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なぜ?クルマが生活道路で横転…安全運転義務違反についてちょっと語ります。

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なかなか不思議な事故に思えるのですが、生活道路でクルマが横転したそうな。

事故があったのは泉区本田町で、22日午前9時半ごろ、「車がひっくり返ってクラクションが鳴っている」と通報がありました。

 

「車がひっくり返りクラクションが」事故で2人搬送も会話できる状態〈仙台市〉(仙台放送) - Yahoo!ニュース
1月22日午前、仙台市泉区で車が横転する単独事故がありました。この事故で2人が病院に運ばれ、手当てを受けています。 事故があったのは泉区本田町で、22日午前9時半ごろ、「車がひっくり返ってクラクシ

たぶん事故現場はこのあたりなのですが、

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あれですかね?
クルマが横転している向きと状況からすると、民家の駐車場から発進するときにアクセル全開で向かいにある斜面(芝生)に突っ込んだとか?
側溝に片輪が落ちて…という雰囲気でも無さそうだし。

 

道路に沿って進行しているときにハンドル操作を誤って芝生の斜面に突っ込んで横転?

 

原因はわかりませんね。
生活道路で横転するというのはなかなか意味がわからないけど。
「何らかの操作ミス」があったのは間違いなさそうですが、「具体的に何がどうしたのか」がわからないとなんとも言えません。

 

ところで。
今回の事故は運転手だけでなく同乗者も怪我したようですが、安全運転義務(70条)でいう「他人」には同乗者が含まれるでしょうか?

(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

70条でいう「他人」とは運転手以外全てを指すので、含まれます。
ネコ型ロボットは人ではないのでご注意を。

 

ただし、やや怪しい判例もあります。
道路交通取締法時代の安全運転義務はこうなってました。

第八条
車馬又は軌道車の操縦者は、法令に定められた速度の範囲内で、道路、交通及び積載の状況に応じ公衆に危害を及ぼさないような速度と方法で、操縦しなければならない。

「公衆」には同乗者を含まないとした怪しい判例もあります。

道路交通及び積載の状況に応じ公衆に危害を及ぼさないような速度と方法で操縦しなければならない規定であつて公衆に危害を及ぼすことが保護法益であり、公衆とはすなわち特定の法律関係における当事者以外の不特定多数の者と解するから、後部座席に乗車中の被害者は公衆に含まれないと謂はなければならない。よつて公訴事実は同法条に該らず何等罪とならない。

 

松本簡裁 昭和34年1月10日

現在の解釈では、70条の「他人」、自動車運転処罰法の「人」などは運転者以外全てを指すとなります。
ネコ型ロボットは人ではありません(2回目)。
まあ、道路交通取締法ってまあまあ穴だらけな上に、なんだかビミョーな判例も残っているのですが、そういうものの積み重ねが道路交通法に反映されたのかもしれませんね。

 

安全運転義務違反にしても、立法時に「カジュアルに運用するな」と付帯決議がついているのですが、どうもカジュアルに運用しすぎる傾向にありますし。
安全運転義務違反って、具体的に何をどうしたのか示さないとダメですよと昭和38年に裁判所から警告されているのに、カジュアルに使うケースが多すぎる。

 

