最近、おかしな道路交通法の読み方をする人が増えているのだろうか?と心配になる今日この頃。
道交法徒然日記39
第七条 道路を通行する歩行者等又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等に従わなければならない。
これも面白いんですが、標識、標示に従わねばならないというのはないんですよね。危険度なら同じだと思うんですが。(木)— クルマ社会を問い直す会 (@kuruma66311273) August 29, 2023
こういう意見は本当に心配になります。
「標識、標示に従わねばならないというのはない」
「信号機に従う義務があるけど標識や標示に従う義務が規定されてない」という大胆な見解を述べる人がいるみたいですが、例えばこう。
第四十三条 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
とんでもない誤認で、各条で道路標識等に従う義務を定めているわけですね。
標識や標示の種類によって刑罰の重さを変えているのだから、こうなるのは当然。
信号機については、信号の意味を政令に委任して信号に従う義務と罰則を法で定めているのだから、こうなるのは当然。
しかし、標識や標示に従う義務が規定されてないと捉える人がいるとなると、日本の道路交通がメチャクチャになるのはなんとなく頷ける。
当たり前ですが、一時不停止で検挙されたときに「標識に従う義務は道路交通法に規定されてないジャマイカ!?」などと発狂して警察官を困らせるようなことはやめましょう笑。
ちゃんと各条に書いてあるので。
法律が分かりにくい理由
法律の条文って、特に知識もなく読むとちんぷんかんぷんなことは普通にあります。
思うに、そもそも一般人相手に書いてないんじゃないかと。
道路交通法はあくまでも刑罰法規、刑法なので、刑法として穴がないように記述するほうが実務上は合理的で、一般人相手には「教則」などの形で噛み砕いて説明する方がいい。
ちょっと前になりますが、「自転車が横断歩道を乗ったまま通行することは違反だ」と言ってきた人がいて、根拠として2条1項4号だという。
歩行者の横断の用に供するための場所と書いてあるから、自転車が横断するのは違反だと。
2条は定義なので、誰かに義務を課したり禁止したりする効力は無い。
納得しなそうだったのでこちらの判例や警察庁の解説をご案内したのですが
エア判例呼ばわりされる笑。
国会議事録の抜粋については「お前のいうことは信用しない」と言われましたが、私が言っているのではなく国会での答弁なんですけどね。
こんな話は日常茶飯事。
ド素人がグダグダ言うよりも裁判所や警察庁などの方が信用度が高いから引用しているのに、裁判所や警察庁の見解を超越したがる人が時々いまして。
それこそ横断歩道と自転車の関係についてもそうですが(38条1項)、自転車に優先権がないと説明すると、必ず出てくるのはこれ。
「じゃあ横断歩道で自転車を轢いてもいいんですね」
義務教育の失敗なんじゃないかと思う。
横断歩道には38条しかないと短絡的に考えてしまう実力を目の当たりにして、絶句するしかない。
優先権がない→轢いてもOKという図式になる人を見ると、この国の教育は失敗したのかもしれません。
ちょっと前に書いた件もそうだけど、
デマを創作した先に何があるのだろうか。
でもさ、間違った道路交通法にやたら自信を持ってしまう人もいて、最たる例はこれ。
チャリで堂々と歩道逆走するポリ。
こんな人達が取り締まりしてるの我慢できますか? #警察 #自転車 #違法行為 pic.twitter.com/gehwSkSdve— つよし (@ponkichi2443) September 19, 2022
間違った道路交通法の知識を盾に、警察官に詰め寄る一般人…
おかしな道路交通法を語り出すと「標識に従う義務は書いてない!」みたいな奇人変人のオモチャになるだけ。
けどまあ、法律よりも脳内法が優先する人ってまあまあいるのです。
無人島でも買って、日本から独立してから脳内法を適用して欲しいと願う今日この頃。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
法律ってプログラミング言語に近いですよね。
抜けがあってバグったり、普通と違う言葉の使い方するので要注意だったり、関連範囲を全部読まないと落とし穴にハマるのも同様。
で、裁判所とかが運用でカバーしたり、最高裁がバグにパッチ当てろと命じたりする。
そして、判例という運用マニュアルが有る。
もうちょっと条文の閲覧性や可読性を良くしてくれって個人的には思う。
法律も、政令とか省令とか規則とかで別途定めるとかになってて、追っかけにくかったりとか。
場合によってはISO/JIS参照みたいな感じで完結しなかったりとか。
e-Gov法令検索で大分マシになったけど、自動でリンクしてくれないし、判例という運用マニュアルは全公開じゃないし、困りもの。
裁判官や弁護士とか弁理士みたいな人達すごいなと思います。
コメントありがとうございます。
現実的には裁判官や弁護士さんでも、法律をわかってない人はいます。
それこそ、一時停止標識がなく路面表示の「とまれ」だけで効力があると勘違いしている裁判官もいますから、だからちゃんと主張しないとおかしな判決に繋がります笑