ちょっと前に、青梅街道の自歩道標識撤去の理由について書きましたが、
このようなメディア記事が出ています。
Contents
自転車には影響しない
以前も書いたように、標識撤去に至った理由はそもそもこの歩道は3m以下の幅員だからということもありますが、63条の4第1項3号に「やむを得ない場合は可」とある以上、自転車について実態としては影響はないでしょう。
第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
影響するのは標識が絶対的要件になっている特定小型原付のみ。
ただまあ、あえて書いておきますと、どっちのほうが危険性が高いのか?
①「やむを得ないとき」を適用して歩道通行する自転車
②標識がないので歩道通行できないけど、時速6キロモードで歩道通行する特定小型原付(違反)
どうせ「自転車の歩道徐行義務」なんて誰も守らないわけで、強制的に速度が固定される特定小型原付のほうがマシだったりする。
まあ、「特定小型原付がモード変更しないまま歩道を走る件」は多々聞くのでその意味では他害性はイーブンなのかな。
ところで。
あまり書くとアレなんですが、仮に「自転車通行可」の標識がない歩道を「時速6キロモード」にして通行した場合。
法律上は違反ですが、警察が必ず切符を切るのか?というとまたちょっとビミョーらしく、今まで質問した警察官は皆さん口を濁す。
わかってない警察官に至っては、「自転車通行可の標識が必須要件」であることすら知らなかったりするのが現状。
結局、「自転車通行可」の標識を撤去したところで自転車については得意の63条の4第1項3号「やむを得ない」が発動するだけだし、特定小型原付を排除することになるだけの効果しかない。
まあ、特定小型原付が時速6キロモードで通行したとして、すぐに切符の対象になるかはいつもの「現場判断」というところなんでしょうね。
便利な単語だよなあ。
「やむを得ない」とか「現場判断」とか。
ある種のパフォーマンス的な意味で標識を撤去したに過ぎないと見てもいい。
標識をチェックしている…の?
リアルな現状として、歩道を通行する自転車が「自転車通行可」の標識をチェックしてから通行しているのか?と聞かれたら、ほとんどの人は気にしてないでしょう。
所詮そんなもん。
標識を撤去して名目上は特定小型原付を排除したと言えますが、何らかの「効果」を期待して撤去したとも言えず、現実的には何も変わらないんだろうなと思う。
そして現実的な話として、歩道を通行していた自転車を「歩道はダメ」として車道に促すと、今度は車道を逆走します。
理由はシンプルで、歩道通行時には方向指定がなかったから左右気にせず走っていたわけで、そのまま車道に御光臨されたら自然と逆走自転車が増える。
参っちゃうよね。
「歩道通行時には方向指定なし」という便利な状況に慣れてしまうと、そうなるよ。
歩道通行時には信号規制に引っ掛からなかったのに、車道に降りたら信号に引っ掛かかるようになるわけで、信号無視も増える。
無理に「車道ガー」原則を取らずに標識撤去で濁すあたりを見ると、警察的にも他にすることがないのでしょうね。
ていうか、「誉めて伸ばす」とか、他にすることないのでしょうか?笑
ヘルメットをかぶって自転車に乗る人にほめ言葉をかけ、学校や職場で着用を広げてもらう「誉(ほ)めるメット作戦」を、岐阜県警岐阜中署が11日から始めた。着用賞(ガム1枚)も手渡す。受賞した人は、交通違反を取り締まる立場の警察官からほめられて驚いていた。
ほめて広める自転車のヘルメット着用 岐阜県警が「逆転の発想」(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュースヘルメットをかぶって自転車に乗る人にほめ言葉をかけ、学校や職場で着用を広げてもらう「誉(ほ)めるメット作戦」を、岐阜県警岐阜中署が11日から始めた。着用賞(ガム1枚)も手渡す。受賞した人は、交通違
ヘルメットかぶって自転車に乗ると、警察官に呼び止められて誉められるそうな。
この国は大丈夫なのか心配になる。
イチイチ誉められたくない人はヘルメットを被らなくなるのだろうか?笑
あっ、面倒だから車道の左側を通行する自転車に「キミいいね!それ左側通行だYo!」などと誉めなくて結構です。
純粋にウザイので。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
過去の記事に書かれてあったらすみませんが、「やむを得ない」はいつでも発動可能とお考えでしょうか?十分な幅の路側帯があって駐車車両も無ければ「やむを得ない」と言えない気がします。
コメントありがとうございます。
こちらですね。
https://roadbike-navi.xyz/archives/33760/
いま一つわかりませんが、「事実上違反認定することは非常に困難」だからOKということでしょうか?
違反認定することが困難というか、青梅街道については事実上「やむを得ない」に当てはまることがほとんどなので、標識の有無は結果的に影響しないという話です。
違反認定することが非常に困難だから、取り締まりは難しい、という話ですよね。
歩行者との事故になっちゃった場合に「俺はやむを得ないから歩道走ったんだよ!」「やむを得ないかどうかは問わんが、だったら歩道は最徐行だろ!」となって、どのみち民事責任は100%となり刑事の免責もほぼほぼないでしょうから、やむを得ないというの非常事態に近い意味合いだ、と考えるべきだと考えます。
コメントありがとうございます。
実情の話かどうかに尽きると思いますが、標識の撤去は事実上自転車には影響しないでしょう。
普通自転車通行可標識の撤去って都心部の話でしょ?
地方警察はやらないと断言してますから、取り締まりに如何?影響するかに注目です。
そもそも、自転車の交通問題って、都心部での歩道通行が常態化した現在、歩行者相手に事故をする自転車が多いって云う事でしょうけど、地方は、誰一人通っていない立派な歩道も多く、速度が速い自転車に歩道の暴走と云う違反切符切れると思いますか?
地方でこれをやったら実害もないのに殆どの自転車が切符を切られてしまう事になる
そんな事できっこない、だから東京都を基準にした様な取り締まりを全国統一ではできなはず、結局、この青切符制度も現実的には自転車利用者への規範意識改善には程遠いと思うね
コメントありがとうございます。
「青梅街道」の事例を取り上げたわけなので、青梅街道以外の話題はしていません。
これが地方の事例であれば当該地域の話のみになりますが、話を飛躍させるほうが理解し難いのですが…