これってどう考えるの?という疑問がありますが、
一時停止地点
このパターンの事故は
非常によく見ます!今日のVoicyでも
この事故映像について話してます!上西一美の聴くだけ安全運転点呼 https://t.co/gXwGS55nHh#Voicy#ドラレコ#ドライブレコーダー pic.twitter.com/aBeTZTjCZj
— 上西一美@YouTube番組ドラレコ交通事故防止 (@kazumi_decreate) May 9, 2023
全く同じような事故判例があります。
Contents
道路交通法で見た場合
その前に道路交通法の義務で見てみます。
○クルマの義務
第四十三条 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
第三十八条 (前段省略)この場合において、横断歩道によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
クルマの義務は一時停止と、「交差道路の車両の進行妨害禁止」。
しかも交差道路が優先道路というオチまでつきます。
ここで疑問が発生。
横断歩道を進行する自転車には優先権がないのは38条1項で明らかですが、歩道を通行して横断歩道を横断する自転車を「優先道路を進行する車両」とみなすべきかどうか?
17条4項のカッコ書きを考えると、
あくまでも「優先道路」と呼べるのは車道の部分になりますよね。
しかしまだ話は終わらなくて、交差点の範囲はこれ。
なお、道路交通法2条5号にいう道路の交わる部分とは、本件のように、車道と車道とが交わる十字路の四つかどに、いわゆるすみ切りがある場合には、各車道の両側のすみ切り部分の始端を結ぶ線によつて囲まれた部分――別紙図面斜線部分――をいうものと解するのが相当である。
最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日
隅切りも交差点に含まれることを考えた場合、横断歩道を横断した自転車についてどっちも間違いとは言い切れなくなる。
・あくまでも自転車について「優先道路の進行」と捉える。
ちなみにですが、歩道→車道に降りるプレイ自体は必ず「横断」になります。
これは施行令2条「人の形をした赤信号」でも明らかかと。
「横断」とは、道路の反対側の側端または道路上の特定の地点に到達することを目的として、道路の進行方向に対し、直角またはこれに近い角度をもって、その道路の全部または一部を横切ることをいい、必ずしも道路の反対側の側端に到達することを必要としない。
木宮高彦, 岩井重一、詳解道路交通法、1977、有斐閣ブックス
信号の種類 | 信号の意味 |
人の形の記号を有する青色の灯火 | 二 普通自転車(法第六十三条の三に規定する普通自転車をいう。以下この条及び第二十六条第三号において同じ。)は、横断歩道において直進をし、又は左折することができること。 |
人の形の記号を有する赤色の灯火 | 二 横断歩道を進行しようとする普通自転車は、道路の横断を始めてはならないこと。 |
ここまでが前置きです。
判例によると
ほぼ同じ事故は、こちらの判例になります。
こんな判示をしている。
本件事故は、優先道路に併設された歩道を走行し、本件交差点を直進しようとした原告自転車と非優先道路から優先道路に左折進入するために本件交差点に進入しようとした被告車両との接触事故であるところ、双方に前方、左右の不注視等の過失が認められる。
そして、以上に加え、原告自転車が右側通行であり、被告車両から見て左方から本件交差点に進入してきたこと等に照らせば、本件事故の過失割合につき、原告15%、被告85%と認めるのが相当である。
名古屋地裁 平成30年9月5日
個人的にはだいぶ疑問が残る判示で、民事は例によって「弁論主義」なので当事者がそのような主張をしたからそうなったものと思いますが、優先道路かつ逆走という謎判断に至っています。
まあ、無理矢理こじつけた感が否めないのですが、過失割合だけをみればそんなもんかなというところに落ち着くのも不思議です。
けど、道路交通法上で見た場合に、
一時停止地点
このパターンの事故は
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「一時停止規制(交差道路の進行妨害禁止)」
vs
「優先道路に併設された歩道から横断歩道を進行する自転車」
イマイチ意味がわからなくなるのは間違いないかと。
現実的な力関係と、一時停止規制があるクルマのほうが事故回避しやすいことを考えれば、相対的にクルマが劣後すると考えるべきなんですかね?
民事の概念は
過失って道路交通法の義務のみならず不注意程度でも過失になりますが、上記のような場面での道路交通法の優先関係がどうなるかについては、
「どっちにも解釈しうる」(揉める)
あくまでも自転車のプレイを「横断」と捉えて25条の2第1項の規制だとしても、
「歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるとき」とは、車両等の運転者が道路外の施設若しくは場所に出入するための左・右折、横断、転回又は後退するにあたり、歩行者や他の車両をしてそのための急制動、一時停止、徐行あるいは異常な進路変更等、従前からの運転方法を著しく変更させる措置をとることを余儀なくされるような場合をいう。
大阪高裁 昭和44年12月23日
一時停止して止まっている車両に対する妨害はできないし、イマイチ解釈に悩む。
個人的には、Twitter動画のケースについては優先権がどちらにあるとも言えないビミョーな関係に陥ったので、現実的な力関係からクルマが相対的に劣後すると考えたほうがいいのかも知れないと思うのですが、マニアの皆様におかれましてはどう考えますかね?
横断歩道上を通行しても優先道路の進行妨害と捉えた判例がほかにもあるので(↓)
・福岡高裁 平成30年1月18日
・大阪地裁 平成25年6月27日
・東京地裁 平成28年11月1日
なおさらわかりません笑。
けど、現実的には一時停止規制側に「より強い注意が必要」だと捉えたほうがいいと思います。
ワケわからんですね。
民事って厳格に道路交通法を解釈するわけでもないけど、こんな不明な状況なのに「道路交通法を守れ!」と言われても「守る以前に解釈が不明」としか言えないような気がします。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
自転車は逆走問題もあるので横断と考えるのが自然かと
後は右左折合図車両と後方車両みたいな関係じゃないですかね
タイミング次第
一時停止側が停止してる状態を確認したのなら正常な通行の妨害するおそれとは言えないので横断自転車が先に横断してもセーフ、動きだしてるなら横断自転車が待つで
歩道走行が可能なオーストラリアだと州によって差異はありますが、自転車信号のない横断歩道は降りろだったり、横断する前に一時停止&他の車両優先のようですね
実際守られてるかは分かりませんが
日本も横断とするなら普通に自転車が劣後するんですけど左側通行すら知らないものもいる自転車運転者に期待出来ないから免許持ってる方が譲れが慣習法になってますね
コメントありがとうございます。
横断と捉えるほうが自然なのは間違いないのですが、どうにも気持ち悪い判例が脳内を邪魔してます笑。
明確性がないルールってダメですね。
韓国も自転車が特例で歩道走行可能な条件があるらしいので調べたら、日本の法律そっくりなんですけど明確に横断歩道を使う場合は押し歩けとなってますね(韓国道路交通法第13の2⑥)
なんで日本だけ明確にしてないんですかね?
コメントありがとうございます。
生活道路の交差点内に横断歩道があるのを見たことがありますが、物理的にクルマが交差点を通過するには横断歩道上を進行するしかありません。
車両の通行を規制してしまうと問題があるのではないでしょうか?