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優先道路進行車と非優先道路進行車の衝突事故。

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こういう事故は絶えないといいますか、非優先道路進行車両がひょいと出てくることがありますよね。

愛知県東海市の交差点で、バイクと車が出合い頭に接触する事故がありました。車を避けようとしたバイクが転倒して反対車線のブロック塀などに衝突しました。バイクを運転していた男性は意識不明の重体です。

警察によりますと、5日午前9時20分ごろ、東海市高横須賀町の信号のない交差点で、東に向かって走っていたバイクと南に向かって走っていた車が出合い頭に接触しました。

バイクと車が出合い頭に接触する事故 バイクを運転していた男性が意識不明の重体 愛知・東海市(中京テレビNEWS) - Yahoo!ニュース
愛知県東海市の交差点で、バイクと車が出合い頭に接触する事故がありました。車を避けようとしたバイクが転倒して反対車線のブロック塀などに衝突しました。バイクを運転していた男性は意識不明の重体です。 警

ちょっと気になる点を確認します。

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事故の態様と義務

事故現場は報道によるとこちら。

 

この方向にバイクが東進し、左側道路から加害車両が出てきた形のようです(南進)。


バイク側の指定最高速度は30キロの標識があります。

 

 

事故の発生とは関係なく、双方がこの方向に通行する上で負っていた義務を確認します。

 

<加害車両>
加害車両は非優先道路から優先道路に進行するにあたり徐行義務(36条3項)があり、優先道路通行車の進行妨害禁止(36条2項)。

(交差点における他の車両等との関係等)
第三十六条
2 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
3 車両等(優先道路を通行している車両等を除く。)は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない

なお、一時停止標識はありません。

 

<被害バイク>
これを結構忘れがちになりますが、優先道路進行車なので見通しが悪い交差点での徐行義務がない(42条1号)のですが、横断歩道があり横断歩道左右の見通しが悪い以上、38条1項前段の減速接近義務があります

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条 車両等は、横断歩道に接近する場合には、当該横断歩道を通過する際に当該横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者がないことが明らかな場合を除き当該横断歩道の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない

こういう事故って事故の結果に着目しがちですが、見通しが悪い以上は義務ベースで考えないと被害者になるか加害者になるかは紙一重。
報道でみると被害バイクもスピードが出ていた可能性がありますが、

 

介護施設の送迎車とバイクが出合い頭に衝突 バイク運転の16歳男性が意識不明の重体 | 東海地方のニュース【CBC news】 | CBC web (1ページ)
愛知県東海市で介護施設の送迎車がバイクと衝突し、バイクに乗っていた男性が意識不明の重体です。1月5日午前9時半前、東海市高横須賀町の信号のない交差点で、介護施設の送迎車とバイクが出合い頭に衝突しました… (1ページ)

 

横から出てきたのが四輪車なら被害者になるし、出てきたのが歩行者なら加害者になってしまう。

 

ところで、「優先道路の進行妨害」(36条2項)は優先道路通行車が速度超過していても優先権を持つのか?という問題があります。

非優先道路進行車はどこまで予見する義務を負うか?

36条2項によると優先道路通行車が優先権を持つことが明らかですが、優先道路通行車が速度超過していても優先権を持つのか?という問題があります。

 

これについて判例を見ていきます。
判例は東京高裁 昭和56年2月9日(業務上過失致傷罪)。

 

優先道路通行車(A車、被害車両)は指定最高速度が20キロの道路を、10~20キロ速度超過していました。
被告人の主張は「被害車両のようにスピード違反をして交差点を突破しようとする車両のありうることまで予想して進行すべき注意義務はない」。

 

