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歩行者の直前横断と38条の2。

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いきなりですが質問です。

深夜、クルマは法定速度以下の時速56~57キロで片側二車線道路(幹線道路)を進行していたところ、塀があり見通しが効かない非舗装の市道から歩行者が横断。
歩行者が車道に進出したとき、両者の距離は約13.4mしかありません。

 

この場合、過失割合はどうなるでしょうか。

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歩行者が直前横断

この場合、急制動をかけても衝突は不可避。
一応は交差点に該当し、横断歩道はありません。

 

過失割合ですが、裁判所の判断はこちら。

横断歩行者 クルマ
100 0

千葉地裁松戸支部 平成27年3月13日判決では、クルマ側に回避可能性がないとし、東京高裁 平成27年8月6日判決も一審判決を支持して控訴棄却。

 

なお、控訴審において徐行義務(42条1号)と横断歩行者等妨害(38条の2)を主張していますが、優先道路なので徐行義務はなく、至近距離の直前横断なので38条の2の適用はありません。

 

結構勘違いする人がいますが、横断歩道がない交差点での横断歩行者優先(38条の2)は「適法に横断する者」が対象。
信号無視、歩行者横断禁止、直前直後横断等があれば歩行者に優先権はありませんが、優先権がなくても事故回避義務は当然免れない。

 

このケースでは事故回避不可能と言わざるを得ないため、過失はありません。

特殊な事例

片側二車線道路での歩行者横断事故については、クルマの過失を否定した新潟地裁長岡支部 平成29年12月27日判決もありますが、

 

横断歩行者に過失100%をつけた珍しい判例。
横断歩道がなく、かつ横断禁止ではない道路の場合、民事上では車にもかなりの過失がつきます。 目安は歩行者:車=20:80。 ところが、横断歩行者に過失100%とした珍しい判例もあります。 横断歩行者に過失100% ※画像と事故現場は関係ありま...

 

これらに共通している要素を見いだすとすると、両者ともに「横断待ちしている歩行者を視認できない」ことが挙げられます。
新潟地裁長岡支部 平成29年12月27日判決については、中央分離帯上で横断待ちしていた歩行者について、被害者と同じくらいの背丈の木が等間隔であり、しかもガソリンスタンドの光から逆光になるため、視認不可能。

 

今回の判例については、塀で見えない交差道路からノールック横断のような形なので、クルマの運転者が歩行者を発見した際には既に回避可能性がないという判断。
しかも徐行義務などもない場面なので、法定速度以下で通行していたドライバーに過失はない。

 

下記のような事故の場合、子供が歩道上で明らかに「横断のタイミングを伺っている」ので、クルマの運転者としても横断しようとしていることを察知できますが、

https://twitter.com/HOSOMI_SHOKAI/status/1641761610300801025

優先道路を進行しているなど徐行義務がない場合、回避可能性がない場合には無過失を認めることがあります。

 

逆にこういう交差点の場合、

優先道路の設定かなく、左右の見通しが効かない交差点なので徐行義務があるわけで(42条1号)、クルマの運転者が無過失になることはまずありません。
最徐行している最中に歩行者が信じがたいスピードで横断したとかなら別かもしれないけど、まずあり得ない。

 

ところで、よく「クルマが悪くなる」というセリフを聞きますが、例えば上のツイートみたいな状況については「予見可能」「回避可能」なケース。

 

・子供が車道に面してキョロキョロしている
→横断しようとしていることは明らか

 

・子供が車道左側を注視しているものの、右側を見ていない
→右側をノールックで横断する可能性大

 

この場合は判例上、「危険を防止するためやむを得ないとき」に該当するので、クラクションで注意喚起しながら直ちに減速すべき注意義務があることになるので、過失割合でいえば圧倒的にクルマが悪くなる。

 

けど、ホンキで予見不可能、回避不可能なケースについては、無過失を認めます。

 


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