ちょっと気になる報道。
20日午前7時55分ごろ、鳥取市湖山町南4丁目の鳥取大構内で同大の男子学生(20)と女子学生(19)の自転車が正面衝突し、女子学生が救急搬送されたが意識不明の重体。男子学生はひざに軽いけがを負った。
鳥取署などによると、現場はアスファルト舗装された坂道(道幅5・3メートル)の途中で、緩やかなカーブを抜けた地点。男子学生が坂道を下っていた。2人ともヘルメットを着けていなかったとみられるという。
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正面衝突なので…
幅員5.3mの坂道で自転車同士が正面衝突したわけで、普通に考えればどちらかに左側通行義務違反、もしくは両者が中央付近を走行したものと考えられます。
ヘルメットネタも悪くないんだけど、逆走自転車に対してヘルメットで防備するわけではないし、逆走しながらヘルメットで自分のケガを軽減するわけでもない。
なので唯一の正解は
「左側通行しましょう」
緩やかなカーブ&坂道だそうですし、
「見通しが悪いとか、坂道はスピードを注意しましょう」
になるような。
ちょっと前にサイクリングロードで事故があったときもヘルメットネタでしたが、
見通しが悪い場所なわけで、左側通行+徐行が鉄則。
ただしサイクリングロード自体にも問題があるのは明白で、事故を繰り返さないようにきちんと改善すべき。
ヘルメットネタも悪くないんだけど
ヘルメット自体は大事なんですが、なんとか物置みたいに「100人乗っても大丈夫」みたいな強い保護性能があるわけもないし、違反者の脅威に備えるわけでもないし、違反しても無敵になるアイテムではない。
ヘルメットかぶった程度でマリオのスター状態(無敵)になるワケじゃないので、
「まずは左側通行しようぜ」
が先に来て欲しいのですよ。
ちなみにどちらかに逆走があったとしても、生活道路では過失割合は50:50です。
平成後期ですら、まだ左側通行義務は浸透してないっすと判断されてますが↓
足踏み式自転車においては、左側通行が徹底されているとはいえない現状であること、足踏み式自転車においては通常速度がそれほど速くないことから、自己の進路上に対向する足踏み式自転車が存在したとしても、停止や回避の措置により衝突を回避することは極めて容易であることなどを考慮すると、本件道路のような狭路で自転車が正面衝突した場合、過失割合は、基本的には五分五分と考えるべきである。その上で、以上のような被告と原告の過失の内容及びこれが結果に与えた影響を考慮すると、被告の過失の方がやや大きいというべきであり、4割の過失相殺をするのが相当である。
大阪地裁 平成28年9月16日
この判例の事故態様はこちら。
事故現場は幅員3mの河川敷道路です。
この事故、原告、被告ともに「相手が逆走」だと主張しています。
時間は夜です。
原告 | 被告 |
時速約20キロ | 12歳、無灯火、2人乗り、友人と並走 |
せっかくなら報道で「自転車は左側通行義務があります」くらい書いてもいいんじゃないかと思う。
まだ左側通行義務は普及してないみたいだし。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
ヘルメットについては、警察全般から、「自転車事故の記事を書くときには、必ず触れろ」みたいなお達しがあるのかと思うくらいです。マスコミ側の忖度かも知れませんが。
引用されている記事でも、末尾に、とってつけたように「県警交通企画課によると・・・」とヘルメット無しと重傷者を結びつけるように書いてますし。
ほかにも、同じ事故を扱った記事で、やはりYahooニュースにあったテレ朝newsの記事では、自転車事故のシミュレーション動画(人形が乗った自転車同士の事故)を延々と流してました。
コメントありがとうございます。
たぶん警察からなんか言われているからこうなっているのだと思いますが、逆効果にしか思えないです。
みんな頭の中に自転車は車道を走行するのが義務という考えはあるけど、左側走行左に寄って走行する事はほぼ知らない。
ヘルメット被って無灯火逆走なんてしょっちゅう見かける。
事故原因として女子学生はスマフォに集中してた可能性もあり得る。
コメントありがとうございます。
スマホ云々みたいな、報道されてないことを創作するのはどうかと思うので…
起こった事故に対してどっちか悪いかの話ではないのでは?
事故った時にヘルメットしてたら重体まで行かなかったのでは?という話。
自分の身は自分で守る必要があるってだけの話。
コメントありがとうございます。
ヘルメットをかぶっていても死ぬときは死にますし、事故を起こさないことがまず第一になるのは当たり前の話ではないでしょうか?
