自転車同士の衝突事故のようですが…
午前8時45分ごろ、岡山市北区津島福居の市道交差点で、2台の自転車が出合い頭に衝突しました。
この事故で、一方の自転車に乗っていた50代とみられる女性が病院に運ばれましたが意識不明の重体です。もう一方の自転車には、18歳の男子大学生が乗っていて、ケガはありませんでした。
大学生の側に一時停止の停止線があり、2人はヘルメットを着用していなかったということです。現場は住宅地の細い十字路で、警察が事故の原因を詳しく調べています。
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ずいぶんと後輪が曲がってますが、かなりスピードが出ていたのか、衝突後に何かにぶつかったのかはわかりません。
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双方の義務
自転車の進行方向がよくわかりませんが、報道からするとこうか。
加害者(大学生) | 被害者 |
一時停止&交差道路の進行妨害禁止義務(43条) | 徐行義務(42条1号) |
そういえば42条1号の徐行義務について質問を頂いていたのですが、
第四十二条 車両等は、道路標識等により徐行すべきことが指定されている道路の部分を通行する場合及び次に掲げるその他の場合においては、徐行しなければならない。
一 左右の見とおしがきかない交差点に入ろうとし、又は交差点内で左右の見とおしがきかない部分を通行しようとするとき(当該交差点において交通整理が行なわれている場合及び優先道路を通行している場合を除く。)。
※優先道路=交差点内にセンターライン又は車両通行帯がある場合
「左右の見通し」とは、左右どちらかだけが見通しが悪くても徐行義務があります(名古屋高裁 昭和44年2月6日)。
何メートルくらいの見通しなのかですが、古い判例では50mとしているものもあるし、一概には言えません。
ところで、みんな大好き過失割合。
基本過失割合はこんな感じになりますが、
一時停止側 | 非一時停止側 |
70 | 30 |
自転車同士の事故の場合、基本過失割合通りになるかはだいぶ怪しい。
というのも、逆走やら高速度進入やらいろいろ重なるとだいぶ修正されるので、具体的状況次第でだいぶ変わります。
大学生側に一時停止違反がある場合、重過失傷害罪に問われる可能性があります。
ところで。
自転車同士の事故の場合
自転車同士の事故の場合、裁判所の考え方ってこんな感じ。
「チャリはどうせ低速だから回避可能だろ」
要は人力の自転車なんてたいした速度も出ないし、仮に一時停止側が違反しても回避可能だろという価値観が強い気がします。
なので被害者にもまあまあ過失がつくことは多い。
実際のところ、こちらに一時停止自転車 対 非一時停止自転車の事故判例を5つ挙げていますが、
一時不停止自転車のほうが過失割合が高くなるわけでもなくて、ぶっちゃけた話、基本過失割合通りにはいかない。
なのでやられ損みたいになる可能性もあるので、自転車に乗る上では他人の自転車は最も信用しちゃいけない存在です。
自転車同士の事故って、それこそ逆走自転車と衝突してもこんな感じになるわけで、
足踏み式自転車においては、左側通行が徹底されているとはいえない現状であること、足踏み式自転車においては通常速度がそれほど速くないことから、自己の進路上に対向する足踏み式自転車が存在したとしても、停止や回避の措置により衝突を回避することは極めて容易であることなどを考慮すると、本件道路のような狭路で自転車が正面衝突した場合、過失割合は、基本的には五分五分と考えるべきである。
その上で、以上のような被告と原告の過失の内容及びこれが結果に与えた影響を考慮すると、被告の過失の方がやや大きいというべきであり、4割の過失相殺をするのが相当である。
大阪地裁 平成28年9月16日
やられ損になるので遵法自転車からすればいい迷惑なんですが、一時不停止自転車vs非一時停止自転車とかも状況次第では非一時停止自転車のほうが過失割合が高くなるので、困ったもんですね。
見通しが悪い交差点で相手方が逆走だと回避可能性が著しく減るのですが…
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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