以上」については、歩行者扱いになるのではなく、あくまでも軽車両として歩道を通行できる要件。
なので自転車に乗ったままでも歩行者扱いになるのは、小児用の車のみです。
小児用の車になる場合は歩行者なので、横断歩道では優先権があるし、逆走という概念もありません。
個人的にはもうちょい明確な基準にした方がいいように感じますが、結局、運転者の責務としては、子供が乗る自転車を見かけたら「小児用の車=歩行者」と考えたほうがいいと思います。
なお、いい大人がミニベロに乗って「小児用の車」だと主張したところで無意味なのは言うまでもなく。
あくまでも子供の保護と、他害性のバランスからこのような規定になっていると考えられますが、小児用の車になると自転車道(サイクリングロードではない)を通行できなくなるなど疑問もあるのですけどね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
本来なら幼児には必ず監護者がついてるはずでそこで見分けられそうだけど、現実的には一人歩き(乗り)は多々あるわけで
明らかにでかいチャリに乗ってないなら見分けるのは無理だから幼児とおもって他の車両は運転して保護責任者はちゃんと監護するか自転車運転教育しろとしかなりませんね
コメントありがとうございます。
実際のところ、小児用の車と判断された判例の中には保護者の監督責任を問われ過失相殺されたものもあるので、ビミョーなんですよね。