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結局、「小児用の車」とはなんなのか?

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何回も取り上げていますが、おおよそ6歳未満、16インチ以下、時速4~8キロ程度の自転車については道路交通法上は「小児用の車」となり、歩行者として扱われます。

 

「小児用の車」は歩行者扱い。
先日書いた内容についていきなり「嘘つき」呼ばわりされるインターネットって凄いですよね。 近々改正予定ですが、改正後も結局は歩行者扱い。 現在の法規で示しますね。 (定義) 第二条 3 この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者と...

 

明確な基準はありません。

 

それと同時に、意外なほど「知られていない」のも事実。
気になってちょっと調べてみました。

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小児用の車はいつから?何の目的で?

調べてみて意外だったのは、小児用の車を歩行者扱いしていたのは道路交通取締法(昭和20年代)時代から。
「緒車」という定義から「小児用の車以外の車」となっていましたが、道路交通取締法の解説書をみても具体的に何を当てはめていたのかはわかりません。

 

道路交通法が制定された昭和35年時点では、軽車両の定義から「小児用の車」が除外されてますが、そもそもなぜ小児用の車を歩行者扱いしていたのか?
条解道路交通法(宮崎清文)にはこのように書いてあります。

「小児用の車」とは、乳母車や小児用の三輪車または自転車等をいうが、これらの車が軽車両から除かれているのは、通行区分として歩道を通行させることの方が適当と考えられたからである。

 

宮崎清文、条解道路交通法、1961(昭和36年)、立花書房

よくよく考えてみると、この時代はまだ自転車の歩道通行が解禁されてなかった時代。
子供が乗る自転車を歩行者とすることで、歩道を通行させたい意図があったようです。

 

そして註釈道路交通法(横井、木宮、1961)では「16吋以下」と書いてあるので(吋=インチ)、昭和30年代には既に16インチ以下を目安にしていたようですが、その根拠はわかりません。

実際問題としては

小児用の車がなんなのか?については、月刊交通 1979年7月(昭和54年)に「小児用の車の意義について」(警察庁交通局交通企画課 中澤見山)という特集が見つかる程度です。
以前取り上げた福岡高裁判決と東京高裁判決を解説しながら、いくつかの説を取り上げています。

 

ちなみにこの特集によると、3、4歳くらいまでの自転車なのではないか?という結論にしています(著者の私見)。

 

判例を調べても、小児用の車について争ったもの自体がかなり少なく、結局のところは何か事故などが起きたときに自転車なのか歩行者なのかの争いになるだけ。

 

ところで、「小児用の車」として歩行者扱いしている理由が単に通行区分の問題だとしたら、現行法では13歳未満が乗る自転車については標識の有無に関係なく歩道を通行できます。
なので単に通行区分の問題だとしたら、わざわざ小児用の車の中に6歳未満が乗る自転車を含ませる理由はなくなっている。

 

けどあえて6歳未満が乗る自転車を含ませたままにしている理由を考えると、結局は保護性を高めているのかなと。
歩行者扱いすることで、横断歩道での優先権もそうだし、例えば理屈の上ではこれも当てはまる。

(運転者の遵守事項)
第七十一条
二 身体障害者用の車が通行しているとき、目が見えない者が第十四条第一項の規定に基づく政令で定めるつえを携え、若しくは同項の規定に基づく政令で定める盲導犬を連れて通行しているとき、耳が聞こえない者若しくは同条第二項の規定に基づく政令で定める程度の身体の障害のある者が同項の規定に基づく政令で定めるつえを携えて通行しているとき、又は監護者が付き添わない児童若しくは幼児が歩行しているときは、一時停止し、又は徐行して、その通行又は歩行を妨げないようにすること

小児用の車は歩行者なので、「幼児が歩行しているとき」に該当します。

 

個人的には歩行者扱いだろうと自転車扱いだろうと、子供は最大限守ったれやと思ってますが(行動パターンが読めないので)、たぶん現場の警察官も「小児用の車」については即答できる人は少ないのかもしれません。

 

マニアックな法律かもしれませんが、一応は昭和20年代から存在するルールです。

ところで

理屈の上では小児用の車=歩行者なので、横断歩道を横断しようとしていたら車両には一時停止義務がありますが、

 

横断歩道を横断待ちしている自転車に対して「止まらなかった場合」、違反になる2つのケース。
最近、「横断歩道を横断しようとする自転車に対し一時停止義務はあるか?」という話をやたら聞きますが、以前から書いているように道路交通法38条1項は ・横断歩道 ー 歩行者 ・自転車横断帯 ー 自転車 の関係について優先関係を規定しているルール...

 

理屈の上では、仮に違反切符を切られて争うドライバーがいた場合、その子が小児用の車なのか自転車なのかが争点になってしまうので、小児用の車であったことを警察や検察が立証しないといけないので、たぶん現実的には難しい。
イチイチその子を呼び止めて年齢やタイヤサイズを確認するなんてビミョーですし。

 

ただまあ、大人としては全て「小児用の車」(歩行者)と見なして優先保護してあげるべきだと思うのね。
これにしても、

この場合は死角なので「横断しようとする歩行者が明らかにいないとは言えない」なので38条1項前段の減速接近義務の問題になりますが、このくらいにしても歩行者と大差ないスピードなんだし、最終的に小児用の車なのか自転車なのかは関係ないし。

 


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