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自転車の事故と逮捕の条件。

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今日目の前で、一時不停止のまま見通しが悪い交差点に突っ込み優先道路を横切る自転車をみて「偶然って偉大だな」と思ってしまったのですが、こういう事故になりかねない。

警察によりますと、6日午前0時55分ごろ、安城市横山町の県道と市道が交わる交差点で、自転車と乗用車が出合い頭に衝突しました。この事故で、自転車に乗っていた安城市の17歳の女子高校生が病院に搬送されましたが、頭を打つなどして意識不明の重体です。現場は信号や横断歩道のない交差点で自転車側の側道には一時停止の標識があったということです。警察は、乗用車の運転手から当時の状況を聞くなど、事故の原因を現在、詳しく調べています。

 

自転車の女子高校生はねられ重体  愛知・安城市|中京テレビNEWS NNN
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現場と思わしき場所。
自転車には一時停止、クルマが進行してきたのは優先道路ですかね。

 

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ところで。

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「第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか」

一時停止のルールには「第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか」とありますが、これの意味を質問されたばかりなので。

(指定場所における一時停止)
第四十三条 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

43条では「一時停止&交差道路の進行妨害禁止」、36条2項では「交差道路の進行妨害禁止」を定めているので、「進行妨害禁止」が被ります。

(交差点における他の車両等との関係等)
第三十六条
2 車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。)である場合を除き、交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない

43条に「第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか」とつけているのは、交差道路の進行妨害をしたときには43条の違反ではなく36条2項の違反を適用するという意味です。

 

分かりにくいですよね。
どっちの違反を適用するかを明らかにしただけなので、あまり気にしなくていいかもしれません。

なお、優先道路だからいかなる場合も優先権を持つわけではなくて、制限速度から「+20キロ程度」までが優先権を持つ話は先日書いた通り。

優先道路進行車と非優先道路進行車の衝突事故。
こういう事故は絶えないといいますか、非優先道路進行車両がひょいと出てくることがありますよね。 愛知県東海市の交差点で、バイクと車が出合い頭に接触する事故がありました。車を避けようとしたバイクが転倒して反対車線のブロック塀などに衝突しました。...

クルマが優先道路、自転車が非優先道路の場合の基本過失割合は50:50です。

優先道路(クルマ) 非優先道路(自転車)
50 50

ついでに書きますが、もしここに横断歩道があり、自転車が横断歩道を使って横断した場合。

このような場合、基本過失割合はクルマ:自転車=55:45になります。
基本過失割合はあくまでも交差点通行をベースにして、「自転車の横断歩道通行」として「-5%」。

自転車の横断歩道通行と優先道路の過失割合。
自転車が横断歩道を使って横断する際には、道路交通法38条1項の優先権がないことは知られているのか知られていないのかよくわかりませんが、 道路交通法38条1項は、自転車については、自転車横断帯(自転車の横断の用に供される道路の部分・同法2条1...

横断歩道通行で自転車過失が下がる理由は、歩行者に向けた注意義務を考慮するから。

自転車が横断歩道上を通行する際は、車両等が他の歩行者と同様に注意を向けてくれるものと期待されることが通常であることの限度で考慮するのが相当

 

平成30年1月18日 福岡高裁

以前「横断歩道を使って横断したのになぜ優先道路の進行妨害なんだ!」と言ってきた方がいますが、民事の過失割合を検討する上での考え方なので、文句を言われても…

しかし道路交通法は歩行者と軽車両である自転車を明確に区別しており、自転車を押して歩いている者は、歩行者とみなして歩行者と同様の保護を与えている。(同法2条3項)のに対し、自転車の運転者に対しては歩行者に準ずるような特別な扱いはしておらず、同法が自転車に乗って横断歩道を通行することを禁止しているとまでは解せないものの、横断歩道を自転車に乗って横断する場合と自転車を押して徒歩で横断する場合とでは道路交通法上の要保護性には明らかな差があるというべきである。
また、道路交通法38条1項は、自転車については、自転車横断帯(自転車の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号の2)を横断している場合に自転車を優先することを規定したものであって、横断歩道(歩行者の横断の用に供される道路の部分・同法2条1項4号)を横断している場合にまで自転車に優先することを規定しているとまでは解されず、むしろ、本件の場合、Aは、優先道路である本件道路進行車両の進行妨害禁止義務を負う(同法36条2項)ことからすると、過失相殺の判断にあたっては、原判決判示のとおり、自転車が横断歩道上を通行する際は、車両等が他の歩行者と同様に注意を向けてくれるものと期待されることが通常であることの限度で考慮するのが相当である。

 

平成30年1月18日 福岡高裁

逮捕の話

過失運転致死傷容疑で逮捕される場合もあれば逮捕されない場合もありますが、容疑者の過失の大小とは全く関係ありません

 

刑事訴訟規則に「令状逮捕」の要件として、逃亡や証拠隠滅のおそれがないときは令状を却下しなければならないとありますが、

(明らかに逮捕の必要がない場合)
第百四十三条の三 逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。

現行犯逮捕の場合も準用して、証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合に逮捕する。

 

というよりも、池袋暴走事故の時に逮捕されなかったことについて「上級国民だから」という声が大きかったですが、過失は明らかな上に証拠隠滅のおそれもなく、ケガして入院しているのだから逃亡のおそれもない。
そして逮捕されなかったけどきっちり有罪。

 

ちなみに「逃亡のおそれ」には自◯も含めて運用しているのが実情です。

 

逮捕って単なる身柄拘束に過ぎず、刑罰ではない。

 

「逮捕されたから過失が大きい」みたいな誤った見方に陥りがちですが、基本的には無関係です。

 

昨年、ロードバイク界でも令状逮捕された人がいましたが、不起訴でしたよね。
まあ、大々的に報道するから「逮捕=悪確定」みたいなムードになりますが、日本は推定無罪が働かない国と揶揄される象徴みたいな事案だと思ってみてました。

 

逮捕って単なる身柄拘束。

話が逸れましたが

冒頭の事故については具体的な状況がわからないので、被害者が「優先道路の進行妨害」なのかもしれないし、加害者の速度や前方注視に問題があったのかもしれないしわかりません。

 

ちなみに民事の過失割合について気にする人は多いと思いますが、具体的状況でいくらでも変わるのが過失割合。
そして普段の記事で、過失割合よりも義務ベースで書く理由なんですが、例えば50:50と書くと、それぞれの義務が半分発揮されれはいいみたいな謎ムードになるのが好きになれず。

 

例えば速度超過は過失を加算しますが、速度超過分が10%加算されたときに「速度超過とはたかだか10%」みたいに誤解を生むのよ。

 

義務は義務として100%発揮しなければならないのに、軽いものであるかのような誤解に繋がります。
過失割合は単なる結果だし、金銭賠償上の概念に過ぎなくてあくまでもやるべきことは義務の履行。

 

賠償額が100万だろうと1億だろうと、それは結果論なのであくまでもやるべきことは「義務の履行」なのよね。
賠償額の大小と義務の大小は無関係。

 

被害者のその後の状況はわかりませんが、無事だといいのですが。

 

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