自転車のルールって分かりにくいものが多いですが、こちらについて質問を頂きました。
走行中の自転車を後ろから追い越して直前で左折する奴は殺人鬼なのかもしれない
八戸 580 つ 6122#ドラレコ#危険運転#自転車#八戸https://t.co/SH3Ektl6g4 pic.twitter.com/ByX2y2H5Au— およよ (@ahnt281) June 28, 2023
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路側帯通行自転車と交差点左折車
まず、自転車が通行している位置は路側帯です。
路側帯は歩行者のための場所なので、自転車は例外的に通行できますが、車道ではないのでこのようなルールになります。
第十七条の二
2 前項の場合において、軽車両は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない。
さて、優先関係の話。
交差点の定義は「歩道」を排除しているけど路側帯は交差点に含まれます。
「歩道等」ではなく「歩道」。
こういう判例があります。
路側帯が設けられている道路においては、路側帯を含めた道路が交わる部分を交差点ということ、道路交通法37条は路側帯を含む交差点通行車両全体についてその進行上の優先関係を規定していること、同法37条にいう車両等には軽車両を含むこと及び路側帯を通行する車両についても直進車優先が適用されることは原判決の判示するところである。従って、右折車は、路側帯を適法に通行する自転車等の軽車両の直進車の通行を妨げてはならないことは明らかである。
東京高裁 昭和60年3月18日
この判例は対向車の関係性ですが、路側帯通行自転車には交差点のルールが適用されます。
しかも横断歩道直前で路側帯が途切れているので、やはり全体が交差点になる。
※古い画像を流用しますが、動画だと左折先は歩道。
で。
この場合、左折車は進路変更禁止違反。
第二十六条の二
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
路側帯通行自転車と車道通行車両の関係なので追い越しでも追い抜きでもありませんが、交差点部分ではこの場合直進自転車が優先します。
ただし
一点注意なのは、上で挙げた東京高裁判決。
このような事故態様です。
路側帯を時速50キロで進行したオートバイと、直進車(大型車)に譲ってもらい慎重に右折した車両の事故。
オートバイは路側帯を通行できませんが、以下の理由から右折車は無罪(業務上過失傷害)。
路側帯が設けられている道路においては、路側帯を含めた道路が交わる部分を交差点ということ、道路交通法37条は路側帯を含む交差点通行車両全体についてその進行上の優先関係を規定していること、同法37条にいう車両等には軽車両を含むこと及び路側帯を通行する車両についても直進車優先が適用されることは原判決の判示するところである。従って、右折車は、路側帯を適法に通行する自転車等の軽車両の直進車の通行を妨げてはならないことは明らかである。
しかし、路側帯は主として歩行者の通行の用に共するために設けられているもの(ただし、歩行者の通行が禁止されている自動車専用道路の場合を除く。)であって、軽車両だけが、著しく歩行者の通行を妨げることになる場合を除いて、通行を許されているにすぎず、この場合においても軽車両は歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行しなければならないもの(同法17条の2第2項)とされているのである。ところで、路側帯の通行を許された軽車両とは、人又は動物の力により運転する車両に限られる(同法2条1項11号、16条2項)のであって、これらの車両は自動車や原動機付自転車と異なりその性質上低速のものであり、かかる軽車両だけが歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行することを許されているにすぎない路側帯は、本来高速の車両の通行を全く想定していないものと考えられる。もっとも、現実には法律上路側帯の通行を禁止されている原動機付自転車や自動二輪車が路側帯内を通行する事態が時にみられるのであり、このような現実を全く無視することはできないが、このような場合であっても原動機付自転車や自動二輪車の側では適宜速度を調節して進行するのが一般的であり、これらの車両が時速50キロメートルもの高速度で路側帯内を通行することは通常予想されないところといわなければならない。そうすると、このような異常な走行をする直進車については、交差点における直進車優先の規定の適用はなく、右折車はかかる直進車に対してまでその通行を妨げてはならない義務があるものとは解されない。
