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歩道通行自転車と、路外出入右左折車の優先関係。

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ちょっと前にも取り上げたこちら。

 

歩道を通行する自転車と、路外に出るために左折するクルマ。
このような事故は悲しいところですが、 県道を走っていた車がこちらの駐車場に入ろうと左折したところ走ってきた自転車と衝突したということです 要は歩道通行自転車と、路外に出るために左折したクルマが歩道上で衝突した事故になります。 一時停止 歩道...

 

道路外に出入するために歩道を横切る車両と、歩道を通行する自転車の間に「優先関係」があるのか?という質問を頂きました。

道路交通法上は両者に優先関係はありません。

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相対的な問題

この場合、安全運転義務を除けば両者に課された義務はこうなる。

歩道を横切る車両 歩道を通行する自転車
歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない(17条2項) 普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。(63条の4第2項)

要は「一時停止義務」vs「徐行義務」なので、相対的に歩道を横切る車両が劣後することがまず一つ。
どちらの規制のほうがより「強い」規制なのかという問題ですね。

 

結局、歩道を横切る車両は一時停止して歩行者の有無を確認しなければならないわけですが、その段階で自転車が見えたら事故回避義務があるのは当然。

 

明確に「歩道通行自転車を妨げないこと」とは規定されてませんが、相対的な関係性では歩道を横切る車両が劣後します。

 

なお、以前も書いたように、仮に歩道通行自転車と衝突した場合には、17条2項の違反ではなく70条(安全運転義務)違反を適用します(道路交通法ハンドブック、警察庁交通企画課)。

 

ところで。

25条の2第1項

冒頭のリンク先にある広島高裁判決の中で、歩道を横切る車両に25条の2と書いてありますが、

見通しの悪い状況であるからこそ,事故の危険性があり,一時停止が必要となるのである。安全確認が十分にできず,正常な交通を妨害するおそれがあるならば,路外施設の出入りのための進行をしてはならないというのが道路交通法25条の2第1項の趣旨である。

 

広島高裁 令和3年9月16日

厳密な話をすると、歩道を横切ることが25条の2でいう「横断」には当たりません。

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

なぜ歩道を横切ることが25条の2第1項でいう「横断」にならないかというと、17条4項にこれがあるわけで、

道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。

あくまでも17条4項以降で第九節の二までに該当する規定については、歩道と路側帯には適用しないことになります。
だから「道路交通法25条の2第1項の趣旨」という形で書いているのだと思いますが、結局のところ過失運転致傷の成立について争っているわけで、道路交通法違反の有無について争っているわけじゃないので、17条2項と25条の2第1項の趣旨からすれば、そういう注意義務があるよね?という意味なんだと思われます。
勘違いする人がいますが、過失運転致傷における注意義務と、道路交通法の義務は必ずしも一致しません。

所論は、道路交通法上の義務と自動車運転過失致死罪における注意義務を同一のものと理解している点で相当でない。すなわち、信頼の原則が働くような場合はともかく、前者がないからといって、直ちに後者までないということにはならない。

 

東京高裁 平成22年5月25日

一般的にみて、道路交通法所定の義務と業務上過失致死傷罪における業務上の注意義務とは、一応別個に考えなければならない

 

最高裁判所第一小法廷 昭和48年3月22日

※運転に関する業務上過失致死傷罪は、現在では過失運転致死傷罪として扱います。

 

なので結局、歩道を横切る車両のほうが注意義務としては大きくなるわけですが、このように歩道通行自転車と歩道を横切る車両が事故になった場合、自転車の過失割合はだいたい10%程度です。

 

まあ、自転車の過失が100%にした判例もありますが、いわゆる当たり屋さんの判例なので。

 

故意に事故を起こしたとみなされた場合の過失割合。
自転車による当たり屋事案は時々聞きますが、当たり屋事案は立証が難しい。 けど時々、被害者が故意に起こした事故だとして加害者側が免責になることがあります。 自転車が故意に起こした事故 判例は名古屋地裁 令和3年11月8日。 道路外に左折したク...

 

なので道路交通法の具体的義務は押さえた上で、それ以上に注意義務があることになります。
道路交通法違反がなくても過失運転致死傷が有罪になることはありますから。
それは自転車も同じで、道路交通法違反がなくても過失致死傷罪が成立することはあり得ます。
問題にしているのは過失、つまりは不注意なので。

 


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