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名前が意味を成すなら、アリかもしれない。

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以前も何かで見掛けた気がしますが、判決文から引用する際。

「当事者の主張」、つまり原告の主張から抜き出して「裁判所が言っている」と語る人の気持ちはさっぱりわからない。

 

ところで。

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小児用の車

以前から書いているように、おおよそ6歳未満、16インチ以下の自転車は道路交通法上では「小児用の車」となり、扱いとしては歩行者になるわけですが、

 

小児用の車とサイクリングロードでの事故。
小児用の車とされるおおむね6歳未満の自転車は、道路交通法上は「歩行者」になる話を何度か書いていますが、 質問を頂きました。 小児用自転車が歩行者扱いって常識なのでしょうか。。。 2年程前にサイクリングロードで当時6歳の息子とロードバイクがぶ...

 

自転車の類型に入るものであつても、「小児用の車」にあたれば、これに乗つて進行している者は歩行者とされ

 

福岡高裁 昭和49年5月29日

Wikipediaによると、このような記述があります。

7歳8ヶ月の子が運転する、タイヤ直径39cmの自転車を小児用の車として認めた例もある。

 

小児用の車 - Wikipedia

これ、どう考えても浦和地裁S57.3.31としか思えないのですが、

 

浦和地方裁判所 昭和55年(ワ)904号 判決 - 大判例
法学研究者のための完全フリー判例集。公刊されたもので,日本国憲法下で20世紀に判決されたものを掲載しています。

 

どう読んでも、「小児用の車」とは原告の主張であり、裁判所は「自転車」だとしているように見えるのですが、違うのでしょうか。

第二 原告らの請求の原因
4  被害者の無過失
(一) 被害者が乗つていた自転車は、道路交通法2条1項11号の2に規定された「小児用の車」に該当する。すなわち、自転車は、原告が事故時の約2年前(被害者が6歳に満たない時)に買い与えたものであつて、車輪の直径39センチメートル、サドルまでの高さ68センチメートル(サドルは上下動する)の足踏式であり、専ら被害者がこれに乗つていたものである。
仮に自転車が「小児用の車」に該当しないとしても、それはこれと同視することのできる子供用自転車であつて、一般の自転車と同じように論ずるのは相当でない。

第三 被告らの答弁及び主張
三  責任原因
1  請求原因三の1、2の各事実を認めるが、同4、5の各事実を否認する

原告は「小児用の車」として無過失を主張し、被告は否認している。
その上で裁判所は「自転車」として検討しているようにしか見えないのですが、私の頭に難があるから読み間違いしているのかもしれないから悩ましい。

 

一応、「小児用の車」について調べた限りはこんな感じ。

 

判例 年齢 自転車サイズ・速度 裁判所の判断
東京高裁S52.11.30 5才7ヶ月 ハンドル高80センチ、車輪直径40センチ 軽車両
東京地裁S53.12.14 4才11ヶ月 補助輪付幼児用自転車(7、8キロ) 小児用の車(歩行者)
岐阜地裁H19.3.9 6才2ヶ月 16インチ 軽車両
名古屋地裁H25.3.12 7歳 マウンテンバイク 自転車
東京高裁H26.12.24 6才 18インチ 軽車両
福岡高裁S49.5.29 9歳8か月 22インチ 軽車両※
浦和地裁S57.3.31 7才8ヶ月 16インチ 自転車

※一審は「小児用の車」としたものの、二審は軽車両と認定。

 

まあ、どうでもいいけど

ちなみに冒頭の「聖域」については、「横断歩道を通行する自転車にとっても聖域」と原告が主張したものの、ダメ出しされている判例があります。

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。 いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。 横断歩道と自転車の関係をメインにします。 ○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。 ○横断歩道を横断しようとする自転...

 

 

個人的には聖域なのかどうかは言葉の問題に過ぎないので、そんなことよりも38条をしっかり遵守すれば十分と考えますが、名前が意味を成すならば「歩行者聖域歩道」とか分かりやすい名前に変えたら意外と効果が上がるような気がしないでもないです。

 

「サイクリングロード」にしても、本来は「歩行者自転車専用道路」なのにサイクリングロード呼ばわりされた結果、自転車が優先であるかのような錯覚に陥る人もいます。
名前が謎の効果につながるならば、横断歩道の「歩行者聖域歩道」という名前に変えるだけで「聖域だろが!」と分かりやすくなったりするのだろうか。

 

道路交通法は名前の付け方を間違えたのかもしれません。
「特例特定小型原付」にしても「歩道モード」みたいに分かりやすくすべきだったのですよ。
名前が内容を示すほうが効果が上がるような気がしないでもないのです。
本来は「歩行者聖域歩道」と「自転車聖域帯」にすべきだったのに、無意味にキラキラ感が出ることを懸念したのだろうか?

 

「歩行者サンクチュアリ歩道」とかにされたらさすがにどうかと思いますが…

 


コメント

  1. 山中和彦 より:

    サイクリングロード、歩行者無視して、我が物顔で走っていくのは、よく見かけますね。
    「歩行者自転車専用道路」でなくて、「歩行者低速自転車専用道路」にしてほしいくらいです。
    そうなると、「ていそくの定義ガーみたいな話が出てきそうですが。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      「低速」とは歩行者のことだ!みたいなアホが出るかもしれません笑

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