PVアクセスランキング にほんブログ村 当サイトはAmazonアソシエイト等各種アフィリエイトプログラムに参加しています。
スポンサーリンク

「追い越し」について厳格解釈をしてみる。

blog
スポンサーリンク

いきなりですが、こちら。

片側一車線の道路ですが、正解はどちらでしょうか?

①「2台」追い越しした
②その他

さて、どっち?

スポンサーリンク

何台追い越し?

いきなり答えから入りますが、正解は「1台追い越し後に1台追い抜き」になります。
理由は追い越しの定義。

二十一 追越し 車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。

「追い付いた場合」とは26条の車間距離まで迫ることを意味しますが、理屈からして先々行車には追い付いていない。

なので黄色車には追い付いてから進路を変更しているので追い越しになりますが、赤車には追い付いてないので追い越しにはならない。

 

さて、中央線から右側にはみ出してもいい条件はこちら。

(通行区分)
第十七条
5 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
一 当該道路が一方通行(道路における車両の通行につき一定の方向にする通行が禁止されていることをいう。以下同じ。)となつているとき。
二 当該道路の左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。
三 当該車両が道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分を通行することができないとき。
四 当該道路の左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)。
五 勾こう配の急な道路のまがりかど附近について、道路標識等により通行の方法が指定されている場合において、当該車両が当該指定に従い通行するとき。

いわゆる「追い抜きの場合」には右側通行を認めた条文がない。
強いて怪しいのは「道路の損壊、道路工事その他の障害のため」(3号)ですが、走行中の車両は「その他の障害」には当たらない。

走行中の先行車両が道路交通法17条4項3号にいう「その他の障害」にあたらないとした原判断は正当である

最高裁判所第二小法廷  昭和39年12月24日

さて。
これらを踏まえて、自転車2台が前方を走行しているときに、これは法律上「ダメ」ですかね?

1台追い越し、1台追い抜きです。
もちろん、見通しがよく対向車も来ていない場合の話ですし、車はしっかりと側方間隔を取りました。

 

これ、車両通行帯がある道路ならば、1台追い越し、1台追い抜きは問題ありません。

法20条1項は,「車両は,車両通行帯の設けられた道路においては,道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。
ただし,自動車(括弧内略)は,当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは,当該道路)に3以上の車両通行帯が設けられているときは,政令で定めるところにより,その速度に応じ,その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。」と規定し,同条2項は,「車両は,車両通行帯の設けられた道路において,道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは,当該通行の区分に従い,当該車両通行帯を通行しなければならない。」と規定し,同条3項は,「車両は,追越しをするとき,・・・又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは,前2項の規定によらないことができる。」と規定している。
同条3項による通行は,あくまでも本来の通行の区分による例外にほかならないから,同項に規定する事由が止んだ場合には,同条1項又は2項の規定により通行すべきこととされている車両通行帯に戻らなければならない。
そして,同条3項の「追越し」とは,車両が他の車両等に追い付いた場合において,その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し,かつ,当該車両等の前方に出ることをいうところ(法2条1項21号),追越しが完了した場合には,同条1項又は2項の規定により通行すべきこととされている車両通行帯に戻らなければならないと解される。
なお,「道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき」とは,その車両が通行すべき車両通行帯が道路の損壊,道路工事等のため通行することができない場合等をいうが,追越しのため,その直近の右側の車両通行帯を通行して追越しを終わり,元の車両通行帯に戻ろうとする場合において,元の車両通行帯を通行している車両が多く,戻れないまま変更した車両通行帯を通行することも,「その他の事情によりやむを得ないとき」に当たるものと解される。

横浜地裁 平成21年12月14日

車両通行帯がある道路ならば「その他の事情によりやむを得ないとき」があるので、追い越し後に法定の通行帯以外から追い抜きすることは問題がない。
車両通行帯がない道路ならば、右側通行する除外事項に「追い抜きするとき」がないので、

1台追い越し後に1台追い抜きするために右側にはみ出していい理由がない。

 

じゃあダメなのか?というと、そんなしょーもない解釈はどうでもいいので、安全を確認した上で先に行ってくださいねとしか言えない。
道路交通法って厳格解釈するとテロが起きることが多々あります。

 

道路交通法テロリストの方々からすれば許しがたい暴挙なのかもしれませんが、安全に1台追い越し、1台追い抜きする分には問題がない。

 

まあ、「2台に対して」ではなく「2台まとめて1グループを追い越しした」という謎理屈はあり得ます。
可罰的な違法性がないという見方も出来なくはないけど、おそらくは警察庁が出した昭和35年の通達が関係してます。

車両の通行区分について

昭和35.12.19 警察庁丙保発第50号
警察庁保安局長から各管区警察局長、警視総監、各道府県警察(方面)本部長通達

 

車両の道路左側部分の原則及びその特例を規定したものであるが、この規定を励行することにより、著しく道路交通の円滑に影響を生ずる場合がないわけではないと思われる。従って、現実の取締りに当つては、道路の条件、交通の事情等によって、良識的な判断をすることも必要であろう。

道路交通法を厳格解釈するとテロが起きる

道路交通法を厳格解釈すると、全ての自転車は交差点前30mから左折完了までこの手信号を出したまま左折することになりますが、

人類には不可能なので、余計なことをせずに両手でハンドルやブレーキを操作した方が良い。
法律を守る人は赤信号で停止中にも手信号を「継続」して頂きますが、手が痺れたとか文句を言っても無意味です。

 

結局、道路交通法を厳格解釈すると時にテロが発生してちんぷんかんぷんになります。
じゃあ好き放題に解釈してもいい…ということにはなりませんが、法律って完全ではないのでしょうね。

 

右折直後に左折する場合にはどうやっても「左折前30mから合図」は出来ませんが、じゃあ左折禁止と解釈するのかというと違います。

 

まあ、自転車が合図履行継続義務を果たすことは不可能です。
強いていうならタンデム自転車なら可能ですかね。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました