電動キックボードの件は何度も書いていますが、今まで書いてきたのは特例電動キックボードの話がメイン。



今回は原付扱いになる電動キックボードの話です。
電動キックボードを運転中に、歩道を歩いていた女性に、後ろから衝突。
けがをさせて逃げた疑いで、男が逮捕された。
過失運転致傷などの疑いで逮捕されたのは、住所不定・無職の30歳の男。
男は、5月22日午後4時50分ごろ、大阪市難波の路上で、電動キックボードで走行中に、前を歩いていた48歳の女性に衝突。
女性は、頸椎(けいつい)を骨折する重傷を負ったが、男は、そのまま逃げた疑いが持たれている。
男は、知人女性を前に乗せ、2人乗りで走っていて、時速は20km以上出ていたという。
事故を起こした電動キックボードは、本来「原動機付自転車」に該当し、歩道を走ることは禁止されている。
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フル電動自転車問題も含め
アクセル付きのフル電動自転車の目撃情報も聞きますが、電動キックボードの違法走行問題も多いようですね。
実際に見たことはありませんが、ナンバープレートを装着していない電動キックボードの目撃情報も聞きますし。
特例対象の電動キックボードも含め、現行法ではナンバープレートが付いていない電動キックボードについては全て違法状態です。
特例対象のものは現状ではレンタル品しかないので、ナンバープレートが付いていないのは私物の電動キックボードだと見分けることが出来ます(R3、6月現在)。
私物の電動キックボードについては、現行法では原付扱い。
原付で歩道を走れば違反なのは誰でも理解できると思いますが、都会ではこういうのって増えているんですかね。
ナンバープレートを装着していないので、この時点で大問題なわけですが、原付は自賠責保険も必須。
ウインカーなどの整備不良もありそうですね。
まあ、バカなんでしょうね。
電動キックボードって車両感が薄いというか、玩具の延長程度に考えているバカが多いとも言えますし。
ひき逃げについてはお話になりませんが、そもそもの話で言うとナンバープレートを取得せずに歩道を走っている時点でお察し。
フル電動自転車についても、あれも法的には原付ですからねぇ・・・
ごく一部、自転車モードと原付モードの切り替えが可能なハイブリッドタイプもあるにはありますが。

フル電動自転車と電動キックボードの違法走行は、もっと取り締まりすべきだと思っていますが、なかなか警察の目が行き届いていないのが実情。
バレたら一発アウトな乗り物なのに・・・そんなもんで人生に汚点を残そうと思う人がいるというか、そもそも違法だと知らない人も多いのかも。
違反の代償
今回は道交法違反(ひき逃げ、通行区分違反など)のほか、自動車運転処罰法が関わってきます。
自動車運転処罰法は、軽車両は対象外ですが、車や原付は対象になっている特別刑法。
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
頸椎骨折の重傷を負わせたわけで、さらに道交法違反も重なっているので警察も激オコなのかと。
しかも二人乗りまでしていたわけで・・・
ナンバープレートも取得せず、二人乗りで、歩道を走り、頸椎骨折の重傷を負わせたわけですが、このような事例でも危険運転重過失致死傷罪には問えないことになります。
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
どれも当てはまらないですね。
ちなみにこの法律における【自動車】には原付も含まれます。
【かつ】となっているので、通行禁止の歩道を走っただけでは成立せず、重大な危険を生じさせる速度も同時に要求されているので。
一般的な感覚だと、歩道を走っている時点で超危険な状態ですが、特別刑法なので成立要件が厳しい。
バカには通報しか
過去に読者様からも聞いていますが、フル電動自転車の違法走行を警察に通報しても、さほど取り合ってもらえなかったとか。
この場合、110番通報なのか、警察署に電話したのかにもよりますが、110番なら一応は動くと思います。
記録も残りますし。
ただ実情としては、警察官の現場での現認か、事故が起きない限り動いてくれないことが多いのかもしれません。
こういう報道があれば今度検討されている【小型低速車】の議論が戻されるのかというと、また別問題なのかなという気がします。

これもいろんな考え方はあって、一種の規制緩和をしたほうが治安維持になるケースもあるし、規制緩和でよりやりたい放題に進むリスクも当然秘めているわけです。
要件を緩めるからその代わりちゃんと守ってねという方向になる可能性もある。
特例での実証実験については、過去の実証実験も含めて事故の報告はゼロになっています。
これについてですが、レンタル品であることと、免許確認があることなどが一種のモラル形成に役立っていると思ってまして、小型低速車というカテゴリで市販された場合は、同じように歩道を走る人が出てくる可能性は十分あります。
警察庁の有識者会議では、免許不要の小型低速車のカテゴリを作るべきと指針が示されていますが、あれについてはレンタル品限定にしたほうがいいんじゃないかと思ってます。
レンタルだと、このようにひき逃げが起きても速攻でバレますし。
それが一種の抑止力になると思うんですね。
ちなみに小型低速車のカテゴリが新設された場合には、自動車運転処罰法の適用から外れてしまうだろうと思います。
今後どうなっていくのかわかりませんが、今回の事故のように違法走行する人をどうやって取り締まっていくかというのは、もうちょっと積極的に取り締まりして欲しいところです。
現状ではフル電動自転車も電動キックボード(特例除く)も、原付扱いですし。
フル電動自転車も電動キックボードも、小回りが利くこともあって通報しても発見しづらいのかもしれませんが、実際には見つけたら通報するしかないのかもしれません。
電動キックボードとフル電動自転車の違法走行は・・・取り締まりで何とかするしかないのと、販売業者のモラルに問われる部分が大きいような気がします。
販売業者がナンバー取得してないと違法ですよというところをもうちょっと大々的に注意喚起しないといけないですが、友達からもらったケースなどはね・・・。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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