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自転車を至近距離で追い抜きすると、驚愕狼狽して事故が起きる。

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以前書いたこちらについてなんですが、

 

自転車追い抜き時に非接触事故の判例。
自転車を追い越し、追い抜きする際には側方間隔が問題になりますが、接触してないものの事故になった判例を。 非接触事故の判例 非接触事故の判例としてますが、事故態様には争いがあります。 判例は東京地裁 平成27年10月6日。 まずは大雑把に状況...

 

非接触事故の判例って他にもあるの?と質問を頂いたのですが、あると思いますよ。
例えばこちら。

 

自転車を追い抜きする際に非接触事故。
こういう判例って、車道を通行するロードバイクとしてもちょっと気になる。 今回は白バイが自転車を追い抜きした際に、非接触事故のあったという判例です。 非接触事故 今回のケースは判決文が見当たらず、警察学論集(1972年9月)に掲載されていた警...

 

自転車がノールック横断した形になりますが、非接触事故です。
加害者は白バイなんですが、この事故態様においては自転車のほうが過失が大きいとしながらも、白バイの無過失は認めていません。
というのもそもそも自賠法3条はこう。

(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない

過失があるから過失責任を負うのではなく、無過失の立証がないから過失責任を負う仕組み。
無過失の立証ってなかなか難しいのが実情かと。
被害者保護のために、立証責任を逆転させているシステムなので、「過失があったとは言えないが無過失の立証がない」なら賠償責任を負うのが自賠法。

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自転車を至近距離での追い越し

ところでやや変わったところになりますが、トンネル内で自転車を至近距離追い越ししたことにより起きた事故判例があります。

 

「やや変わったところ」というのは、加害車両のみを訴えたものではないからです。

被告 訴えた内容
加害車両 至近距離追い越しの当事者
道路管理者 トンネル内が狭く自転車の通行が危険だったのだから、道路法46条1項1号により通行禁止にすべきだったにもかかわらず怠った
笹子トンネル内を大型自動車の通行と共に自転車の通行を認めることは、事故発生の具体的危険性の高いものであったから、山梨県公安委員会および大月警察署は、一般的にトンネル内を自転車が通行することを禁止するか、大型自動車と共に自転車が通行することがないように信号等の設置をして各通行時間帯をずらすなどの措置を講ずる義務があったにかかわらず、これを放置していた

結論からいうと、加害車両に対する責任は認めたものの、道路管理者と県に対しては請求棄却です。

 

事故の態様はこんな感じ。

毎時約15キロメートルの速度で走行し、本件事故現場に差しかかつた。原告は、そのとき警音器の吹鳴によつて後方から大型自動車が接近してくるのを感知したので、こころもち原告車をトンネル壁側へ寄せて進行を続けたが、被告車の前車輪が原告車とほぼ横一線に並ぶ状態になつたとき、被告車との接触の危険を感じ、ために原告車の車輪を道路左側の路肩部分に進入させ、乗車姿勢の均衡を失し、原告車は左側トンネル壁側へ、原告自身は右側道路中央へ倒れかかり、進行中の被告車の左後輪のタイヤの側面と原告の右側腰部付近とが接触し、それと相前後して原告は路上に転倒したものである。

本件道路の下り線の外側線から中央線までの距離は3m、被告車の車幅は約2.5mであり、被告車が原告車を追い越した時多くとも約40センチメートル中央線を越えていたにすぎないから被告車の左側と外側線までの距離は約90センチメートル以下となる。そのとき前記のとおり原告車は下り線の外側線の若干壁寄りの路上を走行していたから、原告車はそのハンドル幅の約半分すなわち約21センチメートルが外側線から中央線側にあつたことになる。そして、原告自身の身体(腕、脚等)幅を考慮に入れると、事故発生時の被告車と原告車との相互の距離は約60センチメートル以下であつたと考えられる。

(中略)

被告は、本件道路を被告車で運行し、同方向車線道路端を足踏自転車で先行する原告を追い越すに当つては、自転車と適切かつ安全な距離を保つたうえで徐行する義務があつたというべきである。しかるに、同被告は、原告車を追い越すに際し、漫然毎時約50キロメートルの速度で原告車の側近を追い越した過失によつて本件事故を発生させたものである。

 

東京地裁 昭和50年1月21日

60センチ以下、時速50キロ(速度差35キロ)で追い越ししたことと狭いトンネル内なので驚愕狼狽して転倒した事故と言えますが、当たり前ですが自転車には過失がありません。

 

道路管理者と県を被告に加えている点は珍しい気がします。

自転車を追い越し

2輪車を追い越し、追い抜きする際には適切な側方間隔と減速が必要という点は誰しもが認めるところですが、具体的にどれくらい必要なのかについては、一律で決めることはできません。
刑事責任でみても、見通しがよく、先行2輪車に動揺性が見られないなら側方間隔1mが一つのラインになっていますが、事故が起きれば民事責任は免れない。
下記にしても、側方間隔1.2mで非接触事故が起きてますし。

 

自転車追い抜き時に非接触事故の判例。
自転車を追い越し、追い抜きする際には側方間隔が問題になりますが、接触してないものの事故になった判例を。 非接触事故の判例 非接触事故の判例としてますが、事故態様には争いがあります。 判例は東京地裁 平成27年10月6日。 まずは大雑把に状況...

 

トンネル内であれば1.5mでも危険な場合があるし、減速することも当然求められますが、時速5キロ、側方間隔60~70センチでの追い抜きについて有罪にした判例があることに注意(最高裁判所第一小法廷 昭和60年4月30日)。

たとえ、同人が被告人車の警笛に応じ避譲して走行していた場合であつても、大型貨物自動車の運転者たる被告人としては、被害者転倒による事故発生の危険を予測して、その追い抜きを差し控えるべき業務上の注意義務があつたというべきであり

 

最高裁判所第一小法廷 昭和60年4月30日

 

自転車への側方間隔はどれくらい空けるべき?判例を検討。
先行する自転車を追い越し、追い抜きするときに、側方間隔が近すぎて怖いという問題があります。 これについて、法律上は側方間隔の具体的規定はありません。 (追越しの方法) 第二十八条 4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条に...

 

あと、ある非接触事故の民事判例に書いてありましたが、非接触でも70条の違反として切符を切った事例はあるようです。
非接触事故の判例ってどんだけあるのかは知りませんが、基本的には過失が認められるケースが多いような気がします。
冒頭で挙げた白バイのケースでも過失責任を認めてますし。


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