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違法駐停車と行政が負う責任。

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以前、違法停車は直接的な事故に関わらなくても、誘因事故として損害賠償責任を負うことがあると書きましたが、

 

違法駐停車を追い越ししたら対向車と衝突。違法駐停車車両は損害賠償責任を負うか?
交差点から5mは駐停車禁止エリアになりますが、例えばですよ。 違法駐停車車両を追い越ししようとして対向車と衝突した場合、違法駐停車車両は損害賠償責任を負うのでしょうか? ※「追い越し」と書きますが、道路交通法上の追い越しとは異なります。 違...

 

若干珍しい判例で、違法駐車について道路管理者に賠償責任を認めた判例があります。

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違法駐車と道路管理者の責任

まずは事故の態様から。

・幅員7.5mの歩車道の区別がない道路。
・大型貨物車が故障し、同所で道路左端より左前車輪において約120センチ、左後車輪において約110センチの間隔、道路中央線より右前車輪において約53センチ、右後車輪において約16センチの間隔をおき、道路に平行でない位置で南方に向つて駐車。
・駐車時間は約87時間。
・オートバイが時速60キロで進行し、同駐車車両に衝突して即死した。

これについて、被害者側が駐車車両と道路管理者を訴えたもの。
なお、駐車車両との訴訟は一審で完結している模様です。

このように自動車の交通が激しい本件国道の事故現場附近で、さきに認定のような状態で本件故障車がその路上に長時間(本件事故発生まで87時間位)放置されたままになつていたことは、客観的にみて著しい交通の障害であり、高度の危険性を有することであつて、道路管理者としては、本件道路上にかかる状態が発生したときは、一時も早くこれを排除する看視措置がとられねばならない。しかるに直接管理事務を担当する県橋本土木事務所においても常時応急の事態に対処し得る看視体制にあつたとは認められず、また、警察においても本件故障車の存在を知り、且つそれが一般通行人も危険を感ずる状態に拘らず、積極的にこれを排除しようとしたことも認められないのであり、警察官が道路管理の責任そのものを負うものでないこともちろんであるが、交通の安全を守る立場にあつたものとしての措置が不十分であつたことは否定できず、違法駐車の排除が事実上警察の措置に委せられていた本件の場合、このことも考慮に入れなければならない。

 

もつとも被控訴人が指摘するように(被控訴人の当審主張2項)、追突事故等のため道路上に障害が生じたことを管理責任者において知り得べくもない程に時間的に接着した時点において次の事故が生じた場合においては、不可抗力として道路管理者が免責される場合のあることは当然これを認めなければならないのであつて、控訴人の引用する昭和37年9月4日の最高裁判例も、右のような時点において生じた事故についてまで道路管理者の責任を認める趣旨でないと解せられる。しかし、そのような特別の場合を除いて事故車の放置による障害が発生して後相当の時間を経過してもなおそれが除去されない場合は、道路そのものに欠陥の生じた場合と実質上異ならないと見るべきである。右相当時間の限界は各道路の具体的状況に応じ個別的に決すべきであるが、本件のごとく事故車放置後三昼夜以上を経過している場合は、まさに右相当の時間を経過したものと謂わなければならない。而してこのような場合の交通事故については、予算不足その他如何なる観点によるも不可抗力と見ることはできないので、道路が通常有すべき安全性を欠いたものとして右法条にいわゆる道路の管理に瑕疵があるものに該当し、損害賠償責任が発生すると謂わなければならない。

(中略)

現場は見透しのよく利く場所であるから、通常の注意を払えば、早朝であり霧がかかつていた(なお、原審証人の証言によれば、そのため当時附近では車は前照灯の点灯を必要とする程度であつたが、被害者の単車が点灯していたかどうかは明らかでない。)にせよ、本件故障車を発見し、これを避けて通過できた筈であるのに、訴外被害者は、右のような気象状況に拘らず、時速60キロ以上で進行して本件故障車の後部に激突したもので、訴外被害者は前方不注視を伴ういわゆる暴走運転をなしていたと認められるものである。右訴外被害者の過失は相当に重く、これを前認定の道路管理の瑕疵の程度および相当因果関係との対比において考えると、本件事故の結果につき、右被害者の過失を4分の3(7割5分)として過失相殺をするのが相当である。

 

大阪高裁 昭和47年3月28日

被害者の重過失を認めながらも、87時間に及んだ違法駐車に対し何ら措置を講じなかった道路管理者の責任として25%認めています。
なお、最高裁も是認。

おもうに、道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて一般交通に支障を及ぼさないように努める義務を負うところ(道路法42条)、前記事実関係に照らすと、同国道の本件事故現場付近は、幅員7.5メートルの道路中央線付近に故障した大型貨物自動車が87時間にわたつて放置され、道路の安全性を著しく欠如する状態であつたにもかかわらず、当時その管理事務を担当する土木出張所は、道路を常時巡視して応急の事態に対処しうる看視体制をとつていなかつたために、本件事故が発生するまで右故障車が道路上に長時間放置されていることすら知らず、まして故障車のあることを知らせるためバリケードを設けるとか、道路の片側部分を一時通行止めにするなど、道路の安全性を保持するために必要とされる措置を全く講じていなかつたことは明らかであるから、このような状況のもとにおいては、本件事故発生当時、同出張所の道路管理に瑕疵があつたという
のほかなく、してみると、本件道路の管理費用を負担すべき上告人は、国家賠償法2条及び3条の規定に基づき、本件事故によつて被上告人らの被つた損害を賠償する責に任ずべきであり、上告人は、道路交通法上、警察官が道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、道路の交通に起因する障害の防止に資するために、違法駐車に対して駐車の方法の変更・場所の移動などの規制を行うべきものとされていること(道路交通法1条、51条)を理由に、前記損害賠償責任を免れることはできないものと解するのが、相当である。したがつて、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 

最高裁判所第三小法廷 昭和50年7月25日

今の時代に87時間も放置なんて考えにくいけど、道路管理者はこのような違法駐車に対し賠償責任を負うことがあるわけです。

違法駐停車の責任

以前挙げた事例については、駐停車禁止の交差点5m以内にタクシーが停車したことによる誘因事故。

 

違法駐停車を追い越ししたら対向車と衝突。違法駐停車車両は損害賠償責任を負うか?
交差点から5mは駐停車禁止エリアになりますが、例えばですよ。 違法駐停車車両を追い越ししようとして対向車と衝突した場合、違法駐停車車両は損害賠償責任を負うのでしょうか? ※「追い越し」と書きますが、道路交通法上の追い越しとは異なります。 違...

 

違法駐停車車両が直接的な事故当事者にならなくても、事故の誘因になったとして賠償責任を認めています。
民事は金銭的な損害賠償ですが、古い警察関係の資料を見ると「違法駐停車は損害賠償責任を負う」というところに着目して違法駐停車を減らそうとしていたフシもあります。
取り締まりでは追い付かないし限界があるので、「多額の賠償責任を負う」ことをアピールして違法駐停車を減らそうとしていたように見えますが、そもそも違法駐停車車両が損害賠償責任を負うことはあまり知られていない気がします笑。

 

以前挙げた判例については、タクシーが交差点付近に停車したことから起きてますが、

違法駐停車車両が事故の誘因になれば賠償責任を負うし、警察や道路管理者が違法駐停車車両があることを知りながら放置すれば行政も賠償責任を負う可能性があります。

 

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