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自転車同士の事故で、道路管理者の責任を問えるか?

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通常交通事故の場合、事故当事者間で被害を弁済することになりますが、ごくまれに道路管理者を相手に訴訟を起こすことがあります。

 

かなりハードルが高いのですが。

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トンネル出口付近の事故

※事故現場とは無関係

 

判例は高知地裁 平成20年12月19日判決。

 

事故の概要。

・双方ともに自転車で、自転車通行可の歩道を通行していた。
・トンネル内の歩道は幅員2m、トンネル外の歩道は幅員3.5m。
トンネル内外の歩道幅が異なるため、トンネルを通行してきた自転車からすると左側に死角が生じる
・対向同士の自転車が衝突し、死亡事故になった。

これについて、道路管理者はトンネル内外の視界を確保して安全に通行できるようにすべき義務があり、そのような義務を怠ったとして道路管理者責任を問うた判例です。

そこで、かかる構造の本件歩行者道が通常有すべき安全性を欠いているか否かにつき検討するに、本件トンネルの内部と外部で本件歩行者道の幅員に差があり、このため死角が生じるとしても、自転車は自転車歩行者道においては、その中央から車道寄りの部分を徐行しなければならないものであるから(道路交通法63条の4第2項)、かかる法令上の義務が遵守されれば、通常、出会い頭の衝突事故が発生することはないと考えられる。そして、本件のような構造の自転車歩行者道を走行し、通行する際には、トンネルに進入する者としては、トンネル内を進行してくる自転車等の存在を予見し、また、トンネル内を走行する者としては、トンネル内に進入してくる自転車等の存在を予見し、それぞれが対向車を見通せるような進路をとるとともに、互いに徐行し、対向車を発見した場合には衝突を回避できるような速度で走行すべきことは上記法令の規定を待つまでもなく当然のことである。実際にも、トンネル内部と外部で自転車歩行者道の幅員に1メートル以上の差があるトンネルは高知県内に多数存在するところ、本件事故に至るまで衝突事故の報告や危険防止のための要望が寄せられたことがないのは、通常、自転車歩行者道を走行する者が上記のとおり相応の注意を払って走行しており、それによって衝突事故の発生が防がれているからであると解される。

 

このように考えると、本件歩行者道が通常有すべき安全性を欠いているというためには、通常の人が当然尽くすべき注意を尽くしてもなお危険発生の可能性があるような場合でなければならないと解すべきであり、本件歩行者道の車道寄りでない部分を走行し、しかも死角から飛び出すような自転車の乗り方をし、事故が発生するような速度で本件歩行者道を走行したことなど、異常な走行態様があることまでを予見して、本件歩行者道を設置・管理しなければならないとまでは解されないのであって、かかる異常な走行によって衝突事故が発生したからといって、直ちに営造物の設置又は管理の瑕疵と評価することはできないというべきである。

 

高知地裁 平成20年12月19日

ということで請求棄却です。

死角

このような事故について道路管理者が責任を負うことはかなりマレですが、死角や視界不良ならそれに応じた徐行なり注意を払うことは当然のこと。
まあ、そもそも歩道なので徐行義務がありますが。

 

トンネル内は車道通行も怖いけど、だからといって歩道が安全というわけでもないのですよね。
特に出口入口付近は。

 

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