(中略)
右通行余地を自転車、自動二輪車等が進行してくるに備えブレーキペダルに右足をのせ左方を注視しながら時速5、6キロメートルで進行したところ、左斜め前方約12mの地点を対向して進行してくる自動二輪車(以下、被害車両という)を認めて急制動し、被告人車の先端がわずかに路側帯内に入った地点で停止したことが認められるのであって、被告人としては右通行余地を対向して進行してくる車両に対して相当の注意を払っていたものと認められる。そして右の程度の注意を払っていれば、路側帯内を適法に進行してくる歩行者や軽車両は勿論、原動機付自転車や自動二輪車が進行してくる場合であってもそれらが適宜速度を調節して進行してくる限り、それらとの衝突を回避することが十分可能であったと認められる。もっとも、右の程度の注意では被害車両の如く路側帯内を時速50キロメートルもの速度で進行してくる車両との衝突を回避できないけれども、これを以て被告人の過失とみることは相当ではない。すなわち、前説示どおり路側帯は主として歩行者の通行の用に共するために設けられているのであり、例外的に自転車等の軽車両が歩行者の通行を妨げないような速度と方法で通行することが許されているにすぎないのであって、本来高速の車両の通行を全く予定していないのである(以下略)
東京高裁 昭和60年3月18日
右折車は路側帯通行自転車を警戒し徐行&注意していたのに、低速車両しか想定されてない路側帯を高速度進行する2輪車は予見不可能としています。
動画の自転車はたいしたスピードには見えないので問題ないけど、路側帯から高速度追い抜きした場合には話が変わる可能性があるので、ちょっと注意が必要。
ちなみに特定小型原付は路側帯通行時に「時速6キロモード」にしないと違反になりますが、自転車が路側帯を通行する上で求められる「歩行者の通行を妨げないような速度と方法」は明確ではありません。
動画の状況っていわゆる「被せ左折」になりますが、左折する直前に被せたら事故るリスクが高まるのは当たり前。
大事なプレイをする前には被せるのではなく、剥く。
なぜこんな当たり前のことが疎かになるのかわかりません。
歩道にいた自転車がノールックで車道に降臨したら危険なのと同じで、左折車が左後方をノールックで左折したら危険。
ノールックで方向を変えちゃダメなんですよ。
お店で指名するときに、パネルをノールックで選んだら失敗するのと同じ。
偶然に頼るのは失敗の原因なんだと、いろんな場面で学習できるはずです。
ちゃんと調べもしないまま(ノールック)、オニーサンの誘いに従って入店したらぼったくり店だったとかよくある話ですよ。
ノールックで入店したら失敗するのはよくある話なのに、なぜノールックで歩道から車道に降臨してみたり、ノールックで左折しちゃうのよ。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
記事のような路側帯ではないですけど、交差点で左折レーン(第一通行帯)から直進するときに、直進レーン(第二通行帯)にいる後続車が、こちらが横断後の第一通行帯に戻ろうとしているタイミングで突っ込んでくる事が多々あるんですが何か良い回避方法はないですか?
交差点内は駐停車禁止なので停車してやり過ごすのは出来ないですし
車側は左折レーン直進とかわけわからん自転車だし、そもそも自転車は走っても路側帯だろうから交差点突っ込んでも問題無いだろ的な感じだと思います…あんまり思いたくないですが…
コメントありがとうございます。
うーん、手で合図して牽制するとかですかね?
なかなか厳しいところですが。
上記の件なら左折レーンがある場合は歩道入って横断歩道案件かな
それか第2車線直進(該当交差点で止まった場合のみ、移動中に出くわしたら歩道)
車乗ってると左折レーンから直進は邪魔(車視点からすると自転車側の割り込み)
自転車乗ってると純粋に危険
大体左折レーンがある交差点って大通りで交通量多いからリスク高いんですよね
時間かかっても安全最優先で歩道に避難しますね
コメントありがとうございます。
すみません、左折レーンがない話です。
すみません上のコメントに対してのコメントでした
記事内に関しては車なら無理な追い越しはしない、自転車なら無理に対抗しないにつきますね
自転車はバイクや車と戦ったら勝ち目がないんだから尚更
コメントありがとうございます。
あー、すみません。
コメントの連続性がこちらではわからない仕組みでして…
無理しないことが一番大事です。