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青信号で横断した自転車と赤信号無視の自転車が衝突。青信号で横断した自転車に過失を認めた理由とは?

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世の中にはなかなか不思議な事件がありますが、事件は会議室で起きたわけではなく現場で起きています(古)。

 

さて、赤信号無視と青信号の自転車同士が衝突した場合、基本過失割合はこうなります。

赤信号無視 青信号
100 0

しかしまあ、必ずしもそうはならないことも。

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赤信号無視vs青信号で横断した自転車同士の事故

判例は神戸地裁 令和4年7月7日。

 

事故の態様はこちら。

歩道から青信号で横断歩道に進行した原告自転車と、車道を通行し赤信号無視した自転車の衝突事故です。

 

原告は被告の一方的過失を主張し、被告は原告にも落ち度があるとし20%の過失相殺を主張しています。

 

さて、過失割合はこちら。

原告自転車(青信号) 被告自転車(赤信号)
10 90

主な原因は被告自転車の赤信号無視だとしながらも、原告自転車の無過失を認めていません。

 

いったい何が起きたのでしょうか?

原告自転車は青信号に従って横断歩道を進行しただけですが、過失を認めた理由は二点。

 

①自転車横断帯を通行しなかったこと
②合図を出すなどしてないこと

 

…相手は赤信号なんですけどね。

原告においても、原告自転車を走行させるに当たっては、その進行方向の安全を確認すべき義務があるところ、方向転換をして本件横断歩道に進入する際に、後方を振り返ったり一旦停止するなどして周囲の安全を十分確認していない。本件においては、原告の対面信号機は青色を表示していたものの、本件横断歩道の南側には自転車横断帯が設けられていたので、同横断帯によって道路を横断しなければならないのに(道路交通法63条の6)本件横断歩道に進入していることに加えて、合図を出すなどしないままに方向転換していることから、周囲にとって原告自転車の本件横断歩道への進入を容易に予測できる状況ではなかったことを考えると、周囲の安全を十分確認することなく方向転換をして本件横断歩道に進入した原告にも本件事故の発生につき一定の過失があるというべきであり、過失相殺をすべきである。

 

神戸地裁 令和4年7月7日

何の話なのかさっぱりわからない説示をしていますが、横断歩道上なのか自転車横断帯上なのかは「赤信号無視の自転車」には関係ないし、方向転換時の安全確認も同様。
手信号も赤信号の自転車に向ける必要がない(信号が赤ですから…そもそも停止線を越える権利がない)。

 

もちろん、事故の主な原因は赤信号無視した自転車ですが、原告側の主張がおかしいようにも見えませんし、なぜこうなるのかはだいぶ謎です。

相手の主張に対しては

判決文を見る限り、原告がおかしな主張をしたようなフシは見当たりませんが、こういう争いのときに被告側から

 

「自転車横断帯ガー!手信号ガー!」

 

みたいな主張をされたときにきちんと反論しておく必要があります。
シンプルにいえば「赤信号のお前には関係なくね?」という話になります。

 

横断歩道上だろうと自転車横断帯上だろうと、赤信号無視しなけりゃ何も起きてないよね?という話になりますし。
なぜに赤信号無視する自転車を予見する義務があるのかは謎ですが、まあ、赤信号無視する自転車が多い実情を踏まえているのかもしれません。
信頼の原則を否定する「特別な事情」とは、「信号無視する自転車をよくみかける」も含まれうるので。

 

自転車同士の事故って、過失割合がまあまあ変なことがありますが、最近の裁判所の考え方では「赤信号無視自転車を右折で巻き込みした」みたいな感じなんですかね。
なお、判決は確定しています。


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