裁判所の判断です。

道路交通法は、優先道路を通行している車両等が左右の見とおしのきかない交差点に入ろうとする場合に徐行義務を免除し(42条1号)、また、非優先道路を通行している車両等が優先道路と交わる交通整理の行なわれていない交差点に至つた場合には、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない旨規定しているのであり(36条2項)、本件のように交差道路が優先道路でありその幅員も比較的広い交差点にさしかかつた自動車運転者としては、一時停止の標識に従い所定の位置に車両を停止させるべきことはいうまでもないが、ついで自車を発進させるにあたつては、進路前方左右の安全を確認し、自車の進行が交差道路上の交通に危険を及ぼすことのないよう十分配慮をして、事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務を負う。ことに、被告人の通行してきた南北道路は左右の見とおしが悪く、一時停止線上からの左方の見とおしもブロツク塀にさえぎられて困難な状態にあつたのであるから、一時停止後の発進進行にあたつては格段に慎重な安全確認義務が求められる。しかるに、被告人は、一時停止はしたものの、当時交通が閑散であつたことに気を許し左方道路の安全を確認しないで時速約5キロメートルで本件交差点に進入したために、左方道路からのA運転の原動機付自転車に衝突したのであるから、被告人に過失のあることが明らかである。
もつとも、Aは指定最高速度を時速10ないし20キロメートル超過しており、この点に同人の落度があることは否定できないが、本件のような優先道路で幅員が比較的広く交通量の少ない交差道路を右の程度の速度で走行する車両のあることは通常予想しえないわけではないから、被告人としてもこのことを予測したうえ安全を確認すべき注意義務があるといわなければならない。

 

東京高裁 昭和56年2月9日

10~20キロの速度超過は予見可能として有罪。

 

次に優先道路通行車が20~30キロの速度超過をしていた福岡高裁 平成3年12月12日判決(業務上過失致傷罪)。

 

裁判所の判断です。

被告人は、道路交通法36条2、3項により、自車に優先する交差道路を進行してくる被害車両の進行を妨げてはならない義務があり、農道出口付近で一時停止後発進し、同交差点を進行するに際しては、左右道路上を進行してくる車両の有無並びにその運転状況等を十分に確認したうえで発進進行すべきであり、特に被害車両が進行してきた左方道路は、被告人車両の一時停止地点より見ると左方にカーブしやや下り勾配の形状になっているため、見通しが約44.3mとより悪い状況になっていたのであるから、このような交差点に進入する場合には、交差点の手前で一時停止し、左方の道路の状況を、次いで右方の道路の状況をそれぞれ見て進行してくる車両のないことを確認しても、右方を確認している間に、左方から交差点に接近してくる車両が見通し可能の範囲内に現れるとともに、その車の速度いかんによっては同車が交差点間近に近接していて、漫然自車を交差道路に進出させれば、これと衝突する危険が十分予測できるのであるから、事故の発生を回避するためには、一時停車後、左方、次いで右方の道路の状況を確認するだけでは足りず、改めてもう一度左方から接近してくる車両の有無を確認して進行を開始するとともに、左方から接近してくる車両があるときは、その動向に応じ、いつでも停止できるような速度と方法で運転すべき業務上の注意義務があるというべきである。しかるところ、被告人は、前記のとおり、一時停車後、左方、次いで右方の道路の状況を確認したのみで、接近して来る車両はないものと考え、改めてもう一度左方の道路の状況を確認せず、かつ発進後も左方への注意を怠ったがため、被害車両の接近を見落とし、本件事故が生じたのであって、この点に被告人の過失があったといわなければならない。
たしかに、弁護人指摘のとおり、被害車両も指定最高速度を約25キロメートル超過した時速約65キロメートルで進行していたことが認められ、この点が本件事故の一因をなしていることは否定できない。しかし、被害車両は、大型の自動二輪車で、65キロメートルくらいのスピードでは車体の安定性を失うものではないことや、優先道路を走行する車両が法定速度を毎時20ないし30キロメートル程度超過した速度で進行してくる場合のあることは、現今の交通の実情に照らし、予測可能の範囲にあるというべきであり、被害車両の速度超過が直ちに被告人の過失を否定するものではない。

 

