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それは過失運転致傷?殺人未遂案件なのでは。

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こういう報道をみると、どういうレベルの運転をしているのか疑うしかありませんが、

20日、名古屋市中区の立体駐車場で、通路で寝ていたとみられる34歳の男性が、駐車場から出ようとした車に5階ではねられたあと1階までひきずられ、意識不明の重体です。

(中略)

調べに対し、「相手とぶつかったことは気づかなかった」などと話しているということです。

 

立体駐車場で寝ていた男性(34)が5階から1階まで車で引きずられ意識不明の重体 車運転の男(45)を現行犯逮捕 名古屋・中区(中京テレビNEWS) - Yahoo!ニュース
20日、名古屋市中区の立体駐車場で、通路で寝ていたとみられる34歳の男性が、駐車場から出ようとした車に5階ではねられたあと1階までひきずられ、意識不明の重体です。  警察によりますと、20日午前

ぶつかったことを認識していたら殺人未遂になるので、警察の捜査次第ですね。
一定距離引きずったことの認識があれば殺人未遂になり得ますが、以前もどの記事か忘れたけど書いた気がする。

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そもそも

チラっと探したらこれか。

 

二重追い越しして対向車に衝突し、傷害罪を適用した事例。
交通事故に故意犯を適用するにはまあまあハードルが高いのですが、二重追い越しして対向車に衝突した事故について、傷害罪を適用した事例があるようです。 追い越しし対向車に衝突して傷害罪 判例は岐阜地裁 昭和46年3月16日。 判決文は見当たりませ...

 

死亡ひき逃げ事件(路上横臥ひき逃げ)に殺人罪として逮捕した事例(ただし殺意の認定に無理が生じ業務上過失致死として起訴)が掲載されてましたが、なぜ殺意の認定にムリが生じたかというと、即死だったと認定されたから。
死んだ人を引きずったことについて殺意を認めることはできない。

 

報道の件は、ぶつかった認識があれば殺人未遂になりかねない事件ですが、警察の捜査次第かと。

 

ところで。

当該駐車場は道路交通法の適用があるか?

刑法もしくは過失運転致傷罪の案件なので、道路交通法の適用がある「道路」に該当するか否かはさほど関係ないのですが、

一 道路 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。

駐車場が道路交通法上の道路になるのか?については、一律で論ずることは困難です。

 

例えばコンビニの駐車場って、実態として近隣住民が歩いてショートカットするような通り道になっていたりします。
そういうのは「現に不特定多数の通行が認められる」ので「一般交通の用に供するその他の場所」になることが多いですし、スーパーの平面駐車場も同様。

 

ところが今回の事案、単なる立体駐車場ですよね。
道路交通法の適用はたぶん厳しい。
理由はこちら。

原判決は、右駐車場の中央部分は、当該駐車場に駐車する不特定の車両が通行利用しまた右駐車場西側に隣接するホテルなどの利用客等も通行しているものであることを理由に、右中央部分を、道路交通法2条1号にいう「一般交通の用に供するその他の場所」に該当し道路であるとして、それを前提に被告人の過失を認定している。ところで右駐車場は、公道に面する南側において約19.6m、川に接している北側において約14.1m、南北約47mのくさび型の全面舗装された広場であつて、そのうち東側および西側部分には、自動車一台ごとの駐車位置を示す区画線がひかれ、南側入口には、県立無料駐車場神奈川県と大書された看板があつて、その広場の全体が自動車の駐車のための場所と認められるところであるから、駐車位置区画線のない中央部分も、駐車場の一部として、該駐車場を利用する車両のための通路にすぎず、これをもつて道路交通法上の道路と解すべきものではない。ホテルなどの利用客等のうちには、右駐車場を通行する者があるとしても、それはたまたま一部の者が事実上同所を利用しているにすぎず、これによつて右駐車場中央部分が、一般交通の用に供する場所となるわけのものではない。これに反する原判断は、事実を誤認したか法律の解釈適用を誤つた違法があるものといわなければならない。ところで被告人は、右駐車場から公道に出て進行したのであるから、駐車場から公道に出るに際し、一時停止または徐行をして左右の安全を確認すべきであつたのであり、これを怠つた被告人には過失がある。とすれば、被告人にかかる過失を認めた原判断は、その結論において正当であるから、その前提における右の誤りは、判決に影響を及ぼさない。)

 

最高裁判所第二小法廷  昭和46年10月27日

この判例は業務上過失致死なので道路交通法がどうのこうのは関係ないのですが、東京高裁が下した「道路」だとする判断は誤りだとしています。

 

以前このような判例を挙げてますが、

 

大学構内も道路交通法の適用があるはずですが…
こちらについて。 いろいろコメントを頂いたのですが、ちょっと認識が違う点について解説。 はじめまして。 考察はごく自然だと思いますが、気になったことをひとつ。 鳥取大学構内は、文部科学省の私有地なので、道交法の対象外と思われます。←以前5年...

 

小学校の校庭だから必ず道路扱いになるとは当然解釈できないし、駐車場だから必ず道路ではないとも解釈できない。
結局、実態を加味して個別に考えるしかない問題ですが、道路交通法の適用があるかないかについては、ほとんどの場合問題になるのは無免許か飲酒運転です。
それらを取り締まる必要がある「一般交通」の用に供するその他の場所なのかについてですが、単なる立体駐車場であれば「一般交通」ではなく「限定した駐車場利用者の交通」になると思われ、道路扱いにはならないことが多いかもしれません。

 

そこが抜け道になっていて「一般交通」の実態があるなら別ですが、立体駐車場を抜け道にすることはあり得ないので。

ただまあ、道路交通法の適用があるかないかはこのケースではあまり関係がなく、「5階ではねられたあと1階までひきずられ」たのに、運転者にその認識がないという方が不自然な気がします。

 

なので過失運転致傷事案ではなく、殺人未遂案件なんじゃないかとすら疑問に思うところです。

 

ちなみに一部解説書に「小学校の校庭みたいな場所に道路性を認めると、校庭を使うのに道路使用許可ガー!」みたいな論調が書いてありますが、私有地に道路性を認めることの意味は主に「無免許運転や飲酒運転などの危険行為」を取り締まる必要がある場所だからであって、私有地の管理権を道路使用許可が上回るワケがないので無関係です。

 

私有地は所有者が管理権を持つのは当然で、私有地を占有するのに警察の許可が必要になるわけもない。
道路使用許可の条文に明文化してなくてもそれは明らかなのですが、「わざわざ書かなくても明らか」なんだと思う。

 


コメント

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