原判決は、罪となるべき事実の第三として、「被告人は前記日時頃、前同自動車を運転中大阪市(略)先道路を時速約20キロで北進中進路右側に駐車していたA所有の軽四輪車の左側を通過する際、酒に酔い前記の如き状態で運転を継続していた過失によりハンドル操作を誤り同車右側に自車右前部を接触させよつて右車両に修理費約1万3300円を要する損傷を与え、もつて他人に危害を及ぼすような速度と方法で運転した。」と判示し、右事実はいわゆる安全運転義務に違反するものとして、道路交通法70条、119条2項、122条を適用している。ところで、有罪の言渡をするには、罪となるべき事実として、その適用する刑罰法令各本条所定の犯罪構成要件に該当する具体的事実を明白に示さなければならないことは疑問の余地がない。そこで、右挙示の各法条をみると道路交通法70条は、「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」と規定し、同法119条2項は、過失により右70条の規定に違反した者はこれを5万円以下の罰金に処する旨を規定し、さらに、同法122条は、その1項において、右70条の違反に際し違反者が酒気を帯びていたときは右罰金刑の多額を二倍に加重することができる旨を規定し、2項は罰金のみにあたる本件には関係のない規定である。従つて、被告人の行為が右70条、119条2項、122条1項に該当することを示すためには、当該行為が過失によるものであること及び被告人がその行為当時酒気を帯びていたことを判示するに先立ち、まず何よりも、その行為が右70条に違反するものであること、すなわち、被告人が本件自動車のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作しなかつたとか、道路、交通、車両等の状況からみて他人に危害を及ぼす虞のある速度又は方法で本件自動車を運転した旨を具体的に判示しなければならない。そこで、原判示をみると、その末尾には前記のとおり「他人に危害を及ぼすような速度と方法で運転した」旨判示しているが、これは単に前記70条の文言を借りてした法律上の判断に過ぎず具体的事実の摘示とはいえないから、これを除くと、速度の点については、当時被告人が時速約20キロメートルで北進していた旨の判示があるだけで、それが他人に危害を及ぼす虞のあるものであることをうかがわせるに足る状況の記載は全くなく、又、方法としては、単に「ハンドル操作を誤り」とあるだけで、具体的にどのような操作をしたかを判示していないから、その操作が果して道路、交通及び当該車両等の状況(この状況も判文上明確にされていない)に照らし他人に危害を及ぼす虞のあるものであるかどうかは判文上確知し得ない。もつとも、原判決は、(1) 被告人は酒に酔い前記の如き状態(これは、原判示第二の文言を受けて、「注意力が散漫となり前方注視が不十分となつた」状態をいうものと思われる)で本件自動車の運転を継続していた過失のあること、及び(2) A所有の自動車の右側に自車右前部を接触させ、よつて右車両に修理費約1万3300円を要する損傷を与えた旨を判示しているが、しかし、このうち、(1) の判示は単に本件行為が過失によるものであること及びその過失の内容、ならびに、当時被告人が酒気を帯びていて道路交通法122条により刑を加重し得る場合であることを明らかにしたに過ぎず、又(2) の判示は本件行為の結果(これは単に情状的事実に過ぎない)を明らかにしただけであつて、同法70条の違反となるべき行為自体を判示したものとは解し難い。

 

大阪高裁 昭和38年10月3日

安全運転義務違反を認定するには具体的に何がどうしたのか示さないとダメですよと裁判所から警告されているのに、困ったら「安全運転義務違反!」と語る人が多いという…
刑罰法規なので、具体的に何がどうしたのか示さないとダメだし、事故が起きたら必ず安全運転義務違反になるわけでもない。

 

比較的最近でも問題になった事例がありまして、運転免許取消の通知をする際に「安全運転義務違反」とだけ通知して内容を具体的に示さなかったことはダメだとしたものがあります。

ここで安全運転義務違反を理由としてされた本件処分の根拠規定である道路交通法70条についてみると,同法は,同法16条以下において車両の交通方法を具体的に定め,車両の運転者をしてかかる定めに従って運転すべき義務を課している。しかしながら,車両,道路等の状況によって,運転者に課される運転義務には様々な形態があり,同法各条が規定する具体的な義務規定のみではまかないきれないことから,同法70条は,それを補う趣旨で設けられた抽象的な規定であるということができ,どのような場合にどのような運転をすべき義務が運転者に生じ,どのような場合に安全運転義務違反となるかを定める具体的基準等は見当たらない。
そうすると,個別具体的な事実関係によっては,同条違反であることが示されるだけでは,処分の名宛人である運転者において,自己にどのような運転をすべき義務が生じており,又は,どのような運転行為が安全運転義務違反とされるのかを認識することが困難な場合もあるところ,そのような場合であるにもかかわらず,処分理由が同条違反であるとのみ示されたとすれば,処分の名宛人に対して不服申立ての便宜が与えられたとはいい難い。また,そのような場合であれば,処分をする行政庁においても,具体的な義務内容とその義務違反に当たる行為を認識しないまま処分に至るおそれがあるともいえ,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制する趣旨に反することにもなる。
以上からすれば,個別具体的な事実関係に照らし,同条違反であることが示されるだけでは,処分の名宛人である運転者において,自己にどのような運転をすべき義務が生じており,又は,どのような運転行為が安全運転義務違反とされるのかを認識することが困難な場合において,処分理由として,同条違反であるとしか示されなかったときは,行政手続法14条1項本文が定める理由の提示としては不足すると解するのが相当である。

 

札幌地裁 令和2年8月24日

具体的に何がダメと判断したのか示さないと、反論すらできないからこうなる。

 

しかし、なぜ生活道路で横転するのかという謎が残ります。
魔法とか呪いの類でなければいいのですが…

 

でもよくよく考えたら、何もないところで自転車が横転していたばかりですし、ちょっと間違うと横転するもんなんでしょうね。

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記憶が正しければ、自転車の横転については補助輪をつければいいんでしたっけ?
補助輪を外すタイミングを間違えた人なのかもしれません。

 


コメント

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