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2輪車追い抜き時の非接触事故と責任。

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道路交通法上、2輪車を追い抜き、追い越しする際の側方間隔について明確な定めはありませんが、追い抜き時に起きた非接触にについて、追い抜き方法に過失があったのか争われた判例があります。

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追い抜き時に起きた非接触事故

判例は名古屋高裁 昭和44年6月24日。
業務上過失傷害事件です。

 

まずは事故態様。
自転車が2台通行しており、オートバイが時速35キロ、3輪車が時速40キロで進行。

1mの側方間隔をおいて追い抜きしようとしたところ、オートバイが先行自転車を追い越しするために後方確認せずに進路変更。

オートバイは後続車の接近に気がついて接触を避けるために左にハンドルを切り、狼狽して先行自転車に衝突した事故です。

これについて3輪車の運転者は事故に気がついてなかったのですが、業務上過失傷害罪に問われたもの。
つまりは3輪車がオートバイを追い抜きする際に注意義務違反があったのか問われています。

自動車運転者は、自車の進路を変更した場合に、その変更した進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の間に、自車が急に停止した場合においても、後車(その変更した進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等をいう。)がこれに追突するのを避けることができるため、必要な距離を保つことができないこととなるときは、進路を変更してはならないのである(道路交通法26条2項参照)。従って、進路を変更しようとする自動車運転者としては、後車との間に安全な車間距離を保持するため、あらかじめ後方の交通の安全を十分確認したうえ、進路を変更すべきであり、もし右確認の結果、後車との間に安全な車間距離を保持することができないと判断したときは、進路の変更を差し控えるべき注意義務があるものというべく、後方の安全を確認しないまま、みだりに進路を変更するがごとき暴挙は、絶対にしてはならないのである。(中略)しかるに、Aは、右後方の安全を確認しないで、漠然進路を右に転じ、これがため折柄右Aの車両の右後方を、同車との間に約1mの車間距離を保って進行し、同車をいままさに追い抜こうとする態勢にあった被告人車両の進路に接近し過ぎて、これと接触しそうになり、急ぎハンドルを左に切って辛うじて右接触を免れたものの、狼狽のあまり、ハンドル操作の自由を失い、自車を前記自転車に追突させたのであるから、右Aの本件事故直前にとった行動は、甚だしく軽率、無謀であったというほかなく、これが本件事故の主たる原因となっていることは、ほとんど疑いを容れないところである。

しかし、進んで、原判決が説示しているように、被告人にも過失が認められるかどうかについて考えてみると、本件被告人のように左前方を先行する自動2輪車との間に約1mの車間距離を保ちながら、これを追い抜こうとする軽三輪自動車の運転者としては、特別な事情がないかぎり、右先行自動2輪車の運転者が、自車の直近前方で急に進路を右に転ずるような交通法規を無視した暴挙に出ることはなく、右法規を守り、適切な行動に出るであろうことを信頼して運転すれば足りるのであって、本件Aのように、あえて交通法規に違反して、自車の直前で急に右に進路を変更して、自車の進路を侵そうとする車両のあり得ることまでも予想して、一時追い抜きを差し控えたり(そのためには当然減速する必要がある。)追抜きに際しては、警音器を吹鳴して警告を与え、さらに多くの車間距離を保持するために、右Aの車両を道路左側を避譲させ、右避譲した車両の動静を注視し、かつ両車両との間隔保持にも十分注意し、その安全を確認し、もって事故の発生を防止すべき注意義務はない

名古屋高裁 昭和44年6月24日

先行2輪車が時速35キロ、追い抜き後続車が時速40キロで側方間隔1mでは刑法上の過失はないとの判断です。

 

似たような判例には、東京高裁 昭和45年3月5日があります。

原判決は、被告人が原付の右側を追い抜くに当り、同原付の前方及び同車の動静に十分注意し、かつ、その右側に間隔をとり進路の安全を確認しながら進行して、事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り同人の右側に近接して漠然進行した過失があると認定しているが、被告人は前記の如く原付の右側に、1mないし1.5mの間隔をとって道路センターライン寄りを直進して原付を追い抜こうとしたものであって、まず、この場合の追い抜きの方法としては正常なもので、特にこれを非難すべき筋合は認められない。

 

昭和45年3月5日 東京高裁

民事の場合

名古屋高裁判例のような非接触事故について、民事責任がどうなるかについてはやや疑問がありますが、民事無過失にはならないと思う。

 

同じく追い抜き時に起きた非接触事故について、1.2mの側方間隔を開けた追い抜きでも民事無過失は認めていないので↓

 

自転車追い抜き時に非接触事故の判例。
自転車を追い越し、追い抜きする際には側方間隔が問題になりますが、接触してないものの事故になった判例を。 非接触事故の判例 非接触事故の判例としてますが、事故態様には争いがあります。 判例は東京地裁 平成27年10月6日。 まずは大雑把に状況...

 

結局のところ、刑事責任と民事責任の両方を考えると、無過失になるには1.5m以上+減速とかになるかと思います。


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