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「赤信号無視見落とし起訴事件」の確定と、残された問題点。

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ちょっと前に右直事故について、直進オートバイが信号無視して交差点に進入し右折車と衝突した事故について、赤信号無視を見落としたまま起訴し、見落としに気がついた後も起訴を取り消しにしなかった事件がありましたが、

 

やっぱり無罪…警察と検察のミスが浮き彫りになった「被害者の赤信号無視見落とし事件」。
ちょっと前になりますが、被告人が交差点を右折する際に対向直進バイクが「赤信号無視で」交差点に進入してきて起きた事故。 検察は「被害者の赤信号無視」を見落としたまま起訴していましたが、やはり無罪判決だそうな。 福岡県古賀市で車を運転中、赤信号...

 

福岡地検は控訴を断念し無罪が確定した模様。

福岡県古賀市の国道交差点を車で右折中、赤信号で進入してきた対向車線のバイクに衝突して運転者にけがをさせたなどとして、自動車運転処罰法違反(過失致傷)と道路交通法違反(不申告)に問われたナイジェリア国籍の男性被告(53)=同市=を無罪とした1審・福岡地裁判決(10月)について、福岡地検は控訴期限の10日までに控訴しなかったと明らかにした。男性の無罪が確定した。

 

赤信号無視のバイクと衝突 右折車の運転手、無罪確定 地検控訴せず(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
福岡県古賀市の国道交差点を車で右折中、赤信号で進入してきた対向車線のバイクに衝突して運転者にけがをさせたなどとして、自動車運転処罰法違反(過失致傷)と道路交通法違反(不申告)に問われたナイジェリア

残された問題がありますよね。

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残された問題点

この事件については3つの問題があると思ってまして、

①警察が不十分な捜査のまま書類送検し、検察も不十分な捜査のまま起訴した責任。
②被害者の赤信号無視に気がついた後も、検察官が有罪立証を続け起訴取り消しにしなかった責任。
③行政処分と刑事責任は別という不合理。

不十分な捜査のまま書類送検し起訴したことについての責任追及がないし、この被告人は行政処分上は「道路交通法37条違反」と「交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によつて発生したものである場合」として付加点数がついている可能性があるのですが…

 

①については国家賠償請求…出来なくはないでしょうけどハードルは高い。
②については理屈の上では「特別な事情」を示せば信頼の原則を否定できるから、必ずしも不法行為とも言えない(道義的にはいかがなものかと思うけど)。

 

結局、被告人が長期の応訴で失ったものが大きいだけで、無罪になったから全てOKではないのよ。

 

世の中、テキトーな捜査でおかしなことに巻き込まれる可能性があるわけですが、警察や検察の不手際についてきちんと問題追及する仕組みがないので、ややこしい。

被害者が赤信号だから無罪になるわけではない

若干誤解する人もいるみたいですが、被害者が赤信号無視だから加害者が必ず無罪になる…というほど単純なシステムではないです。
基本はこのように「特別な事情がない限り」は信号無視して突っ込んでくる人を予見する注意義務はありませんが、

本件の事実関係においては、交差点において、青信号により発進した被告人の車が、赤信号を無視して突入してきた相手方の車と衝突した事案である疑いが濃厚であるところ、原判決は、このような場合においても、被告人としては信号を無視して交差点に進入してくる車両がありうることを予想して左右を注視すべき注意義務があるものとして、被告人の過失を認定したことになるが、自動車運転者としては、特別な事情のないかぎり、そのような交通法規無視の車両のありうることまでも予想すべき業務上の注意義務がないものと解すべきことは、いわゆる信頼の原則に関する当小法廷の昭和40年(あ)第1752号同41年12月20日判決(刑集20巻10号1212頁)が判示しているとおりである

 