逆走自転車と衝突し確実性がないヘルメットに委ねるのと、そもそも事故が起きないように左側通行するのではどちらが安全なのか言うまでもない話です。
始めてコメントします。
ヘルメットの努力義務はあれだけ放送しているのに完全義務の左側通行の件は全く放送されて無い‥
あれだけ放送されていてもヘルメット着用率は自分の県は10%未満らしいです。
左側通行は義務とは言え、学生さんは知るすべが無いので本当に知らないんでしょうね。
もっと学校で教えて欲しいです。
コメントありがとうございます。
努力義務よりも義務を優先して欲しいですよね。
なぜ逆走自転車に備えてヘルメットをかぶるのだろう笑
はじめまして。
考察はごく自然だと思いますが、気になったことをひとつ。
鳥取大学構内は、文部科学省の私有地なので、道交法の対象外と思われます。←以前5年間通ってました。
河川整備道も同様に、国土交通省の私有地です。
公道でも私道でも、事故が起きたら困ります。
この事故の場合、公道・私道を問わず、「見通しの悪い坂道は注意して走行しましょう」くらいが妥当ではないでしょうか。
重体となった女子大生の回復を祈っています。
コメントありがとうございます。
道路交通法でいう道路には「一般の交通の用に供するその他の場所」を含みますが、
不特定多数が自由に通行する場所であれば私有地だろうと道路交通法の対象になります。
例えばコンビニの駐車場なんかも対象です。
ご返事及びご教示ありがとうございます。
しかし鳥大構内が「一般交通の用に供するその他の場所」に直ちに該当するとは思われません。
まず鳥大には警備員が在中する門があり、鳥大関係者以外は通行できません。また、自動車、オートバイは最短距離で所定の駐車場、駐輪場に停めることとなっています。
ですから、鳥大構内を自由に通行できるのは、大学関係者の歩行者及び自転車のみです。
コンビニの駐車場とは違います。
自分は、「左側通行しようぜ」との主旨は賛同します。
その根拠は道交法ですが、自転車に乗る人のマナーだと考えます。
コメントありがとうございます。
鳥取大学の実情はわからないのですが、この場合の「道路性」については歩行者が自由に往来可能であれば道路交通法上の道路と見なします。
お話を見る限り車両に関する警備員による規制であり、国立大で歩行者の往来まで禁じている大学があるとは信じがたいところですが、仮に歩行者が自由に往来可能であれば道路交通法上は道路と見なします。
道路交通法上の道路と見なした上で車両通行を私的に制限することは何ら問題がありませんが、それ以上の鳥取大学の実態はわかりません。
たびたびすみません。問いの意図を勘違いされているようなので。
報道及び画像を見ると、第三者からはこの事故は公道で起こっており何らかの道交法違反があったと思われるのは無理ないと思います。
逆に私が見ると、現場はガードレールも何もなく、鳥大構内でも通常は自動車等が走らない、歩行者及び自転車用の道路と思われます。
朝方、講義に向かう学生も多い時間帯です。また、自動車等は走行しないエリアですから、歩行者は公道よりも周囲に気を払わずに歩いていたと思われます。その道を走行する自転車は、さらに周囲に注意を払うべきではなかったでしょうか。
ブログの趣旨の、「左側通行しましょう」「見通しが悪いとか、坂道はスピードを注意しましょう」は当然のことで、賛同します。
ただし、その根拠が「公道」で「左側通行義務違反」が直ちに問えるのか疑問だったのでコメントした次第です。
こちらのブログではよく法令や判例を引用されていますが、ドライバー、ライダー、チャリダー全てが道交法を熟知しているわけではありません。
通常、乗り物に乗るときは、どうしたら安全に、事故を起こすことなく通行できるかを考えるものではないでしょうか。
事故で意識不明の重体の女子大生は、ほんとに可哀そうなことです。また、どちらが加害者なのかはわかりませんが、相手にも何らかの民事の責任がかかるでしょう。
このような事故の再発を防ぐためには、道交法の条文や判例を検索するのではなくて、「人は右、車は左、自転車は車だから左」をマナーとして徹底することではないでしょうか。
コメントありがとうございます。
うーん、「マナーとして」と言われてしまうと、マナー程度にしか思われないから逆走が頻繁していると考えているので、あまり賛同できるところではありませんが、趣旨については理解しています。
けどこの具体的事例のみを指して書いているわけでもなくて、世間一般における正面衝突事故全般を意識して書いているので、お考えは理解しますがマナー程度に格下げすることはあまり賛同できるところではありません。
私の実家の県は、高校生は絶対に逆走しません。
なぜなら交通指導員による取り締まりが非常に厳しいからです。
二回キップ切られたら、二週間チャリ通禁止で講習受けないとチャリ通禁止は解除されません。
並走や2ケツ・イヤホン・傘差し自転車など論外です。
ところが大学構内および近隣公道は、道交法違反者だらけです。
他の県から来た学生は、逆走など平気でします。
道交法違反をマナー違反くらいにしか思っていないのです。
まったく話になりません。
閉口してしまいます。
今回の事故は、そんなところにも原因があるのだと感じました。
コメントありがとうございます。
そんなに厳しくしている地域があることにも驚きますが、少なくとも日本では左側通行義務はまだ普及してないと裁判所が語る程度なので、なかなかつらいところです。