福岡高裁 平成3年12月12日

非優先道路から優先道路に進入する際には、20~30キロの速度超過を予見して注意する義務を認めています。

 

問題なのは何キロオーバーくらいまでなら優先権を持つのかになりますが、状況次第で変わりますが一般的には10~20キロの速度超過を予見する義務があり、福岡高裁判決のように20~30キロの速度超過を予見して注意する義務もあります。

 

なお、冒頭の事故では非優先道路側には一時停止標識がありませんが、優先道路に進入する上で見通しが悪いなら安全確認するために一時停止する必要があることは言うまでもなく。

ところで問題になるのは、優先道路通行車が「見通しが悪い横断歩道」において「減速接近すること」を信頼してもよいか?
バイク側の指定最高速度は30キロですが、以下はどちらが正解でしょうか?

①指定最高速度30キロ+20キロ程度の速度超過を予見する
②減速接近義務(38条1項前段)により横断歩道直近では10キロ程度と考えた場合、減速接近速度+20キロ程度の速度超過を予見する

これについてはあまりいい判例があるわけではありませんが、基本は①。
横断歩道に接近する車両が減速接近することを信頼して…とは解釈されないのはなんか情けないような気もしますが、ちょっと具体的な判決年月日を思い出せないのですが、右直事故について直進車が横断歩道に向けて減速接近することを信頼して右折することは許されないとした判例があったはず。

 

若干気になるとしたら、バイクが進行してきた道路は緩やかにカーブしていること。
加害車両からすると少し見通しが悪くなる要素になり得ます。

具体的な内容はわかりませんが

この手の事故は具体的な内容として速度やどれだけ確認していたか次第で過失割合もだいぶ変わる可能性があるので、過失割合については何とも言えません。

 

非優先道路から優先道路に進入する際には、見通しが悪いなら一時停止後に念入りに確認してから進行する義務があるし、被害車両の進行方向には横断歩道があるため減速接近義務を果たしていないと、横断歩行者が出てきたときには加害者になってしまう。

 

見通しが悪い以上、被害者になるか加害者になるかは紙一重とも言えますが、確実に言えることとして、やるべき注意義務を果たしていたら事故は起きてない可能性が高いという話です。

 


コメント

  1. MTB より:

    いつも記事で勉強させていただきいています。

    質問ですが

    >横断歩道があり横断歩道左右の見
    >通しが悪い以上、38条1項前段の減
    >速接近義務があります。
    とありますが東進方向に道路標識が無いように見えます。この場合でも義務はあるのでしょうか?
    それとも取り締まりの対象にならないというだけなのでしょうか?

    よろしくお願いします。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      確かに標識がないですね…
      違反としては成立しないことになりますが、横断歩道本体が見える前のダイヤマークから「減速接近すべき注意義務」はあるので…(38条の問題ではなくなってしまいます)

      標識漏れはまずいですね。
      今も標識がないなら早急に対処すべきだと思います。

  2. 元MTB乗り より:

    本題とは関係ない部分ですが、

    > 優先道路を走行する車両が法定速度を毎時20ないし30キロメートル程度超過した速度で進行してくる場合のあることは、現今の交通の実情に照らし、予測可能の範囲にあるというべきであり

    わからなくもないですが、歩行者含めて、交通違反に対してこういうような判決を下されるのを見るたびに、徹底出来ない警察・行政の敗北であり、予見せよと言うなら、違反者の代わりに彼らが過失を肩代わりするべきではと思う所がありますね。相手が違反しているからぶつかってもいいと言うわけではないですが、守られてないルールだから、と裁判所が言うのはルールの意味がないよな、と感じます。

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      速度超過車が優先権を失うか?という観点での判決なので、速度超過を容認しているわけではありません。
      被害者(優先権を持つ車両)の速度超過は、量刑判断で考慮されます。

      まあ、おっしゃる意味はわかりますが、「速度超過は優先権を失う」というルールを作ったらどうなるか、実証実験してみたいですけどね。

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