最高裁判所第三小法廷 昭和43年12月24日

特別な事情がある場合には有罪になります。

本件は、被告人が深夜(略)普通乗用自動車を運転し、車道幅員約12mで片側一車線の歩車道の区別のある道路を時速約40キロメートルで走行中、本件交差点にさしかかり、青色信号に従い右交差点を直進しようとした際、酔余赤色信号を無視して交差点内中央付近を右から左へ横断歩行していた本件被害者2名を約13ないし14m先に初めて発見し制動措置をとることができないまま自車前部を両名に衝突させたことが明らかであり、これに反する証拠は存在しないところ、本件交差点出口南側横断歩道の左側に街路灯があるため、交差点手前の停止線から40m手前(本件衝突地点からは約51.4m)の地点から本件衝突地点付近に佇立する人物を視認できる状態にあり、しかも被害者の服装は、一名が白色上衣、白色ズボン、他の一名が白色ズボンであったから、被告人は通常の注意を払って前方を見ておけば、十分に被害者らを発見することができたと認められる。なるほど、被告人車の進路前方右側は左側に比べて若干暗くなっているけれども、(証拠等)によれば、被告人が最初に被害者らを発見した段階では、すでに被害者らは交差点中心よりも若干左側部分に入っており、しかも同人らは普通の速度で歩行していたと認められるから、前記見通し状況のもとで、被告人が本件の際被害者らを発見する以前に同人らを発見することは十分に可能であったと認められる。

 

そして、本件が発生したのは深夜であって、交通量も極めて少ない時間であったこと、本件事故時には被告人車に先行する車両や対向してくる車両もなかったし、本件道路が飲食店等の並ぶ商店街を通るものであること、その他前記本件道路状況等に徴すると、交通教育が相当社会に浸透しているとさいえ、未だ本件被害者のように酔余信号に違反して交差点内を横断歩行する行為に出る者が全くないものともいいがたく、したがって、本件において、被告人が本件交差点内に歩行者が存することを予見できなかったとはいえないし、また、車両運転者が歩行者に対し信号表示を看過して横断歩行することはないとまで信頼して走行することは未だ許されないというべきである。

 

東京高裁 昭和59年3月13日

報道の方も今後は民事訴訟、行政訴訟で争うのかもしれませんが、結局、大変な思いをするわりには警察や検察は何ら処分もないのよ。
そういう意味ではバランスが悪い。

 

そして国家賠償請求訴訟なんてした日には多額の弁護士費用が飛ぶリスクがあるわけだし、そもそも認められるかはビミョーだったりする。
ワケわからんことで起訴されたり、ワケわからんことで行政処分を喰らうとろくなことにならないので、今の時代は特にドラレコが必須なんでしょうね。

 

まあ、こちらのように検察官がドラレコを過信して起訴して無罪になった事件もありますが…

 

みんな雑過ぎないか。
ちょっと前にこんな報道がありました。 おととし11月、札幌市豊平区の道道で、当時8歳の男の子が乗用車にはねられ、重傷を負った事故…乗用車を運転していた70代の女性は、無罪判決を受けました。 (中略) 18日の判決で札幌地裁は、事故当時、男の...

 

おかしなことに絡まれると、失うものが大きいのが今の日本。
それだけに公権力の行使は注意が必要なはずですが、おかしな絡まれ方をすると私のように最高裁までお付き合いコースに巻き込まれますから、行政側に何らかの自浄作用がないとダメなんですけどね。

追記
公安委員会が自主的に行政処分を取り消ししたそうな。

「免許が元に戻ってうれしい。チャレンジして(無罪を訴えて)良かった」。福岡県古賀市の国道交差点を車で右折中に対向車線を赤信号で直進してきたバイクとぶつかった事故で、自動車運転処罰法違反(過失致傷)などについて無罪が確定した車の運転者の男性(53)=古賀市=に対し、県公安委員会は事故による違反点数を取り消す異例の対応を取った。ナイジェリア国籍の男性は喜びを語った。

「風穴開ける」行政処分取り消し 赤信号バイクと衝突、無罪確定(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
「免許が元に戻ってうれしい。チャレンジして(無罪を訴えて)良かった」。福岡県古賀市の国道交差点を車で右折中に対向車線を赤信号で直進してきたバイクとぶつかった事故で、自動車運転処罰法違反(過失致傷)

明らかにこれが関係しているのかと。

無罪と運転免許取消は別!というのは、市民感覚からすればズレている。
過失運転致傷罪(自動車運転処罰法)が無罪になったからといっても、行政処分は別というのは市民感覚からすればズレていると思いますが、法律上は「別」になってしまう。 交通事故をめぐる刑事裁判で無罪となったにもかかわらず、運転免許の取り消し処分が変...

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